産業医完全未経験の労働衛生コンサルタント試験対策 筆記試験編

令和5年度に労働衛生コンサルタント(保険衛生)に合格したのでその勉強に用
いたテキストや勉強法について解説します。

ほぼ全部無料で読めますが、最後に試験対策に非常に有用な勉強法の情報について記載していますので興味があるひとはぜひ購入をお願いします。


自分は医師10年目で産業医経験全くなしの状態から勉強を始めています。


実際の試験は労働衛生一般と関係法令の2科目を受験しました。

この2科目の特徴をざっとまとめると、
労働衛生一般:免除可能、医師の知識が援用でき簡単、医者なら過去問だけで対策可能

法令:受験必須、医学と全く関係ない法令なのでやや難、対策も必須

となります。

筆記のみの勉強時間としては150時間程度でした。
労働衛生一般の勉強なしにすればもう15時間くらいは削れます。
逆に言うと労働衛生一般の勉強量は医者なら法令の10分の1くらいでいけます。
なので以下で紹介する本は基本的に法令対策と考えてください。

参考書・問題集マニアなので結構いろんな本を買って読みました。
それらも含めて紹介しますが、本当に必要なのは2~4冊程度だなというのが受験して合格した感想です。

以下、自分のやった勉強の流れです。

職場の健康がみえるを通読

第一種衛生管理者向けテキストを通読

第一種衛生管理者対策の問題集(テキストに付属のものでもよい)を何週か

過去問演習ひたすらこなし、法令については新問がたびたび出る粉じん則や石綿則の条文の細かいところを自分でまとめて覚える

以上の流れで試験対策を行いました。

産業衛生の知識ゼロなのでまずは易しい本で大まかな背景をつかみ、
衛生管理者向けの比較的易しい問題集で大まかな知識定着、
そして過去問を解きながら法令の頻出部分をまとめるという流れです。

次に実際に使った参考書や問題集について解説します。
以下に使った参考書をまとめました。

おすすめ度を書いていますが、筆記試験対策としてのおすすめ度を書いています。労働衛生のしおりなんかはどちらかというと口述対策なのでこちらでは低めに評価しています。


職場の健康がみえる おすすめ度 ★★★★★

学生時代からお世話になっている病気がみえるシリーズの産業保健版です。
労コン対策のためにはあまりにも内容が浅いですが、産業保健がどういうものかざっくりと理解するにはとても使いやすい本です。
2019年発行で内容が古いですが大枠を理解するためのものなので古さはあまり気になりません。
買うほどではないですが一読する価値はあります。


改訂2版 この1冊で合格! 村中一英の第1種衛生管理者 テキスト&問題集 おすすめ度 ★★☆☆☆

職場の健康がみえるの次にこちらを通読しました。
2022年に出た第一版を使っていたのでその感想になります。
※2024年に改訂版がでました。
改訂版は読んではいませんが最近の情報に更新されているとは思います。


かなり平易な内容で書かれておりとっつきやすさは良いです。
ただし少し情報量が少なく、労コンの試験に必要な知識を得るには物足りないです。何かしら追加の参考書で知識を補強する必要がありました。
この本で勉強したことは全く無駄ではなかったですが、次にご紹介するわかるわかるだけでよかったかなとも思っています。


わかるわかる!第一種衛生管理者試験(改訂2版) おすすめ度 ★★★★★

労コン対策の情報を書いてるいろんな医師が薦めている参考書です。
情報量が多く(488ページ) 章末の問題も知識の定着に使いやすいです。
手元に来たら結構分厚くて驚くと思います。

自分は全体通読を3回くらいしてから赤シートを使って章末問題を数週解いて過去問対策に入る前の知識定着に使いました。
2020年発行なので情報が古いのが玉に瑕ですがまともに勉強していればどこが古いかというのは過去問演習のなかでおのずとわかってくるのでそこまで大きな問題でもないかなと思います。

労働衛生のしおり おすすめ度 ★★★☆☆

いろんな人が勧める労働衛生のバイブルです。
序盤に最近のトピックがまとめられています。
そして本文は大まかな労働衛生の背景知識を述べながら加えて最近のトピックにも触れます。

最近のトピックはどちらかというと口述で聞かれるので筆記対策にはあまり関係ありません、法令が変わったとかは出ますが。

読むに越したことないですが、受験体験記とかみてると筆記対策では読まなかった人もいます。自分も読みはしましたが必須とは思わないです。

ただ最新情報のまとめがしっかりしているので口述でどうせ読みます。時間に余裕があるなら読んでいいと思います。

毎年8月末に最新版がでるので筆記まで一か月半しかないというのが若干問題です。

背景知識だけ整理したいなら前年度版を買って読むという手もあります。

ただ結局最新版を買って読むのはほぼ必須なので、前年度版を読むなら3月とか4月から対策する人がざっと概要を整理するとき向けかなと思います。。

ちなみにコンサルタント会が12月に開く口述試験対策の講習会を受講するとこの本の新品が事前資料として送ってこられます。
さすがにその時期に労働衛生のしおり持ってない人は口述落ちるので無駄だなって思ってます。。

衛生管理 第1種用 上 受験から実務まで おすすめ度 ★★★☆☆

中央労働災害防止協会が出しているテキストです。
上下巻に分かれていますが上巻下巻でかなり毛色は違います。
上巻は大まかな産業衛生の知識についてまとめられており、産業衛生の背景知識の整理に使えます。
網羅している内容は衛生管理者のアンチョコ本よりは多め、
その分読みやすさが落ちるといった感じになります。

情報量がほかのテキストより多いとはいえ、ここまでやらないといけないかといわれると若干疑問です。重複する内容も多いです。

特に労働衛生のしおりと結構かぶってます。

読んだら産業衛生の背景知識はそれなりにわかってくるとは思いますが、通読するとしても労働衛生のしおりかこの本のどちらかでいいです。

そして労働衛生のしおりはほぼ全員買うので
この本なしで労働衛生のしおりで良い、となってしまいます。

ちなみに毎年改訂されています。
他の版を読んだことないですが、もし読むとしても内容的に1年くらい古い版でもそんなに問題にならないように思います。

余裕のある人は読んでみるレベルです。

衛生管理 第1種用 下 受験から実務まで おすすめ度 ★★☆☆☆

先に紹介したテキストの下巻です。
上巻と違い法令の条文のみまとめられているので通読して使う、というよりは過去問演習の中で気になった法令の条文を参照する、というような使い方になります。

とはいえ、法令の条文はネットで厚労省のサイトから簡単に見つかるのでわざわざこの本使う必要もないです。
自分は買って手元に置いてたものの結局法令はネットで調べてました。
厚労省のサイトの内容は間違いなく最新ですし。
オフラインで法令調べたい、紙ベースじゃないとやりにくいという人にはおすすめです。


労働安全コンサルタント 労働衛生コンサルタント試験合格への手引き おすすめ度 ★☆☆☆☆

コンサルタント会が出している本です。
労コンができた理念とかが書いてます。
特筆すべきは合格体験記がついていることですが、医師の記事は産業医経験者だったり産業医未所持でも衛生管理者や作業環境測定士を持っていて産業衛生の実務をやっていた人などの内容しかありません。

この記事を読んでいる産業衛生未経験の人には参考にしづらいです。
口述で聞かれた内容が書いてあって口述対策には使えるかもしれません。
しかしその内容も少し古いのでAmazonの野良参考書に結構載ってます。

労働安全コンサルタント 労働衛生コンサルタント 回答と解説付試験問題集 おすすめ度 ☆☆☆☆☆

労働衛生コンサルタント会が出してる公式?の過去問集です。
はっきり言って全くおすすめできません。
解答編が糞オブ糞です

どのような解答かというと・・・

5択の選択肢すべてについてなぜ正しいのか、誤りなのか条文も引用して解説してくれています。

これだけ聞くと良心的な解答に聞こえるかもしれませんが実態はまったく違います。

いちいち何条の『~~~』という記載からこちらの選択肢は正しい、
と条文の記述まで引用して デ カ い 字 で解説した上で
わざわざ法令の条文の原文を再度張り付けてくることで5択の選択肢の1つにわざわざ1ページ近くを消費してきます。

一つの設問につき解答が3-4ページにわたります。

まったくもって読みにくいです。
この回答集作った人はたぶんチャート式とか見たことないと思います。

これ使うよりは柳川先生の過去問解説のほうがよほどシンプルでわかりやすいですし初学者に優しいです。

ドMの人はこれ使って過去問演習すればいいと思います。

自分がもう一度労コン筆記うけるとして、
この過去問集か、試験協会が出してる解説なしの正答しか書いてないどっちかの過去問で勉強しろと言われたら解説なしの過去問を使うと思います。

そのレベルでひどい過去問集です。

作業環境測定士・労働衛生コンサルタント等資格取得のための労働衛生関係法令の要点の解説 おすすめ度 ★★★☆☆

自分が使ったのは2020年に出た第一版でした。
最新版が2024年に出ていますので内容は新しくなっていると思います。

過去問対策をしていくと法令がやばいことがだんだんわかってきます。
これ6問しか間違えられないとか無理じゃない?ってなってきます。
第1問間違えたら終わりやん?とか思えてきます。

そういう中で藁をもすがる気持ちで手繰り寄せたのがこの本です。

法令の大まかな解説と例題、そして過去問とその解答からなります。

自分が読んだのは過去問演習中でしたが法令の大まかな解説と例題は
むしろ過去問前の知識定着の際に役立つ形式、情報量です。
この本を使うなら学習の比較的初期からこの本を使って過去問前の知識定着をするのがいいように思います。

過去問の解答はシンプルです。
一言だけの解説でやや物足りないですが最低限はあります。

可読性糞のコンサルタント会の解説よりはよほどいいです。

問題としては
全体的にボリュームが少ないこと、
法令の大まかな解説はそれなりに詳しいのですが(第一版は)これまでの出題内容ベースで書かれているので内容も少し物足りないです。

また過去問は3年分しかありませんのでこれだけで過去問演習をやりきるには量が足りません。

旧版と合わせれば過去問6年分になってなんとか過去問演習これだけでもできそうな体になるのに作業環境測定士会は旧版の販売はしていません。

せっかくいい参考書・過去問集なのに少しもったいないです。

興味ある人は買うレベルでいいです。

講習会 おすすめ度 ★★★★★

最後にテキストではないのですが
口述・筆記の両方に有効な無料の講習会の情報を記載しています。
あまり紹介されていないですが自分は受けてとてもよかったと思っています。興味のある方は購入をお願いします。

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