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機材沼は時間の浪費

 目新しい機材が出るとすぐに試してみたり、あれこれとっかえひっかえする人がいますが、私はあれ、時間の浪費だと思っています。
 機材沼に時間を使うくらいなら、「これ」という機材を決めて同じ時間でその機材でできないことがないくらい使い倒したほうがいいと思います。
 私は、PAで入っていたライブハウスのハウス卓だったAllen & HeathのGL3300とアウトボード類をとにかく使い倒しましたし、実際音がよかったから、使い倒すに値すると判断して、ライブがない日もハウスに行って卓触ってました。右も左もわからない頃は、ウエディングの音響とかで行く乗り込み先の毎回違う卓に翻弄されていた部分もありましたが、GL3300をいじり倒すようになってから、芝居の音響とかいって、劇場にある卓とかでも、違いとか共通点とか、いろいろ見えるようになりました。

 音響やる前はトランペットやってて、それで音楽大学出たくらいなんですけど、トランペットも中途半端にわかってないと、やれマウスピースだの付随パーツだの、あれこれ試しだす沼にはまったりします。それ、結局どうなるか。結局元のセッティングに戻るんです。じゃあ、元のセッティングでできないことがないくらいやったほうがよかったよねって話で。実際、私はそれで時間を無駄にしたかなと思っています。
 プロや師匠が使っているセッティングと同じにしたからって、それが自分にとってベストとは限りません。そりゃそうだよね。そのプロや師匠と自分は違うのですから、たまたま同じものがベストだったってこともあるでしょうし、そうじゃないことだってあるでしょう。それは当たり前。

 じゃあ、自分にとってベストであろうと判断するにはどうするか。それにはやっぱり「自分の責任においてこれがよいと判断できるセンス」とか「判断できる力とそれを裏打ちできる知識」がどうしても必要です。だから、楽器や音響機材を扱ったり、何かしら技術を必要とする仕事って誰でもできるわけじゃないのが現実だと思います。

 業界的には裾野を広げるのはもちろん大切ですし、興味を持つ人が減ってしまうのは後継ぎができないという意味で死活問題ではありますが、かといって決して誰でもウェルカムではないということは、誰も言わないけどわかっていなきゃならないことだと思います。


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