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小説を書こう

 ふと、小説を書いてみようと思った。理由は特にない。書きたい題材があるわけでもない。そこで、とりあえず頭の中で色んな物語の種を転がしてみるがどれもパッとしない。

 それに、そもそも小説の書き方がわからない。勿論、気の向くままに書くのも良いと思う。ただ、折角書くのだからより良いものを作りたい。完成した作品を自分で読み返して楽しめるくらいのものを目指したい。

 Safariに「小説 書き方」と打ち込み、検索をかけた。すると“初心者向け!簡単な小説の書き方!”のようなサイトがずらずらと出てきた。とりあえず一番上に出てきたサイトを開こうとしたところで手が止まった。今自分がとてもつまらないことをしていることに気づいてしまったのだ。

 そもそも、世の中の小説家たちが小説の書き方を誰かに教わっただろうか?小説の書き方をネットで検索しただろうか?そうじゃないだろう。昔から小説が好きで、小説家に憧れ、とりあえず見様見真似で書き始めたのではないか。初めは拙くて何の面白味も無かった文章も、数を重ねていく内に少しずつ洗練されていき、深みを増していったのではないか。

 それに、いきなりサイトの言いなりになって書き始めてしまうと、テンプレのような文章が出来上がるだけのような気がした。まるで初めてプレイするゲームを攻略サイトを見ながらプレイしているようで、つまらない。

 しかも、小説の書き方がわからないとは言っても、小説について何も知らないわけではない。最低限の文章の書き方や起承転結などは知っている。また、昔から小説が好きだ。

 そう考えると、とりあえず作品をなんとか一つの形にする力は既に備わっている。そもそも、一度も小説を書いたことのない素人が、初めからそれなりに面白い小説を書こうなどという考え自体が間違っていたのだ。

 ここまで辿り着いた時、とにかく早く書いてみよう、という前向きな感情と、今から自分はなんの面白みもない見るに耐えない文章を産み出すのだ、という後ろ向きな感情が取っ組み合いの喧嘩を始めたが結局、そんなことよりも眠すぎるので一旦寝る、という結論に至った。


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