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デッドマンズランド

2.スタディーイングリッシュ!

この島では雪が降る。
真っ白な雪が降る。
そう、真っ白な。

スタディーイングリッシュ!
スタディーイングリッシュ!
英語を学ばないと、外国には行けませんよ!
スタディーイングリッシュ!
スタディーイングリッシュ!
英語を学ばないと、外国には行けませんよ!

なにやら、青い癖毛がぴょんぴょん跳ねている。
帰り道、どうやら先生の口癖をジャンプしながら甲高い声で復唱しているようだ。

あおい。また先生のことバカにして。

背の高い少女が注意した。

しろねえは真面目だなぁー。いい子良い子してあげようかー?

にぃーと八重歯を見せながら、またぴょんぴょんと跳ねた後に走り出した。

あ、こら!!

待ちなさい!あおい!
少女の黒く長い髪がなびたいた

少女達が走っている。
小さい子どもは青いランドセルを振りましながら。
背の大きい少女はグレーの学生カバンを抱えながら。
勝負は長く続くかに見えた…

あんた、体力無いんだから、すぐ走らない!
猫を待つように襟を掴んでぷらぷらする。

んー、今回は逃げれると思ったのにな。
ぷらぷらされながら、笑ってあおいはしろを見上げた。

この島には大事な風習がある。テストだ。生まれた時に神様からテストをいただく。
一人ひとり違うテストは記号で形成されていて、時間制限はない。
つまり人生をかけて解くテストだ。解いた量を最後にお墓に刻んでその人を供養する。

こんな純粋な子が85点なんて今でも思えない。
人生全部を使ってやっと半分ってところなのに…

うむ、くるしゅうない。カラス頭にしてはなかなか。
ぷらぷらされながらご満悦に顎をさする。
あおいの嬉しい時に出る癖だ。

あんた、この状態でよくそんな態度取れるわね。

へ?

プラプラからのヘッドロック!!訳してプラロック!

ちょっと待て!嫌――!!!!

12月22日
白い雪が微かに降り始めていた。


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