今村明隆

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インフォーマルグループ

あらすじ  平穏な日常を送っていたタクシードライバーの井田は、突如身に覚えのない容疑で警察に連行された。弁護士の浅井と真相を探るうち、醜悪な権力の姿が浮かび上がってきた。  井田が運転するタクシーが、すすきの交差点に近づいてくると、その客は「ここでいいや」と言い、長財布を取り出した。ワンメーターの距離だったが、千円札を出して「釣りはいいから」と降りていった。今日三回目のチップをもらった井田は、晩飯代が浮いたな、そろそろ勤務時間も終わるから帰ろう、と会社に向かった。  会社に

    • 貴重な部外者

       就職活動を怠ったため、無職となり、引きこもり生活を送っていた私に、大学職員となった田辺くん(仮名)は、月に1回程度、連絡をくれていた。    その日も田辺くんは、午後8時半ころに連絡をくれ、次のように話し始めた。 「よう、仕事は決まったのかよ。えっ、まだなのかよ。何やってんだよ、頑張らなくちゃだめだろ。」    何年経っても覚えているフレーズである。田辺くんからの電話は、毎回これで始まる。ただ、今回はいつもより興奮気味である。    「いやあ、すげえモン見たよ。おめえ、前の

      • 40年に一人の男

         2年間の任期を終え、萩原係長が関東地方に異動となった。私と、定年間際の広川さん、厄年の大島さんの3名の上司である。    萩原さんは30歳の若い幹部候補であるが、「自分はチュウダイだから、本当はホウソウ?にもなれたけど、あえてこの仕事をしている」等と、時折、意味不明な専門用語を発するところを除けば、細かい点にも気が付く優秀な人材であった。    上司の栄転であるので、私を含め、3人の部下は、餞別をワイシャツの胸ポケットに裸で入れてパソコンに向かっていた。餞別を渡すことを申し

        • 再び安定した生活を取り戻すには

           何らかの事情で失職した場合、中年以降、再就職が非常に難しくなる。履歴書を送っても面接に至ることは少ない。  面接までたどり着いたとしても、前職の退職理由、健康上の問題、未成年の子の有無などを聞かれ、よほど上手く答えないと、その場で断れることも多い。  子の有無については、子どもの風邪等を理由に休んだり、早退したりすることが多いからのようである。周囲の再就職者や私の経験からも、何らかのコネがないと再就職は困難である。    しかしながら、中高年者や、特に技術がない者に対しても

          代書屋からの脱却に努める行政書士政治連盟

           行政書士は、行政書士法により、その目的を「利便に資する」ものとされてきた。しかし、同法改正により「国民の権利利益の実現に資する」ことも、その目的とされることとなった。  この改正によって、実際の業務内容に大きな変化があるわけではないが、単に利便のための存在ではなく、国民の権利を実現するための仕事となると、何となくやりがいも大きなものになるのではないだろうか。  この改正は議員立法によるものであり、その原動力となったのは、日本行政書士政治連盟である。  聞きなれない団体

          代書屋からの脱却に努める行政書士政治連盟