放送設備計画(基本設計)

放送設備の計画について記載します。
放送設備はメーカー依頼することも可能ですが、今回は内作基準で記載します。

放送設備の種別、概要は以下となります。
非常放送…火災を館内へアナウンスする為のもので、消防法令別表1に該当する建物に設置
業務放送…館内、屋外に放送する為の設備で、マイクアナウンス、チャイム、メロディ等、火災以外の内容を放送する設備
非常兼業務放送設備…非常と業務を組み合わせたもの
ローカル放送設備…小規模な店舗等で使用。映像音響設備で用いる放送設備はこのシステムを利用します。
放送設備は以下機器にて構成します。
アンプ…放送設備の主装置。この装置から音源を流し、内蔵アンプで増幅して放送します。形状は壁掛型、ラック型があり、総合盤に組込む場合はラック型を盤で囲うイメージになります。
リモートマイク…マイクアナウンスをアンプ以外の場所から行いたい場合に設置します。
スピーカー…アンプやリモートマイクの音を発します。
形状は天井埋込、天井直付、壁掛、壁埋込とホーン型があります。
仕様は一般型、防水型、クリーンルーム用、防爆型とあります。
またアッテネーター付のスピーカーがあり、アッテネーターを設置しない室にはアッテネーター付のスピーカーを用います。但し、埋込防水型、クリーンルーム用にはアッテネーター付スピーカーがありません。(スピーカー周りをシール処理することにより、スピーカー背面にあるアッテネーターが操作できなくなる為)
アッテネーター…壁に設置してスピーカーの音量調整を行う音量調整器。人が長時間滞在する室に設置。
カットリレー…音響設備の音楽を遮断して非常放送を流す為に設置。音響設備のアンプ付近の壁に設ける。

計画手順は以下となります。
スピーカー、アンプ類の配置→放送回線区分(放送エリア)の設定→端子盤間幹線の選定→アンプ容量の算出、アンプ仕様の決定

スピーカー配置…スピーカーは非常放送の場合、設置する室を半径10m円で包含できるように配置します。業務放送の場合は規定がありませんが、非常放送と同様に配置していくのが一般的です。
廊下に隣接する室でその廊下のスピーカーから半径8mで室内を包含できる場合、且つ、その隣接室の面積が30m2未満であれば、その室のスピーカーは省略ができます。
小区画のシャフト(2m2未満)やトイレ個室、浴室も省略可能です。
広い空間や騒音の大きい機械室や生産エリアにはホーン型を用います。
ホーン型は1スパン1台程度で設置しますが、放送状況を事前シミュレーションをする場合は音圧分布をメーカーに依頼して作成します。
アンプは建物の主管理室に設置します。

放送回線区分の設定
放送を一緒に行いたいエリアを設定します。
例えば店舗ですと売場とバックヤードを分けるイメージとなります。
フロア毎で居室エリア、その他エリアに分け、階段、ELVに1回線数ずつ振り分けるのが一般的です。
回線数はアンプの選定に影響し、必要回線数の直近上位で5、10、15、20、30、50回線とある程度用意可能な回線数から選択します。余りは予備にします。

端子盤間幹線の選定
回線数を設定したら、必要幹線を計画します。
ケーブルは業務放送のみの場合AEケーブル、非常放送がある場合はHPケーブルを使用します。
対数は1、2、3、5、10、15、20、30、50Pとなるので必要芯数の直近上位を選定します。
Pはペアを示し、1Pにつき2芯がペアになったものとなります。
1回線につき3芯を使用するので
3回線あれば3芯×3回線=9芯→5P
5回線あれば3芯×5回線=15芯→10P
というように端子盤の受け持ちエリア毎に選定していき、基本的に端子盤間を送り配線としていきます。(末端から端子盤間を渡り、対数を増やしていく)
カットリレーは回線とは別に扱い、カットリレー1個に対して2芯を別幹線で計画します。
こちらも端子盤間は送り配線とします。
幹線は最終的にアンプへ接続します。

アンプ容量の算出、アンプの選定
幹線を計画したら系統図を作成します。
またアンプ容量を算出していきます。
回線数毎に回線番号を振り、回線番号毎にスピーカー種別の数量を表にして、員数表を作成します。スピーカー1台毎W数を乗じます。
非常放送で使用する場合は3W/台、業務放送は1W/台とします。
ホーン型は使用するW数が切り替えできる為、使用するWとするか、特に設定が無い場合は5W/台とします。
回線毎小計を出し、小計の合計にてアンプの必要容量(アンプ容量)がでます。

アンプのブロック図や仕様書はこれまでの作成内容を元にメーカー作成依頼をかけて作成します。

以上となります。
放送設備はプロットからメーカー作図依頼が可能なので、アンプ設置場所、リモートマイク要否、室毎のスピーカー仕様、回線区分の考え、端子盤設置場所を提示することで図面作成をして頂けます。

以上となります。



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