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終わりの入り口
ローンを初めて組む。
その緊張を味わったことのある人は
そう多くないと思う。
その頃には無人契約機がメインになっており
よくテレビやドラマで見られるような
対人の窓口で契約するという事は中小消費者金融、いわゆる街金でもない限り
少なくなっていた(後に行くことにはなるが。)
しかしながら普通に生活していたらまず入る事は無いし、あからさまにいかがわしい雰囲気たるや
田舎の人気のないところに設置されているエッチな自動販売機並みの無人契約機に、
今しがた二十歳になったばかりのガキが入ることになるのである
それはそれは緊張と後ろめたさが無くなる事は無かった。
身分は学生であったが、親方の口裏合わせで
仕事をしている体で在籍確認や給料明細は準備していた。
1日で3、4ヶ所は行かされたであろうか。
合計で3、40万ほど借入をしたと思う。
めでたく債務者の仲間入りをした。
そこでも安く買い叩かれてその時は後に渡すと2万程の分け前をもらった。当然それ以上もらえる事は無かった。
カードは親方が持ち、支払いも親方がする。
浅はかだった。
じわじわと自分の首には縄が付けられていると感じることになる。
すぐに気づく事が出来なかった自分を責めても責めたりない。
しかもそれから一年ほどは行動を共にしていたからだ。
その1年間程の間にトラウマになった遠征や
その他の出来事を経験した。
その間にも増額はされていった。
なにせ親方の金策がうまくいかないと自分の借金も払われる事がないという危機感もあり、事態は少しずつ確実に悪い方向に進んでいった。
そんな中、学業に関して元々行く気のない大学に進んでいた為、大学とは疎遠になりどうしても自分の志していた道へ進みたいという願いが抑えられずに大学を中退する事を決意する。
今考えても自分はどうしようも無い人間だ。
紛れもなく親にとてつもない負担をかけて
人生を歩んでいるのが何よりも申し訳ない。
全て自分の欲望のまま突き進み
周りの人間を不幸にしながら生きている
なんとかしなければそう思えば思うほど
泥沼にハマっていく。
そして大学を辞め地元に帰る
そして地獄の入り口に立つのである。
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