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『成人と小児の言語訓練での考え方の違い』


こんにちは、AsianSTです!



今回は『成人と小児の言語訓練での考え方の違い』

をテーマにお届けします!😊



成人も小児もことばの訓練では

「絵カードを使って発話を引き出すし…、 STが言ったことを真似して

 言ってもらうし…、 STが言ったことばに合う絵を指さしてもらう。」



きっとこのように考える方もおられるかもしれません。

それは間違えていないと思います。



しかし、

「こどもとおもちゃを使った訓練をやったとしても
   
   大人にはやらないよね?」

といった意見もあるかと思います。



それも、そうかもしれません。

しかし ”改善の道筋を立てるための訓練”

という意味で言うと、本質的な違いではありません。



結論に向かっていきます。

成人の場合は、基本的に正常発達を終えた人に

脳血管障害などが起こって、障害された脳の部位によって

様々な症状が引き起こされる、というものです。



その中で、損傷部位が脳の左側の言語野に関わるものになれば、

言語の問題が出てくることになります。



一方で、小児の場合は様々な理由で、発達そのものが

遅れてしまうために、言語の問題が表面化してくることになります。



このように言語の問題が出てくる過程の違いは明らかですが、

訓練を考えていく上ではどういった違いが出てくるのでしょうか?



まず、成人の場合ですが、基本的には言語障害の範囲内で

考えることになります。



どういうことかと言いますと

例えば、失語症で考えてみると、ウェルニッケ失語であれば

聴き取りがうまく行えないことがメインの問題になります。



しかし、やみくもに聴き取りの訓練、例えば文を聞かせて

ポインティングをしてもらうようなことをやってもうまくはいきません。



なぜなら、ウェルニッケ失語の核となる問題は

音と音の切れ目が聴き取れない(知覚できない)ことにあるからです。



そこをとばして、よりレベルの高い訓練である

文を聞かせることをひたすらやっても、改善は難しいということです。



つまり、成人の言語訓練においては、より主問題を評価する精度の高さが

求められると考えられます。



一方で、小児の場合ですが、小児でも、成人に近い考え方で行うことも

当然あります。



それは、発達の問題がほぼなく(正常発達な中で)

言葉の問題のみが表面化している場合です。



例えば、吃音や機能性構音障害などです。

もちろん小児の場合は、成人と違ってより”楽しい”要素を訓練に

組み込むことも必要になりますが、基本的な訓練の考え方は、

先に述べた成人に近いと思われます。



一方で小児の場合は、正常な発達過程を終えた成人の場合とは異なり

発達過程で何らかの遅れがみられて、言語の問題が表面化する

ということが多いです。



言語というのは、机の上で勉強する、あるいはYoutubeのような

動画をみることで獲得できる訳ではありません。



言語を獲得するには、言語だけをひたすら鍛えれば良いという

ことではなく、身体や精神、あるいは目の動きであったり、

五感なども含めて様々な機能と結びつくことで発達していきます。



そして、本人自らが様々な体験をしていくことが必要です。



そのため、小児で言語の問題があったとしても、言語だけではなく

全体発達をみて、発達のバランスだったり

発達の抜けがないかを評価することも必要となります。



例えば、自閉スペクトラム症のお子さんでは、

大人と言葉のやりとりをする中で、相手の情動(気持ち)を

感じ取れないという問題がみられることがあります。



この場合に ”大人の言う言葉が理解できていないから”

と考える方もおられるかもしれませんが、

言葉の土台であるプロソディ(イントネーションやリズム)

が浸透して、はじめて言葉は記号として成立して意味をもつ

と言われています。



つまり、自分の体を通して時間や空間の運動感覚を

育むことも考える必要があると言うことです。



今回は、成人と小児の言語訓練における

考え方の違いについてお話させてもらいました。



これは、他の言語聴覚士さんも同じように

考えているのかは分かりません。



言語聴覚士さんによって、考え方は違うと思いますし

渡邉は、このように考えている、ということをお話しました。



今回も最後までお読みいただきありがとうございましたm( _ _ )m

また次回お会いしましょう(*^▽^*)!


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