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私が邪魔だった

私が幼少の頃は母の付き添いなく、友達と近所の公園で遊ぶことが多かった。
当時住んでいた町は夕方になるとチャイムが鳴る。チャイムを聴いた子供たちはそれぞれの帰路につく。

チャイムが鳴ったら帰宅。

でもうちはそうではなかった。
チャイが鳴る時には既に家に着いていなければならない。

チャイムが過ぎてから帰るとどうなるか。

謝る私を無理やり押入れに閉じ込める。

どの位の時間だったか。。。

覚えていないけれど、まだ4歳とか5歳。
真っ暗な押入れに入るのは怖いし、たとえ短い時間だったとしても恐怖を感じている子供には長い時間。

押入れの中から謝っても簡単には出してもらえない。

チャイムは5時に鳴っていた。

公園には時計がなかったから、チャイムが鳴ったら5時だということはわかる。
たとえ公園に時計があったとしても、幼少の頃は時計の読み方がわからない。

じゃあ、どうするか?
母は「大人に時間を聞きなさい」と言った。

まだ幼稚園年中の子が常に時間を気にしながら、遊ぶことができようか。
当時は付き添いの大人がいないことだってあった。

現在子供を育てる身となったが、親となった今でも、母の言った意味が未だに不思議で理解しがたい。

母は私を押入れに閉じ込めながら、必死に内職をしていた。
外から内職の機械の音だけがよく聞こえていた。

最近ふと思うことがある。

自分の子供がどうしてもうるさい時、しかも夕方の家事が忙しい時間帯は、子供部屋を閉めて遊ぶように促す。

子供の声にどうしても耐えられない時にそうしてしまう。

そして、母に押入れに閉じ込められた事を思い出す。

内職に集中したかったからチャイムを理由にして私を一時的に閉じ込めてたのかな。

結局私も母と同じことしてるのではないか。
母に問うてみたい。


あの頃の私は邪魔だった?

そんなことを今更思っていると露知らず、母はこれからお裾分けを届けに来る。

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