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小6の時に遭遇した夏休み中の出来事 未だに癒されない心の傷

もう30年以上前の出来事。

小学校6年生の夏休みだった。
習い事の帰り道で、駅からバスに乗るため並んでいた。時刻は7時過ぎくらいだったと思う。

私は突然若い男性に声を掛けられた。
「すみません。警察ですが。いま万引き事件が流行っていて、ちょっと調べさせてもらいたいんですが。」
警察手帳を見せながら、私服の男性はそう言った。

当時の私は万引きの疑いを掛けられているのかとショックを受け、万引きは否定しないと、という気持ちが強かった。

私は習い事の帰りである事、万引きはしていない事を伝え、背負っていたリュックの中身を見せようとしていた。

そのニセ警察は「ここではなんだからちょっと来て」と私に言い、私は不安に思いながらもついて行ってしまったのだ。

バスを待つ列はそこそこ長くて、確か私の前は女性、後ろにはスポーツ新聞を読んでる男性だった。誰かしら会話のやり取りに聞き耳を立てていてもおかしくはないのに、止める人はいなかった。

ニセ警察は交番と反対方向に歩いて行き、細い路地に入ってすぐの建物の階段を上ろうとしていた。
見上げた所に「◯◯旅館」と看板に書かれており、ビジネスホテルなのかラブホテルなのか忘れてしまったが、取り調べには相応しくない場所なのは明らかだった。

私はここで自分が騙されて連れてこられた事に気がつき、怖くなり声を震わせながら「ここは嫌だ」とニセ警察に伝えた。

ニセ警察も強引に中に連れ込もうとはせずに、また別の方向に歩き始めた。近くにおもちゃ屋があったのだが、その辺りで立ち止まりキョロキョロし始めた。

何をしたかったのか。
他に入れる場所を探してたのか、実は共犯がいてくるのを待っていたのかわからない。
私は不安と恐怖でずっと堪えていた涙が出始めると、もう止まらなかった。

私たちの前を通り過ぎる人の目線が気になったのか、ニセ警察は「万引きは本当にしてないんだね?」と言い、私が頷くと解放した。

私は泣きながらバス停まで走り、ちょうど来ていたバスに飛び乗って早く母に会いたい。慰めてほしいと思いながら帰った。

解放されて安堵するのも束の間。
本当の恐怖と絶望はこれからだった。

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