『_C』 第八話 思い出して大空になる街に消えゆく、君に逢いたい
奈々未「はぁ…はぁ…!
まだアイツら
追っかけてくるの!?」
橋本さんと俺は
ずっと逃げているので
息が切れていく。
「 俺に…策があるんで、
先に橋本さんは
下駄箱方面へ逃げてください!」
奈々未「 う、うん…!
気をつけてねっ…!」
俺は橋本さんを先に逃し、
ポケットに手を突っ込み、
その場で立ち止まる。
「おい!俺を殴ってみろ!!」
向かってくる追っ手に対して
俺はわざと挑発して、
俺の挑発に乗って
殴りかかる追っ手二人の目に
催涙スプレーを瞬時にかける。
「い、いってぇっ!!!?」
「テ、テメェ…!!
やりやがったな…!?」
目の痛みでのたうち回る彼らを
差し置いて、俺は逃走する。
俺は奈々未と合流するために
下駄箱の方面へ駆けるが、
目の前には多くの男達が
立ちはだかっていた。
吉田「 やっと、見つけたよ。○○くん(笑)
ここから先は通さないよ。
俺らの彼女達を危険な目に
遭わせようとするなら、
ただじゃ置かないから」
〜
奈々未「 はぁ…はぁ…。
よりによって…
なんで無関係の私まで
狙われてるのよっ…!?」
彼女はそう呟き、
息を切らしながら、
下駄箱の方へ向かい、
○○に
「私は下駄箱についたから、
乃木駅に集合!」
という内容のメールを
素早く入力して送信する。
そして、革靴を手に取り、
上履きを脱ごうとしたそのとき…
男から彼女は話しかけられる。
???「奈々未、お前が
○○を好きだからだよ」
彼女は驚きながら、
革靴を下駄箱に入れる。
奈々未「 太一…!?
太一がなんで
こんなことを…!?
アンタとはとっくに
“絶交する”って
言ったでしょ…!?」
那珂川「 気に食わねえんだよ…!
なんで俺じゃなくて、
あんな冴えない男を
お前は選んだんだ…!?
俺がダメで、あんな男の
どこが良いんだよ…!」
奈々未「 嫉妬深くて、
自分が思った通りに
物事が進まないと
気が済まない
そういうアンタの
卑しいところが
大嫌いなの!!
何か勘違いしてるけど、
アンタよりよっぽど
○○くんの方が
カッコいいし、
良い男なんだからっ…!」
那珂川「 この野郎ッ…!!
まあ、いいさ…。
説得してもダメなら…」
奈々未「何をする気…!?」
那珂川「俺が○○に強引に
“分からせてやるよ”(笑)」
奈々未「キャッ…!?!?」
昌樹「 暴れるんじゃねえよ。
暴れたらどうなるかぐらい
分かってるよな?」
穂井田昌樹は彼女を
後ろから羽交い締めにして、
身動きの取れないようにする。
奈々未「 離してよっ…!!
最低ッ…!!
こんなことして
良いと思ってるの…!?」
昌樹「うるせえな…!黙れよ!」
奈々未「んっ…!?んっ!んー!」
穂井田昌樹は彼女の口元を押さえ、
彼女を話せないようにする。
奈々未「んーっ!!んーっ…!!」
那珂川太一は彼女の口を
ガムテープを抑えて、
彼女の両手をガムテープで縛る。
那珂川「 じゃあ、奈々未を
体育館裏の俺らの部室に
連れて行くぞ。
昌樹、いいな?」
昌樹「 ああ!!
おい橋本?
もし逃げたらどうなるか
分かってるよなぁ?(笑)」
彼女は必死に首を振って拒否する。
昌樹「反抗してんじゃねえよ!」
抵抗する彼女を見た穂井田昌樹は
彼女の首を掴む。
が、那珂川はそれを制止する。
那珂川「 やめとけ。
いずれ奈々未も
抵抗できなくなるから」
昌樹「チッ…。そうだな…」
穂井田昌樹は
彼女の首元から手を離す。
奈々未「ふっー…!ふっー…!」
彼女は恐怖のあまり、
ガムテープ越しに過呼吸になる。
彼女は一筋の涙を流す。
昌樹「あんなに強情だったのに、
涙出てるじゃねえか(笑)」
那珂川「本当にそうだな(笑)
じゃ、部室へ連れて行くぞ」
彼女は恐怖で涙を流しながら、
○○が助けに来ることを祈る。
奈々未(○○くん…!助けてっ…!)
〜
-2階 職員室-
高山「 山神先生!柳川先生は
いらっしゃいますか!?」
山神「 柳川先生はね、
つい先ほど帰宅したよ。
どうしたんだ?」
高山「 山神先生でもいいですっ!
○○くんと奈々未さんを
どうか助けてください!」
山神「 なにっ!?
○○と橋本の身に
何かあったのか…!?」
「はい、一刻も争う事態です」
高山「な、なぁちゃん…!?!?」
山神「 高山、西野。
その話詳しく聞かせてくれ」
〜
「グフッ…!ウグッ…!」
吉田「 コイツ、弱えな。
コイツ、こんなに弱いのに、
俺らに喧嘩売ってきたのか(笑)
マジでバカじゃね?(笑)」
吉田の言葉に他の男達も同調し、
俺を嘲笑いながら蹴っていく。
タイミングを見ろ…俺。
こんなヤツらに負けてちゃ…
妹の和も
大切な橋本さんも
守れねえだろうが。