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遊戯王クロスデュエル デッキ紹介『治癒究極竜』(第7回クロスエブリ杯優勝)

1、はじめに

第7回クロスエブリ杯で優勝してきました!
第3回、第4回と併せてこれで三冠!!!(?)
今回は環境の固定化を避けるため、「プライズカードを獲得すると勝ち点1.5ポイントを付与」という特殊ルールでの大会となりました。この結果、以前のようなコントロール偏重の環境ではなく、体感ではビートダウンとコントロールの割合が3:1程度の環境となっています。
いつも面白い大会運営を考え、実施してくださっているVtuber「ねずっちょ」さんに感謝と敬意を表します。

さて、第4回優勝の時は使用デッキがほぼ第3回の時と変わらなかったので紹介を省きましたが、今回新たなデッキで結果を出せたので紹介します。

なお、ランクマッチで調整していたのでそちらでも問題なく使用できますが、解説としてはクロスエブリ杯特別ルールに基づいたものになります。ご理解ください。(といっても、ランクマでもプライズは重要なのであまり影響はない気がします)

2、デッキレシピ

今回のデッキはこちらになります。

治癒搭載型究極竜

究極竜デッキについては以前に集中型を紹介しましたが、今回は治癒を採用しました。これは、クロスエブリ杯ルールでは1ラウンドにつき3戦行うため、より安定して平均順位を上げる必要がある点、そしてプライズルールでは「光の護封剣」「エネミーコントローラー」などの採用が増えることが予想され、ステルスによる奇襲は決まりづらいと判断したためです。
また、「真紅眼の黒竜」はもはや全員が入れているのではというほどに採用率が高く、固定モンスターを使う以上は対策必須でした。そのため、「禁じられた聖杯」「威風堂々」の2枚を採用した他、「青眼の究極竜」「真紅眼の黒竜」「銀河眼の光子竜」と3枚の上級モンスターを採用し、炎上したモンスターをリリースできるようにもしています。

3、今大会で『治癒究極竜』を用いた理由

【環境にビートダウンが増えた】

エースを究極竜にした最大の理由がこの点です。プライズ特殊ルールの影響からか、直近のクロスエブリ杯ではビートダウン構築のデッキが増加傾向にありました。最新パックのカード、特に地形「光」に関連するカードがビートダウン寄りだった点も影響していそうです。
そうなると、セオリー通りならビートダウンに強いデッキはコントロールなのですが、ランクマッチとは異なりクロスエブリ杯は3回戦あります。例え一戦勝ったとしても残りの二戦で周りのビートダウンから集中砲火を受けた場合、現状のカードプールでは上振れない限り守りきれません。また、対ビートダウンだけを見た構築をしたコントロールはコントロールミラーで勝ち上がれないため、クロスエブリ杯形式のコントロールデッキはどうしてもビートダウンに若干弱くなりがちでした。つまり、コントロールデッキはコントロールデッキが流行している環境でこそ真価を発揮する、と私は考えています。

そうなると、ビートダウン環境でコントロールを使うより、別の手段でビートダウンに強い構築を考えた方が良いという結論に達し、今回はエースを最強の壁「青眼の究極竜」としました。

【マグナム、VtoZが安定しない】

私がこれまで使用し続けていた「超魔機神マグナムオーバーロード」ですが、今大会では安定しないと判断しました。理由は2点です。

①従来の「真紅眼」に加え、「銀河眼」にも対応しなければならない。
②環境がビートダウン寄りのため、守りきれない。

①については、従来なら「威風堂々」などで炎上のみを対策しておけばよかったので、まだデッキスロット的に無理なく可能な範囲でした。しかし、「銀河眼」によるスキル無効にも対応しようとすると、マグナムデッキのスロットではどうしても無理がありました。召喚条件の都合でモンスター多めの構築になりやすく、残りの枠でスキル無効と炎上の双方に対応しようとすると、今度はルール上大切なプライズ取得に使うカードを入れられなくなる為です。
また、対抗するカードを都合よく引けているとも限らず、「威風堂々」などの耐性付与カードはそれ自体が事故要因でもあります。その為、安定性に欠けると判断しました。

②については、シンプルにマグナムデッキの弱点です。固定モンスターは壁として有用ですが、そもそも手札を2枚消費して召喚しているので、実のところそこまで固い守りを敷けるわけでもありません。固定モンスターがいる限りダイレクトアタックにならないため、守りを「分断の壁」などに頼りづらい点も影響します。
特にモンスター多めの構築になりがちなマグナムデッキは、2人以上から攻められた場合に意外な脆さを見せることがあります。
また、そもそも「マグナム」や「VtoZ」などのバーン系モンスターは、戦闘を介さずにダメージを与えるという点からコントロールデッキに対するメタカードなので、環境がビートダウンに寄っている状況ではあまり使用する強みがありません。

以上の理由から、今回は「マグナム」の使用を避けました。
なお、「VtoZ」に関しては自身で妨害耐性を持つため、①の問題を解決できるのですが、調整したところやはりそもそも召喚条件の時点で安定しませんでした。今後、有用な機械族が増えれば増えるほど可能性は広がるでしょう。

【究極竜デッキはデッキスロットに余裕がある】

融合は別ですが、効果モンスターとして運用する究極竜デッキは召喚条件も特に特殊な指定はなく、特定の地形を必要としたりコンボカードを必要としたりもしない為、かなりデッキスロットに余裕があります。
その為、今回のプライズ特殊ルールに対応しやすく、勝ち筋として治癒を多めに採用することもできました。

【プライズ特殊ルールなら究極竜でも優勝を狙える】

厳密にはノーマルルールでも優勝は狙えるでしょうが、個人的にはその確率は高くないと考えています。究極竜デッキは積極的に攻めるデッキではなく、とは言え盤面やLPをコントロールして順位を操作する魔法や罠を多用するデッキでもないため、順位操作の重要なクロスエブリ杯では2位は取れても優勝は難しいかなと思っていました。
しかし、今回のプライズ特殊ルールではプライズさえ取得すれば2位でも1位より価値があるため、無理に1位を取らずとも高い平均順位を出しつつプライズを取れば十分優勝を狙えると考えました。

【究極竜は効果を無効にされても最低限機能する】

先に述べた通り、「銀河眼」が環境を席巻しています。その為、「マグナム」や「VtoZ」が厳しいのも既に述べた通りです。その他、エースに依存するタイプのデッキは軒並み苦しくなったと言えるでしょう。
一方で、同じ固定エースでも「究極竜」は極論「単なる壁」なので、スキルを無効にされても最低限の機能は果たします。
また、そもそも放置すれば何の害もないのが「究極竜」なので、わざわざスキルを無効にするかも悩ましいでしょう。

この、「無視されやすさ」こそ「青眼の究極竜」最大の強みです。

【トーナメントでは上に上がるにつれ、対戦経験のあるメンバーが増える】

4人中2人が勝ち抜けるクロスエブリ杯では、一度戦った相手と再び決勝等で対戦することがあります。また、少しメタ的な話になりますが、配信に映れば必然デッキがバレることになります。
その際には当然お互いのデッキを知った状況で決闘することになるわけですが、この時点で「狙いやすいデッキ」や「狙わないといけないデッキ」と、「放置推奨のデッキ」には一戦目から明確な差が出てきます。
その点、究極竜デッキはある意味で「最も放置したいデッキ」なので、決勝一戦目に限ってはアドバンテージを得ることができます。

4、構築について

【治癒ギミックの採用】

ビートダウンでのライフ奪取はハイリスクハイリターンです。成功した時は自分の回復と狙った相手のライフダウンを同時に、しかも莫大な数値で行える一方、そんなことは全員理解しているのでダイレクトアタックはそう簡単には通りません。これは、たとえビートダウン同士の戦いであってもそうです。モンスターはモンスターで対処するのが最もシンプルかつ効率の良い方法だからです。(反面、神速や挑発、攻守増減など奇襲性の高い攻撃には対処しづらいので、普通は魔法・罠も併用すべきではあります)

その点、治癒は微量ながらもほぼ確実にライフ差をつけることができ、平均順位を上げることを得意とするギミックです。今回のルールならプライズを取れば1位を取らずとも良かったので、ダイレクトアタックは狙わず、2位を狙えるように治癒を多めに採用しました。

【炎上対策】

デッキレシピの項で述べましたが、「真紅眼」は環境トップシェアを誇るであろう採用率のカードです。よって炎上対策は必須とも言えるため、「禁じられた聖杯」「威風堂々」の他、上級モンスターをエース含めて3枚採用しています。
また、クロスエブリ杯では2戦目以降はデッキがばれている為、ランクマッチのように早期ターンに「究極竜」を見せる必要がありません。そうせずとも相手はこちらを無視することが期待できるからです。その為、2戦目以降は「究極竜」も後半まで温存することができ、炎上を受けた際に即時リリースするための上級モンスターとして運用できます。

【プライズ特殊ルールへの適応】

治癒採用と炎上への対策をし、残ったスロットは主に特殊ルールに対応する為、プライズ取得のために使いました。方法について詳しくは後述しますが、目標としては1ラウンドで1回はプライズを取得できるよう、確率とデッキバランスを考えて構築しました。

特に今回はプライズ取得の切り札として「強制脱出装置」を採用しました。これを1ターン目にドローする確率を計算した結果の構築になります。以下解説します。

1枚採用のカードを引いている確率

これが、「エースを除く19枚のデッキから、初手4+1枚ドローとして、1枚採用のカードをドローする確率」です。要するに【約27%】程度の確率で1ターン目に手札に引き込めるわけです。

さらに、これを1ラウンド3戦の内で一回以上ドローする確率を求めます。

一戦で初手ドローできない確率が100-27=73なので、73%=0.73

これを3戦繰り返すので、0.73×0.73×0.73=約0.39

0.39=39%の確率で三戦とも初手に引き込めないということは、つまり100-39=61となり、【約61%】の確率で三戦の内、一回以上は初手に「強制脱出装置」を引き込めるということになります。

61%というと安定とは言えませんが、プライズ取得は何をどうしても運が絡む点と、類似する他の罠の汎用性が高くないことから、今回はプライズ取得のための罠として、「強制脱出装置」1枚のみを採用しました。

5、プライズ取得方法について

今大会ではプライズを取得すれば1つ上の順位より高い価値になるということで、プライズ取得は無視できないファクターでした。
それは参加者全員が理解しており、もちろんその上でプライズを捨てるのも選択肢ですが、多くの方はプライズを狙うと考えられました。

この状況下では、プライズの取得合戦はかなりの妨害が飛び交います。それを前提にした結果、私は今回「加速で目立たず、攻撃力もそこそこのモンスターを向かわせて妨害の目を逸らし、罠で最後に奪い取るか漁夫の利を得る」戦略を取りました。
以下、少し解説します。

【加速不採用】

プライズ取得と言えば真っ先に上がる候補は加速持ちです。ただ、「妨害が飛んでくる」という前提では、加速持ちのプライズ取得率はそれほど高くないと考えました。放置すれば確実にプライズ取得する加速持ちは真っ先に妨害を当てられるからです。そして、「アリア」「護封剣」による減速・不動付与にせよ、「エネコン」「攻撃封じ」による表示形式変更にせよ、受けたモンスターは1ターン目にプライズまで辿り着くことはほぼ不可能です。その為、このゲームでは「妨害を受けた時点でプライズは取得できなくなる」と考えられます。(一応、誰もプライズに辿り着かなかった場合、2ターン目であれば取得を狙えます)

そうなると、妨害を真っ先にもらう加速持ちは不要と考え、今回は不採用としました。

【強制脱出装置】

今回の切り札です。
プライズ合戦において主要な妨害札は「アリア」「護封剣」「エネコン」でしょう。この辺りは汎用性が高く、ほぼあらゆるデッキに採用できます。それらの対象を他のモンスターに逸らしつつ、最終的に自分がプライズを取得するためには、「戦闘で勝てそうだから妨害しなくていい」と相手に思わせつつ、魔法カードの発動タイミングが終わった後、つまりバトルフェイズ中に罠カードによって妨害する必要がありました。そこで白羽の矢が立ったのが、この「強制脱出装置」です。

【治癒モンスターの攻撃力】

治癒モンスターは基本的に「そこそこの」攻撃力を備えています。この「そこそこ」が大切で、要するに一対一の戦闘では負けるので妨害札を貰いにくいということです。
また、対面に妨害が飛び、運良く左右が潰し合いを始めた場合、勝ち残ったモンスターがたとえ上級モンスターや攻撃弱化持ちであってもしっかり仕留める程度には問題なく攻撃力を備えています。

これは「妨害札が必ず飛び交う」という前提の話なので、通常のルールでは普通は加速持ちや高ステータスの方が有利です。

6、最後に

特殊ルールでの大会は初めての参加でしたが、環境読みに基づいてしっかり結果を残すことができました。
実際のところかなり難しい大会で、一手間違えると勝ち上がるのは私ではなかったような局面が複数ありました。というより実際にプレイングミスをした結果落としたゲームがありました。
4人対戦ということで運が絡むのは事実ですが、それはどんなゲームでも言えることかと思います。例えばカードゲームの方の遊戯王と比べても、先攻後攻がない分むしろクロスデュエルの方が実力勝負ではないかとすら思います。(カードゲームの方をディスっている訳ではありません。私はマスターデュエルも大好きです。)

そんなクロスデュエルの熱い戦いができるクロスエブリ杯、まずは配信をご覧になってください。そして、ぜひ次回に参加してみてください。
私も第1回と第2回は一回戦敗退でしたが、続く第3回で初めて優勝し、今に至ります。全ては自分次第です。

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