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8月10 日家のカギ「TICKET」青キャスト版を観てきたレポ

 我がブラザーが出演をする舞台と聞いて観劇させていただいた舞台、家のカギ「TICKET」青キャスト版。
「お前こういう劇好きだろう、お気に入りになると思うぞ」という太鼓判を貰ったワクワクの足取りで向かったそこには、素晴らしい体験が待っていた。
当文章では、僭越ながらそんな素晴らしい舞台の感想と筆者自身の考察等をぶつけさせて頂きたく筆を取らせていただいた所存である。



*注意事項

・本文章は、舞台家のカギ「TICKET」青キャスト版の重大なストーリーネタバレ及び設定への言及がございます。ネタバレが気になる方、まだ舞台を観に行っていない方は是非ともその眼で観ていただきたい為、本舞台の性質上ブラウザバックを強く推奨致します。

・本文章は筆者の主観故、見落としている場面設定、大いなる想像や妄想、本来の設定にはないであろう推察が含まれています。解釈違いの場合でも筆者を始末するのではなく、仏のような心で閲覧していただくことを推奨いたします。

・筆者は、演劇経験者でもなく普段劇を観る人間ではなく、演劇に関してはズブの素人であり、感想文を書くのが昔から苦手な人類の為、構成がぐちゃぐちゃな文と、忌避感を覚える表現等発生する可能性が御座いますが、非常に温かい目で見ていただければ幸いです。

・前置きが長くなりましたが、本文は結局如何にこの公演が素晴らしかったかという述べるだけなので少しでも筆者が体感した熱が伝わればいいなの精神でお読みください。
それでは対戦よろしくお願いします。




①あらすじ

とある組織が、大きな仕事を終えようとしていた。メンバーも選りすぐり、計画は万全、のはずだった。
ところが仕事は大失敗。しかも高跳びのために手配したはずだったチケットまで行方が分からないという前代未聞の事態に。
動揺する一同だったが
緊急事態に集まる手筈になっていたカフェに1人、また一人と集まり始める。
ヘマは許されない。ボスに知られては示しがつかない。前代未聞の失態を、どう挽回してボスに報告するのか、その会議をするついでに高跳びのためのチケットを手配し直し、ほとぼりが冷めるまで身をひそめる。そのためのほんの数分の集会だと全員が思っていた。
そんな中、メンバーの1人が言った。

「この中に裏切り者がいる」

この計画失敗は裏切り者によってもたらされたものだと言うのだ。かくして疑心暗鬼の探り合いが始まる……。(パンフレットより引用させていただきました)

迫り来る時間、裏切り者とは誰なのか、イレギュラーとイレギュラーが交差するこのカフェで起きるサスペンス劇である。


②舞台と空間

本劇は『パフォーミングギャラリー&カフェ 絵空箱』での公演であった。
筆者はカフェで劇をやると聞いて、カフェの一部に舞台があり、そこでドリンクを飲みながら観るのかぁ……オシャレだなぁ……ぐらいに思っていた。
そしていざカフェに着いて入場案内をしていただき、ドリンクを交換していただき(お酒を飲めると聞いて驚いた、とても美味しかったです!)
なんとなく中央のテーブルに座った。
左側の空間があったので、あぁあの辺でやるのかなぁなんてぼんやりと考えながらパンフレットに目を通す。

その時1人の男性が横に座った。その男は酷く何かを待っているように、忙しなく……ってもしかしてもう『始まってる?』

その瞬間に気がつけば筆者は舞台の中に居ました。待ち望んでいた開演前のカーテンコールはいつのまにか溶けて無くなり、日常空間が非日常と混ざってそこに広がっていた。
『舞台と観客』という関係ではなく『同じ舞台に居る人たち』というステージに引き込まれていきました。
始まってしまったというドキドキと味わった事のない感覚に汗を垂らしながら扉が閉まるのを眺めていた。


 今劇はとにかく随所にこれが現実とシームレスに続く空間であるという裏付けの配慮がなされているように感じることが出来た。
設定も我々観客が居るという事が不自然でないように作られており、お金で雇われたサクラなので反応が無い、その証拠としてチケットを全員持っているなど本当にそうだったと錯覚しかねないほど考えられていたため没入感が凄かった。
接客をしていたウェイトレスさんとウェイターさんが役者さんだと気がついた時は思わず身震いしてしまった。
そして始まってみれば右に左に前に後ろに役者さんが居る、まさにこのカフェ丸ごと舞台空間へと変えての話し合いを観ていて、とても楽しかった。
 座る場所によってかなり劇のイメージが変わるのではないかと思った。今回筆者はちょうどど真ん中の中央の席に座ったため、首を縦横無尽に動かす事になったが、カウンターに座ったり、演者さんと同じテーブルに腰掛けていたりしたなら、また違った印象を受けるのではないだろうか。たとえ10回観たとしても、席が違えば別の楽しみ方を得られる様な劇であった。



③人物について

以下より一人一人役の印象や思ったことをざっくばらん且つ妄想詰め詰め&勢いマシマシでお伝えしていこうと思う。
尚、重要なネタバレに触れてしまう為再度注意していただきたい。
(敬称略だったり、演じて下さった役者様には詳しくないので役名で呼ぶ事をお許しください)


・白井

33歳 金庫破り、経験豊富で古株、慎重で冷静なリーダーシップのある存在の印象を受けた。自身を庇って足を撃たれた本田を終始気にかけている所からもチーム全体の安全や今後の活動に対する配慮も伺え、借りた恩はしっかり返すタイプなのだろう。
どうして犯罪なんてやってんだってくらいしっかりした人だけど結構犯罪歴長そうだし、一度休業したのに戻ってきているから何か過去にあったのだろうか。
演技に冷静さと迫力さがあって凄いカッコよかったし、タバコ吸ってるシーンは思わず会話そっちのけで眺めてしまった。
多分今日に至るまでに小説二本分ぐらいの人生を歩んできているのだろう。
富田の息子の事を富田くん呼びなのが付き合いの長さが窺えて好き。
女だからって突っかかってくる百瀬に対して強く睨んでたけどやっぱり犯罪社会でも女性だからって舐められる様な事があるのかなぁと思う。
新木のおふざけを全て睨みでねじ伏せるの好き。


・本田

27歳 詐欺師、真面目だけど喧嘩っ早く、挑発にすぐ乗っちゃう人。……って感じだったのにまさかまさかであった。全滅後に外から帰ってきた瞬間にニヤリと笑った顔を見た時は鳥肌がたった。撃たれたという事実を上手く使い上手く疑心の目を逸らし、新木を使い殺人をせずに完璧に騙しきった…までは良かったのだけどね、裏切りの裏切りには辿り着けなかった(そこまでマスターと仲が良いとは予想外だった事だろう)
席の位置関係上一番顔が見やすく表情が良く見れた。めちゃくちゃ足痛そうで最初に入ってきた時と目の間で蹲った時はちょっと声が出そうになった。
タバコ吸えなかったとこ好き。そもそも金庫が空いてしまう事態が予想外だったのか?犯罪者を騙す詐欺師として活動していたんだろうか。


・金田

36歳 強盗、狂気的で衝動的、暴力的だが何処か引かれる魅力のある男。
今劇一番のヤバい男。店にづかづかと銃を見せながら入ってきた時、おいおいおい!と心で冷や汗かいた。
犯罪者の中にはポリシーやこだわりなどを大事にする者がいるが、彼はこだわりを相当大事にしているのだろう。
他のメンバーがハンドガンなのに対して、1人だけカスタムしたリボルバー(詳しくないが多分)な所がとてもお洒落で良かった。
席の位置的に真後ろだった為あまり拝むことができなかったが、めちゃくちゃカッコよくて好きなタイプの人だった。歩き方とか銃の構え、言葉の言い回しにカリスマ性が滲み出ていて、富田父がメンバーに選んだ理由も分かるような気がした。
絶対『〇〇の狂犬』って呼ばれてる。
劇後の面会で少しお話しさせていただいた時に爽やか過ぎて眩しかった。心の兄貴リストに刻んでおきます。


・副島

25歳、金田の付き人兼秘書。絶対優秀なんだけど多分男を選ぶセンスが少し残念なのかもしれない。
あの金田を嗜める事が出来ることから相当優秀な事が分かるし信頼されてる事が伝わってくる。
席の位置的に超真後ろだった為殆ど姿を観れなかったのが心残りだった。
でも百瀬→金田でしょ?凄いジャンルの変わり方でびっくりしてしまうよね。
めちゃくちゃ金田に固執してる所を観て、分かるなぁーその気持ち…ってちょっと思った。


・百瀬

28歳 空き巣、神経質で慎重、不安症で気が動転しがち、だが実力は確かな職人タイプ。
と思いきや現地で恋人作っちゃう人間的な所もある人。多分副島と解消してからずっと女性に対する確執がある。
とにかく随所に不安と焦燥が見えてて良かった。
大声をだすけど、言葉尻が萎んでいったりと感情に突き動かされてるシーンが多い一番この中で人間的な人だと感じた。
開演前からずっと貧乏ゆすりしたり立ち上がっては座ったり、非常に性格が出ている演技をされていてこの方のお陰で没入感が増した。
種田ちゃんに振り回されてる所は一瞬にして空間がドタバタコメディーになってた。絶対苦労人だよねこの人。


・新木

25歳 違法賭博師、お調子者で軽い男、のらりくらりで信用のない男。
犯罪映画とかギャング系とかで1人は居る若いおちゃらけ者。小森とふざけては白井に睨まれる流れは何回見ても面白くて好きだった。
まさかまさかの裏切り者で内通者。最後のシーンは、あぁ……ってなった。これから彼は金以外全てを失ってしまったがどうするのだろうか。
カフェに入ってきた時からニヤニヤと周りを見ていた演技が好きでずっと眺めていた。こういう役大好き。
白井の手から足で拳銃を取るシーンはあの席からじゃないと観れない気がしてなんだかラッキーだった。
犯罪者じゃなかったらお友達になりたい人。


・浦沢

39歳 カフェのマスター。落ち着いてて、でもユーモアがあって、裏の世界にずっと居るという年月を感じる人だった。
最初店に入った時、というか途中まで完全に役者さんだって気がついてなかったぐらいに自然なマスターだった。
マシュマロ食べてるところの動き面白過ぎて大笑いしそうになった。
百瀬が裏切り者かもしれないだろって指摘した時のマジギレのは?が店をやってきたプライドが出ていて好きだった。
推理シーンは聞きやすいし、叫んでるわけでもないのに声がスッと耳に入ってきていて聞き取りやすかった。大人の貫禄。
ああいうカフェでのんびり過ごしたいよなぁと思う。


・小森

23歳 カフェの店員。明るくてお気楽、ムードメーカで元気溌剌。でもスリが上手い。
よくあんな口挟めるなってぐらい肝が据わってる子。
ワン!の所は可愛い。
マシュマロ食べるの凄い大変そうだった。口の中パンパンやったでアレ!
悪いことしてる側の人間だけど、人を殺すって事はまだ受け入れられなかったり、一番観客寄りの人間だった気がする。
多分漫画の主人公になってもおかしくない。
席悩んでオロオロしてる時、にっこりとしてくださったのが忘れられない。


富田

27歳 ボスの息子。
正直ずっと裏切り者だと思ってた。だって来ないし、なんか怪しかったんだけど。撃たれた時めちゃくちゃびっくりした。
親への忠義は息子までいくとは限らない。これは人生において大事な教訓だと思う。
本当に事件の間何してたんだろうね。
2世って感じが凄く出てた気がする。


・種田

21歳 店員。多分心がオリハルコンで出来てる女の子。とんでもないよこの子。
銃を突きつけられても全然ビビらないし、とにかく可愛い。周りにお花が舞ってるオーラが出てた。
よくよく考えると働いてる店の強盗を手伝うとかとんでもなく恐ろしい子だわ…
百ちゃんとお幸せに…(叶わぬ願い)
死体みても怖いとかぐらいで済んでるのヤバすぎる。



④まとめて

ここまで色々と述べて来たものの、ストーリーも最後まで裏切り者がだれかわからずハラハラだったし、散りばめられた伏線の数々、役者さん方の迫真の演技。全てが最高で、映画の様であった。
筆者には昔から演劇に対する憧れがあったのだが、今回の公演は『観た』という表現ではなく『体験した』という表現が相応しい物だったと考えている。まさにあの瞬間、あの空間で自分は『共犯者』として舞台に立たせていただいた。
僕の小さな夢を叶えてもらった。そんな気がしてならない。

改めて本公演の出演者及び、関係者の皆様にはこのような素晴らしき演劇と出会わせていただき誠に感謝を込めてお礼を述べさせていただきたいと思う。

本当にありがとうございました。

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