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夫が最も好きなマドレーヌ・ケーキハウスツマガリの「じゅくまえに」

観劇やスポーツ観戦等で神戸〜大阪へ行く予定があると、必ず買って帰る焼菓子がある。
甲陽園に本店のある「ケーキハウスツマガリ」の焼菓子各種、中でも「じゅくまえに」。

同店のお菓子はどれを食べても「すごい…」と言葉を失うほどに洗練されていて美味なので、フルーツケーキや季節限定のタルト、ショコラマカロン等どれも素晴らしいのだが、その中で最もシンプルであろうこの大きめのマドレーヌ「じゅくまえに」は外せない。
行くともう商品棚に残り少ないことも多いため、あるだけ買い占めてしまったことも度々。今回も大丸神戸にあるだけ買った。

クラシックで重厚な洋菓子が得意なツマガリの商品群にマドレーヌがあること自体は当然としても、このように大きく卵の濃い素朴な感じに仕上げ、可愛らしい男の子と女の子のイラストが描かれたパッケージに包み、ひらがなで「じゅくまえに」と名付けたところに同店の姿勢、矜恃を見る気がする。それは「地域の店」としての在り方。

ツマガリのお菓子は安くはないが、高過ぎはしない適正価格だ。質の良い材料を厳選してスタンダードにつくられているからこそ、成長期の児童向けにおやつとして提供できるのだろうし、幼少期からこのように上質なお菓子に親しみ、味覚を育むのも良いことだ。習い事の前後にたまのファストフードも悪くはないが、このおやつなら安心。
遠方から通う私にはツマガリは神戸の街への憧れを含んだとっておきの存在だが、沿線に住む子どもたちにとっては気取らない「いつものお店」なのかも知れない。

ツマガリの本店へ向かう際、夙川から阪急甲陽線に乗り換えるとお洒落な女性客に目が留まる。どちらかと言うとマダム層の方々で、気張らない日常の中で仕立ての良いワンピースやカットが素敵なスカートを着こなす方が多く、アクセサリーや足元も抜かりない。上品な薄めのメイク、髪型や髪色もきちんと手入れされている。それがあまりに自然で、自分もこんな風に綺麗に歳をとりたいな、普段から手を抜いてはならないな…と刺激を受けたりする、そういう感じがとても神戸らしい。
ツマガリは、そうした街で老舗として長く愛され続けている。

さて、前置きが長くなったが「じゅくまえに」。これは夫が世の中のありとあらゆるマドレーヌの中で最も愛してやまないマドレーヌである。買って帰ると大変に喜ぶ。

元々私が焼菓子好きで、気になる店を見つけると大体買って試すので、付き合う夫も結構な数を食べて来ているはずだが、この「じゅくまえに」は初めて買った時から反応が違った。
やはり夫もツマガリには高級なイメージを持っているので、敢えてのこの「けんたくん」のパッケージに目を留め、ひと口食べるなり「俺これ気に入った。すごく好き」と目を見張った。いわく、卵が濃くてしっとりしていて、食べると元気になれるとのこと。買って帰ると嬉しそうに会社で食べるおやつに持参したり、帰宅後の洋酒のお供にしたりしている。
年に何度か購入するがその後も変わらず大好きで、夫にとっての「唯一無二」の特別な位置づけは覆ることはないようだ。

勿論私が食べても「じゅくまえに」は美味しい。恰も子ども向けのようにパッケージされてはいるが、子ども向けの味という訳ではなく、大人が食べてちゃんと美味しい。
材料の良さや丁寧なつくりは食べるとすぐにわかる。控えめな配合のアーモンドや、余計な香料が使われていないことも味に統一感を出している。私はレモンのきいたマドレーヌも大好きだけれど、「じゅくまえに」はレモンが入っていないのが良いと思う。

それと、「じゅくまえに」はこの大きさにも良さがある。
焼き色のついた表面は香ばしさ、中はしっとりとざっくりの両方を程よく味わえ、後味は軽やか。どちらかと言うとカステラや、昔ながらのざっくりとしたパウンドケーキに近い美味しさ、でもあくまでマドレーヌなのである。それが良い。夏は賞味期限が短めに設定されているが、冬はより長持ちするのも嬉しい。

この卵色、10代の頃初めてつくったパウンドケーキを思い出す

1個370kcalとやや高カロリーなので、私は半分ずつ分けて食べることが多いが、長身の夫は勿論一度にまるごと食べる。羨ましい。

また次に行ける機会が楽しみだ。涼しくなったら是非ケーキも買って帰りたいな。

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