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脱!軍隊式指導 野球って本当は多様性のあるスポーツ

現在、あらゆる場面で「多様性」という言葉を聞くようになりました。

多様性(diversity)とは、オックスフォード英語辞典によると、「互いに非常に異なる多くの人や物の集まり」と定義されています。

また、社会的な観点で多様性というとLGBTQ+や移民、障害を持つ人や女性といったマイノリティ(少数派)の人たちのことを指すことが多いと思います。

私自身も50年近く生きてきて、確かに人はみんな違うと感じますし、多様性というのは何も今に始まったことではなく、人そのものが元々多様な存在なのだと考えます。

いまの社会は、「多様性」という概念が認められ尊重されつつあり、とても良い方向ですね。


軍隊式指導は多様性と真逆

多様性という観点から野球指導について考えていくと、昔ながらの軍隊式指導は、多様性というより、その反対の画一性の要素がより濃いと思われます。

監督の指示に従って動くことが最善であり、それができない者は除外されていく指導です。

事実、私が30年以上前に受けたバッティング指導では、体も大きく真芯に当たれば悠々とフェンスオーバーできるような子であっても、逆に非力で芯で捉えた球でさえ内野の頭を超えないような子であっても同じ指導。

「バットは寝かして構えておいて、右脇を締めておいて擦り出すような感じだ。これができないヤツは試合に出さないぞ。」と強制的に・・・

それでも試合に出たいので、みんな必死になってそのフォームが身につくように素振りをしたものです。

なので、チームみんなが同じバッティングフォームです(笑)


野球って本当は多様性のあるスポーツ

野球というスポーツは、本来的には他のスポーツに比べ「多様性」を多く内包していると感じられます。

単純ですが、サッカー選手は皆スラっとしていて足が速い、太った選手はほとんど見かけません。

柔道の選手は、体格差はありますが、それは階級制によって均されています。

それに比べ野球は背が大きい子・小さい子、太っている子・痩せている子、パワーのある子・足の速い子とそれこそ多様で、一緒にプレーします。

みんながみんな足が速いことを求められたり、パワーがあることを求められることはありません。

各々がそれぞれの強みを活かし、それに適した守備位置や打順を任され、そこでの役割を果たせばそれで良いのです。



少年野球で得られる多様な他者との関わり


子どもたちは野球を通じて、多くの多様な他者との関わりを持つことになります。

もちろん、学校生活においても、それ以上の多様な他者との関わりを持つことができますが、1つの目標に向かってチームメイトと協力するという意味では、少年野球の方が濃度が濃いと言えるでしょう。

と言っても、はじめは他者を認めるということはなかなか難しいようです。
やっぱり俺が俺がです。

オレはバッティングが得意、オレすげぇ〜だろ。
オレのほうが足が速い、お前遅えな。

という具合に、自分はすごい、他人より優っているという主張が強いです。


多様性から学ぶ「感謝」と「他者尊重」


しかし、いくらバッテイングが得意でも常に絶好調ということはありません。
スランプで全く打てないときもあります。

守備が得意で普段ほとんどエラーしない子であっても、ここぞという場面でエラーしてしまうこともあります。

そんなとき、今日は全然打てなかったけど、アイツのピッチングのおかげで勝てたとか、エラーしたけどアイツが打ってくれたおかげで逆転できたとか、否が応でもそういう場面に直面します。

自分はダメだったけど、周りに助けてもらったという場面です。

そして、そのような経験の繰り返しから、子どもたちは自然と周りに感謝したり、他人を認めることを学んでいきます。

この「感謝」や「他者尊重」を学ぶということは、子どもたちが大人になるまでの過程において、さらには大人となり社会で他者とより良いコミニュケーションを取っていくために、とても重要なことです。

ぜひ、学び身につけてほしいものです。


監督・コーチの役割り

少年野球は、野球の入り口であり、人生においても序盤の序盤です。

当然、野球の技術指導だけでは不足ですし、ましてや勝利至上主義で良いわけがありません。

野球というスポーツを通じて、これからの人生を歩むために大切なことを、いくつも学んでいくことにその意義があります。

監督・コーチはその場を預かる存在です。

エラーした子どもや打てなかった子どもに対して、罵声を浴びせかけることが仕事ではありません。

自分がダメでも周りが助けてくれたことを気づけるような声かけをすることや、エラーした仲間を責めるのではなく、そのエラーを取り返すためにみんなで頑張ることを伝えていくことこそ、その役割りなのではないでしょうか?


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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