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おかあさんへの手紙

今日からちょっとずつかいてみる。
ずっとむかしにおきざりにしたままの
いろんなきもちのかけらを。

おくりたいけど、あてさきがわからないので
ここにそっとのこしてみる。


おかあさん、あなたはいまどこにいますか?
おんなじ空の下にいますか?
それとも既に空に還っているのでしょうか?


二十数年前。
おとうさんがあなたに勝手に
作られてたことも知らない
おとうさん名義のクレジットカードを
限度額まで使い切って、
あなたの新生活に必要な物を大量に買い
あなたが尊敬してやまない大恩人を
嘘八百を並べて騙し、大金を手に入れた。
いつから計画していたのか、
そんな風に全ての準備を終わらせて
あなたが決行したのは私が高1の冬でしたね。

朝、普通に学校へ送り出してくれたあなたは、
突然目の前から消えてしまった。
仕事の日じゃないのに、
夜になっても帰ってこない。
おとうさんが帰って来ても
帰ってこない。
記憶があいまいだけど、
置き手紙もなかったはずなので
何の説明もなく突然失踪した感じ。

もう何がどうなってるのか
意味がわからない。
普通じゃない、ってことが情けなくて
友達にも相談できなかったし、
苦しそうなおとうさんを見るのも
隠れて泣いている弟を見るのも
ただただ辛かったよ。
私も二人にわからないように
声を出さないで泣くようにしてた。
早く帰ってきてほしかった。

そんな日々を過ごしてた時に
あなたが、今後自分と実家に関わるなという
意味の内容証明郵便をわたしたちの元に
送りつけて来たのも追い打ちでした。

それを見た弟があなたの行方を知りたくて
東北にあるあなたの実家に
必死で電話した時に
(私は電話をしてみることも
思いつかなかったから、
あいつはちょっと頭良かったなと今は思う)
おじいちゃん、おばあちゃんが
何か色々言い訳めいたことを言ったあげく
『送った手紙のとおりに
もう自分達に連絡してこないでくれ』
って言ったらしいのは、
今でもひとでなしだと正直思ってます。
血がつながっているとか、
毎年遊びに行ってたのに(半年前も)とか
関係ないんだ。
そんなに簡単に断ち切れてしまう位の
つながりなんだ。
おかあさんにも、おじいちゃんおばあちゃん達
一家にも捨てられたんだ、って自覚させられる。
この時から二十数年経った今でも
東北地方には仙台より上の方には行けてない。
もちろん、おじいちゃん達の生死も不明。
(当時の年齢的には亡くなっていそうかな)
あなたの弟一家にも接触していません。

パートで勤めていた歯科医院に聞いても
あなたの行方はわからなかった。
後に医院長含め、職場の全員が
あなたたちのW不倫を知ってて応援。
わたしたち家族を心配するふりして
ずっと関係を隠してたと知った時も酷かった。
『(おかあさんの)居場所は言えない、
今まで隠しててごめん。
こうやって君に来られると迷惑だから
もうこの病院にも来ないで』
そんな風に言われて追い出された帰り道
悔しくてボロボロに泣きながら
病院の口コミに全部晒してやろうかなって
思いながら駅までかなりの距離を歩いて帰った。
おかあさんは覚えてるかな?
橋を越えるからめちゃめちゃ遠いけど気力で。

…みなさんと同じレベルに墜ちたくないから
考えるだけにしましたけど。
今でも病院は営業してるんだね。びっくりです。

ねえ、おかあさん。
わたしたちと暮らすのはそんなに嫌だったの?
わたしたちは家族じゃなかったの?
もっと弟と仲良くして喧嘩しなければ良かった?
もっと家事を手伝っていれば良かった?
もっと学校の勉強を頑張って公立の高校に進学できていたら良かった?
ゲーム大好きだから、休みはよくやって
いたけど、時間を減らせぱ良かった?
もっとおかあさんとおとうさんの顔色を
ちゃんとうかがって、その時々の最適解を
出せるようにすれば良かった?

何も言ってくれなかったのはずるいよ。
わたしは高1で弟は中2だったでしょ?
『言ってもわからない』年じゃない。
対話をして見るとか、何か出来なかったかな。
それとも『説明する価値のない』子供達だった?
春頃に離婚届を書いて出せ、とあなたと
おとうさんとの通話中、無理矢理受話器を
渡されて聞こえてきたのが、全てなんだろう。

『子供達はあなたにそっくりだから嫌い』

絶句。こんなの聞かされるなら
あの日の失踪した朝の『いってらっしゃーい』
のままで良かったよ。
だけど逆にこれを聞いたのが自分で良かった。
弟が聞かされたなら可哀想すぎる。
あいつはおかあさん大好きだし…
今はもう声も思い出せないけど
当時の発声ってかトーンの感じは覚えてる。
抑揚がない。おそらく無表情だったんだろう。

これを聞かされてしまった
当時の私、本当に辛かったね。
何度も何度もおかあさんの声で
再生されて相当きつかった。
めちゃめちゃ大泣きしたもんね。
なんちゅうタイミングで
受話器渡すんだよ、おとうさん。
ちょい、コラ。酷くない?

…でもさ、おとうさんなりに考えて
妻との通話中で時間がなくて
これが本当に最後になっちゃうかもしれないから
ちょっとでも子供に母親の声を聞かせてくれようと
したんだよね。
おとうさん、ありがとう…でもでもですね!

二十数年経ってもつよめなトラウマで残る
最後にあなたの声が聞けたことは、良かったのか
悪かったのか、今でもわかりません。

おかあさんが、何がしたかったのか今考えても
意味不明なんだけど、あの当時
不倫相手の子供(私と同年代の女子)を連れて
家の近くまで来てたというのは嫌がらせの一種?

それをあなたのママ友から聞かされたあげく
『あなたとだけは内緒で連絡してるんでしょ?
大丈夫よ、おばさん言わないから』と
言われた私の気持ちが想像出来る?
嫌がらせなら想像出来たからわざわざ来たんだ
ろうけどね。
あなたは、善意の隣人の手を間接的に借りて
私の心に刃物を突き立てたんだよ。
私自身の口からそのママ友さんが信じるまで
何度もこう言わせて。

『全く連絡がない。自分達は捨てられたから』

これはおとうさんにも弟にもずっと言えてません。
傷ついてる人をこれ以上傷つけたくなかったから。
ひと目でもわたしや弟に会いたいと思って
くれていた可能性も…0.1%位あるかもですが。
いや〜低すぎる。

当時のわたしはあなたの行動や言動で
傷ついても、誰にも言えないことばかりだった。
友人に言えば気を使わせるだろうし。
家族は傷付け合い、探り合い(本当に連絡
とってない?)だから、高校の担任の先生にだけ
事情を説明して配慮していただいた。
でも!本当に辛かった。苦しかった。
悔しい。悲しい。自分勝手すぎる。
何でわたしばかり、と繰り返し言ってた。
吐き出す場も無く、自分の内側に残させて
しまった。

本当にごめんなさい、当時のわたし。
当時のわたしを抱きしめてあげたい、と
言ってくださる人に出会えてとても
気持ちが救われたんだ。
そして傷ついてる当時のわたしを
置きざりにしっぱなしの自分に
気づけました。
私も当時のわたしの抱きしめて、
いっぱい頭を撫でて頑張ったって
言って…気のすむまで言いたくても
言えなかったことをちゃんと向き合って
聞いてあげたいです。

おかあさん。
今、わたしが当時のわたしに寄り添って
いろんなことをしてあげたいって気持ちは、
あなたにはわからないと思う。
だってあなたは何も言わずに
わたし達の前から突然去ることにした。
それだけずっと辛い思いをしたかもしれないけど、
誰かとちゃんと向き合うことを選ばなかった
あなたの気持ちがわたし達にわからないように。

私自身は母方の家系とご縁が強いらしい、と
お聞きする機会があり、遅まきながらここ数年
ご先祖様の供養をするようになりました。
母方の菩提寺を思い出せないのが、本当に
悔やまれる。
連絡出来ないから聞けない…(内容証明郵便の壁)
ですので、宗派が違うかもだけど、
定期的にとあるお寺で
護摩木祈祷をお願いしています。

おかあさん。
今、わたしはあなたやあなたの実家との
つながりは途絶えているけど、『わたし』が
『今ここ』で日々を生かしていただいている
ことをあなたの家系のご先祖様方に
きちんと感謝をお伝えしたいから
供養を一人ですると決めて実践中です。

いろんなきもちを思い出せて泣いたりぐるぐる
したので、やっぱり長くなってしまいました。

改めて、子供視点で見ると今回のことは
相当重いなって思います。
まだ書けてない部分は、別のお手紙で書きます。
わたしと弟にも何か原因があったのかもしれません
おとうさんとの夫婦間のやり取りは
子供に見せていなければわからないことも
多いでしょう。
おとうさん自身にも原因があるかもしれません。
ひとこと多すぎ、デリカシー皆無頑固親父。
いいところもある…分かりづらいけど。
もちろん、おかあさんあなた自身にも原因は
あるかもしれません。
おかあさんは、もう見切りつけて捨てる前提で
計画してるから、わかんないこと多すぎ!
対話しようよ、対話ぁ…〜みんなの考えや思いが
分からんからすり合わせも妥協とか意見の改善とか出来なかったろう!?

今回の手紙は、最後にこれを聞きたいです。
おかあさん、あなたはあなたと不倫相手の周り
にいる多くの人を巻き込み、騙して、嘘をつき、
傷つけてもわたしたち家族ではなく、
あなたの相手と生きていく道を選びましたね。
そこまでしてあなたが選んだ道は
今、あなたのしあわせにつながっていましたか?

この手紙の中でたずねた気になるいろんなことを
いつかどこかで会うことが出来たら
教えてください。

今はだいぶ大人になったあなたの娘より。

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