病院の救いの女神

コロナ禍になる前の年、私は腹部の異様な膨らみと貧血、重い生理痛で婦人科を受診しました。

まずはレディースクリニックにかかり、先生が私のお腹に見て、触った瞬間「あ、これ筋腫だわ」と言われました。

市民病院を紹介されて、そこで精密検査をしたところ12センチの巨大子宮筋腫、8センチの卵巣嚢腫もあることがわかりました。

そこの先生には「うちでは開腹手術(体への負担が大きい、傷も大きくなる)しかできない。ここの病院なら腹腔鏡でできるかも」と他の病院を紹介していただきました。ですが、大変な病気なんだ、仕事も休まなければ、と不安ばかり頭をよぎり、次のO病院を受診しました。

O病院の女医先生はさっと紹介状を見た後、冷たい感じで「何黙ってるんですか。ここまで来たストーリーを話してくださいよ」と言いました。私は冷たさに動揺してしどろもどろになりながら話したところ「わかりました。うちの部長の許可が出たら手術になります。次は手術前の検査に来てください」とまたもや冷たい感じで言い放ちました。

予約を入れた日にO病院の診察室に入るとこの前と女医先生が「難しい症例でうちでは手術できません。ごめんなさい。私もこの地域に来たばかりでツテがないので紹介もできません。」と病室を追い出されました。

困った私は前の市民病院に電話をして事情を説明すると事務員さんに無愛想に「また予約をして来てください」と言われました。

立て続けに冷たい対応をされて泣きそうになった私は目に入ったその病院の「地域医療連携センター」というところに駆け込みました。

女性のデスクの方が二人いて一人はベテランの雰囲気の、もう一人は若手の方でした。

泣きそうになりながら事情を話すと「わかりました。病院を探してみます。」と言ってファイルを取り出しました。

「どの病院がいいですか?」と聞かれましたが、私も動揺していてどの病院を紹介してもらえばいいかわからず、母に電話をしました。すると「C病院は?!あんたの生まれた病院や!」とアドバイスをくれました。そう言えばそこは婦人科で有名で藁にもすがる気持ちで担当の方に「C病院紹介していただけないでしょうか…」とお願いすると、「少しお待ちください」と部屋を出され、待合室のソファーで待っていました。

もうすぐ病院も閉まる時間で不安になり、「鬱陶しいだろうな」と思いつつまたセンターに入り「あの…どんな感じでしょうか?」と聞くとベテランの方が、若手の方に「もう一回電話してみますか」と言ってくださいました。

それから程なくしてFAXが返ってきて、予約日とわたしの診察券の番号まで書かれていました!「そうなの!ここで生まれたし、子どもの頃は診察も何回もしてもらったんです!!!」と心の中で叫びました。

センターの方は「ツテがない」と言っていた女医さんに依頼してくださって、無事紹介状もいただけました。一度断られてるわけですし、デスクの方からしたらきっと言いにくかったことだろうと想像します。

そのC病院で無事手術を受けて、復帰も早く、傷口も目立たず、今は元気に過ごしています。

私もデスクの仕事をしていますが、杓子定規ではなく相手の立場に寄り添った仕事をしたいと強く思うようになった出来事でした。

#やさしさに救われて

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