雨あがりて #12
#真夏の怪談まつり2024
参加 創作ホラー話し
☆-HIRO-☆ 第12話
2024年7月26日(金)
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前回のお話し
第12話 話しの続き
海岸沿いの道に出たが石野さんの話しは続く。
「病院という所は患者さん自身が邪悪なものを連れて来る事もあるし…体の弱ってる人にとり憑いてやろうと待ち構える邪鬼も集まってくるの…だから本院の周囲には結界を張って災いを封じているのよ…」
「そう言えば今日、着く直前に胸が苦しくなったんですけど…着いたら不思議と治まったんです…」
「時々そんな話しを聞くわね…とり憑いてる邪鬼が行かせまいとして邪魔してるのよ…まあすぐ治まったのなら、やはりそれ程強い奴じゃなかったのね…」
「よく“病院という所は病人が集まる場所だから、悪い菌を貰わないよう用心しないと”…とは聞いてたけど…そういう怖さもあったんですか…でもあそこなら安心ですね…」
「一応、四方を灯籠や祠を祀って結界を張ってるからね…邪悪な物の侵入はある程度防いでるわ…」
「あっ、祠…駐車場の隅に見ました…そう言えば、あれとよく似た造りのものを診療所の前にも見かけましたけど…」
「あらよく気づいたわね…あの診療所は構造的に結界張るのは難しいから…せめて入り口に睨みを効かす祠を目立たないように祀ってるのよ…あの建物自体に灯籠やら祠があったら違和感で人目を引くという事もあるし…」
「実は昨日、あそこで雨宿りをして…そこから出る時、何か悪意のある目を見たような気がしたんです…」
「…あぁぁ…それは祠の後ろに潜んで、来る者にとり憑いてやろうと待ち構えてたのかも知れないわね…もう少しあの場所自体に立ち入れないようにしないと…こういう事案があったと報告しても差し支えないかしら…」
「ええ、それは勿論構いません。むしろ是非対処して下さい…」
「本院、分院ともに神社と一体になって…これまで数多くの強い邪鬼を封じてきたわ…そのせいでそれを恨む手下の邪鬼共が、隙さえあらば攻撃してやろうとウロつくのよ…とんだとばっちり喰わせてしまったみたいね…」
やがて車は国道に出る交差点にまでやってきた。
「でも、お仕事終わりの疲れてる時に、わざわざ送ってもらって本当に済みません…」
「いえ、いいのよ…運転は嫌いじゃないし、いい気分転換になるわ…どうせ帰っても一人で退屈するだけだし…」
「えっ、ご主人さんが待ってるのでしょう?…」
「今日は夜勤なのよ…一緒に住んでても滅多に夕食を一緒に食べるなんて事ないのよね…」
「はあ…それじゃ、途中でゴハンご一緒しませんか…今日のお礼にボクがご馳走しますよ…」
「あらいいわね…帰ってから夕食作るのも面倒だし…たまには外食で済ますのもいいかな…」
「それじゃ、国道沿いのファミレスにでも寄って下さい…どこにするかはお任せします…」
国道は空いていてスムーズに流れていた。
次回は第13話「夕食を一緒して」
ご期待下さい。
#創作大賞2024 #ホラー小説部門