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痛くて重い

4月初めの、肌寒い日に、母が他界しました。

その日は朝から心が落ち着かなくて、大学終わりにいつも通り病院に面会に行った。
「また明日会いに来るね。」
って声を掛けて帰宅して、その夜に病院に呼び出された。

母が倒れてから1か月半。
毎日母のいない家で「生きる」のが精いっぱいで、私の生活に余白は無くて、流れる時間に流されるまま。あっという間に日々が過ぎていきました。

3月、なにしたっけ。写真を見れば思い返せるけれど。

そんなあっという間の一か月半も、
いざ終わりが見えてしまった時、何とも言えない複雑な気持ちになりました。

心の中には、「あぁ、この生活も終わるんだ」と
一つ片が付いたようなような気持ちもあって。
今まで片足立ちで不安定だったのが両足ついたような。

ほぼ毎日病院に通う、非常な日々に、
疲れてしまっていたのかもしれません。

倒れてから母は一度も目覚めず、会話が出来なかった。
言いたかったこと、聞きたかった話、伝えたかった思い。
沢山あるんだよ。

「夢ならばどれだけ良かっただろう」

今でもたまに思います。
全部が夢で、ベッドから起き上がってリビングに出たら母が待っている。
そんな日がまたある気がするし、ふらっと家に帰ってくる気がする。

母は持病があって長く療養していたので、いずれその日が来ることは家族みんな分かっていました。分かっているはずだけど、準備はできていなかった。


心の傷を隠すように、気づかないふりをすれば楽しくもなれるけど
自分が感じているその痛みに気づいてあげないと進めない気がして
逃げている分いつか痛みが急に襲ってくる気がして
できるだけゆっくり過ごそうと決めました。


良い映画を観たよ。
今日空綺麗だね。
美味しそうなご飯屋さんがあったんだ。
今日の服おかしくないよね?
大学楽しいけど疲れるんだよね。

いつも話聞いてくれてたよね、ありがとう。
私のことを、これ以上ない愛で包んでくれてありがとう。
あなたと過ごした19年は、私の人生の中で最も幸せな時間だったし、
あなたに教えてもらったことが沢山あります。
あなたほどやさしい人を私は見たことがありません。
今、私のことをたくさんの人が心配してくれて、守ろうとしてくれています。
あなたの家族や、親戚や、友達です。
あなたが残してくれたものと、私の中に残っているもの。
いなくなるの早いよ、って言いたいけれど
それであなたが苦しまなくて済むなら私も嬉しい。
寂しい夜も乗り越えて、私が大人になります。

これからは一緒に生きていこうね。



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