わたしはすてきなひとになりたい

家族が、後ろにいるので、このタイトルをできるかぎり小さく、ちじこめながら、書くことにする。

さて、日記からも小説からも遠ざかっていた。まるで、遠くの、わたしの家から見えんのは、手稲山とか、そんな山くらいどころか、見たことない景色くらい遠くって、縋りつくにも夢みたいだから、ネットフリックスで韓国の『シスターズ』っていう、連続するドラマがとてもおもしろくて、久しぶりに、日曜はバイトもなくって、じいっと、見入ってしまった。そんなとき、小説書くのめんどい、小説書けないし、わたしの小説めちゃくちゃだし、文法もわからないし、どうして、みんな読んだり書いたりできるんだろう、本なんて、燃やしても燃やしたりないくらいあるし、どうしよう、って思って、わたしは、とってもかっこつけだ。

分け目も、アホ毛もすごくて、すてきな人になりたいと思う。とっても、たとえば、さっと出かけられるような容貌で、と書いてみて、わたしが相当こじらせているのがわかるし、こういう考えだから、わしは、なにもかにも、うまくいかないつもりになってんだ、だから、とにかく書けよ、へたくそでもいいから、小説を書く。


芥川賞の発表号の文藝春秋を購入し、眼科に行き、ドライアイの目薬で液体の色が白いものを処方され、わたしの目は破瓜したり。

爪に、炎をともせ、と火炎瓶を飲み込む勢いで、金欠だったけど、母が食糧難を少し救ってくれて、週末までなんとか生き延びられる。


サンショウウオの四十九日、を文藝春秋の号で読み進めている。朝比奈秋さんという美しい名をもつ小説家の、線描のような筆致、「しずかな日常」をわたしはゆっくりと、咀嚼する、わたしは、世界を軽んじているのだろうか、なんて小説を読んでいて思う、描写、繊細さ、そういうものが、わたしには欠けているのだろうか、と、ともかく、わたしの才能は、嫉妬することだ、だからとにかく、書けよ、とそう思う。

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