大屋根リング・会場周辺で〝実測〞 灼熱の大阪・関西万博◉横田一(紙の爆弾2024年10月号掲載)
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#大阪・関西万博 #日本維新の会 #吉村洋文 #大屋根リング #子ども無料招待 #駐車場から会場まで800メートル #熱中症指数 「38」 #維新の連敗
真夏の「子ども無料招待」
日本維新の会の馬場伸幸代表は8月5日、遠藤敬国会対策委員長ら約100人の維新議員とともに大阪・関西万博の会場を視察した。直射日光が照りつける大屋根リングの上で博覧会協会の石毛博行事務総長からパビリオン建設の進捗状況などについて説明を聞いた後、集合写真を撮影。馬場代表は「情報の発信が機運の醸成につながる」と強調。参加議員に視察の様子を発信するよう呼びかける一方、自身も家族や親戚にチケット購入を呼びかけることも明らかにした。
当初想定から約2倍の最大2850億円となる会場建設費上振れで維新批判が強まった中、万博開催の意義を発信して反転攻勢につなげたい狙いが透けてみえた。そんな馬場代表を大屋根リング上で直撃、熱中症対策について聞いてみた。
まず実測していた熱中症(暑さ)指数の結果について「危険指数31を超えている」と伝えると、馬場代表は「ほー」と驚いてみせた後、「33を上回ったら非常に危険」とつぶやいた。熱中症指数の意味を把握してはいたようだ。気温や湿度、日射・輻射から割り出される「熱中症指数(WBGT)」は、日本気象学会が策定した熱中症予防指針だ。熱中症指数を「危険(31以上)」「厳重警戒(28~31)」「警戒(25~28)」「注意(25未満)」の4段階に区分し、注意喚起をしている。たとえば「危険(31以上)」レベルでは「高齢者においては安静状態でも熱中症が発生する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動」と呼びかけている。なお環境省は全国各地の熱中症指数と気温と湿度の実測値をネット上で公開している。
そこで私は、熱中症指数が算出可能なデジタル温湿度計を2台用意し、大屋根リング上で実測した。そして結果が危険レベルにあることを馬場代表に伝えたのだ。
続いて私は「危険レベルは31以上。環境省は『31を超えたら外出を控えるように』と呼びかけている。(大阪府市が無料招待する)子どもたちが危ないのではないか」と聞いてみた。高齢者と同じように子どもたちも熱中症に対して弱いためだが、馬場代表は次のようにいくつかの熱中症対策を列挙して事足りるとしたのだ。
「それは、始まる時には、暑さ対策、ミストとか、いろいろなことがあるし、水をまいたり、(千葉の)ディズニーランドも(大阪の)ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)も同じ条件でやっている。閉園していないでしょう」
「そこ(熱中症指数が危険レベルであること)は注意喚起をしたりとか、暑さ対策を(来年4月の)開園までにやらないといけない」
馬場代表は結局、万博会場と同じ大阪湾岸にあるUSJを引き合いに出しながら、子どもたちの入場制限の必要性を否定した。
大屋根リング上で熱中症指数を実測して馬場代表に突きつけたのは、“維新ツートップ”の危機感の乏しさを目の当たりにしていたためだ。大阪府市は万博に子どもたちを無料招待する事業を進めているのに、維新共同代表の吉村洋文・大阪府知事も大阪維新幹事長の横山英幸・大阪市長(両人とも万博協会副会長)も、子どもたちのリスクを真剣に考えているようにみえなかった。「夏季(6月~8月)は無料招待事業を実施しない」とか「熱中症指数が危険レベルになったら子どもと高齢者の入場制限をする」といった具体的対策を打ち出す様子もなかったのだ。
7月10日の記者会見で吉村知事に対して「(大阪府は)熱中症対策として『特別警戒アラートが出たときは不要不急の外出を控える』と言っている。同じ基準を万博についても当てはめるのか。何度以上になったら不要不急の外出に当たるとして(万博会場への)入場制限をするのか」と質問した。
吉村知事は、「そこについては(万博)協会で判断することになるだろうと思う」と回答。府の基準と違っても、万博協会任せの姿勢が露わになった。
バス駐車場から会場まで800メートル往復
続いて私は、子どもたちが万博会場にバスで行った場合の熱中症リスクについても聞いてみた。「駐車場から会場まで800メートルもあり、かなりの時間を歩く。ここでも『熱中症リスクがあるのではないか』という指摘があるが、専門家の検証は経ているか。すでに検証しているのであれば、『何度以下だったら大丈夫だ』というガイドラインはあるのか」。
対して、吉村知事はこう答えた。
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