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わたしの、雨あられ、すぐ海、こうずい、遭難、おやすみ金曜
昔好きだった人と、話す時って、もうふぬけぬけさく、脱け殻みたいになったらさ、どこが好きだったんだ、もみあげも嫌いだから、壁としゃべってるみたいで、わたしも、ツーバイフォー工法かい、愛や慟哭が、一時しのぎの単なる東屋だった、シリコンラップくらいの分厚さで、いかがわしいときもあったのに、わたしは、ずいぶんな薄情もの。やれ、恋とは甘いため息を固めた菓子。へんなの、もうしらないやそんなもん、捨てたプラスチ
もっとみるYou make Stray Kids stay
熱に浮かされたように、彼らの軌跡をたどり、おいすがり、自分の歩く道の、消えかけていたともしびに、そっと、ろうそくを近づける。ゆらゆらの、炎とともに、揺れて、ゆらゆら、その心地よい揺らぎに、質のいい宴席での、砕けた馬鹿話、放心に笑い、そっと明日を喜べる、しょうもない果てしない夕べ、みな生きて、生き延びて、それでもって、みんな、好きも嫌いも、幸福になるがいい、鷹揚に。そんなかに、いっつも陽炎みたいに
もっとみるどこかに、飛んで、凧のように離れてしまいたくてもさ。
なまえをよばれた。
しかし、ふりむかなかった。
肉色の蝶番、つるりとした突起、わたしのなめくじが、透明に這う。
喜びいさむ舌、勇敢な舌、果敢な味蕾、不格好に変色しつくした、小指の爪。
そのとき、粘膜は蜂起し、わたしのただなかに、ぐいと、押し入る。
――強盗のように――、蹂躙され、屈服する。
十時七分。つまさきが、痙攣する。
怠惰に糸ひく一対の、ひるの魔物。
時は、撹拌される