見出し画像

七度探して人に聞け

なるほどなあ。と思う。居酒屋の化粧室にかけられた日めくりの数字の下にそうあった。
何でも人に聞く前にしっかり探して聞くのは礼儀であろう。
少なくとも私はそんなふうに思うから、尋ねることは最後の最後まで取っておいて先ずはがさがさうろうろと捜して廻るような人生を送っている。
しかし最近では「はて?あれはどこへしまったのだ?」というところが出発点になるからガサガサウロウロする前に「どこにしまったとおもう?」と、自問自答しなくてはならず、捜し始めるまでに大変な時間がかかってしまう。
年を取る、ということが日々理解できる最近であるけれど、なんというか、閉まった場所がわからない。というのだけはなかなか素直に受け入れることのできぬ老化現象なのである。
捜さなくてはならないものなんか必要ないにきまってる。
居酒屋から帰宅したほろ酔いの頭でそんなふうにケリをつけ、勢いに任せて断捨離の実行と意気込んだ。
で、今朝、なにを断捨離したのか把握もしないで可燃物のゴミ袋を二つさっさと集積所へおいてきた。

日々容赦無く手を変え品を変えて侵食してくる老化に対抗するためには、七度も捜している暇はない。そんな時間があるなら私は捜し物よりも他のことをしていたい。そう思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?