トロミ調整剤としての卵の使い方
ご自宅で介護をされていてトロミ調整剤を使っている方は多いと思います。他の記事でも書いたことがありますが、私の介護食講座では、なるべくトロミ調整剤は使わずに食事をさせて下さいと、必ずお願いします。
理由はトロミ調整剤を使う事で、食事から「楽しさ」や「美味しさ」が奪われてしまうからで、食いしん坊で食事を楽しみにしているお年寄りほど、この傾向は強く感じられるようです。
そうは言っても、医者や訪問の介護士さんから誤嚥に気をつけるように言われているでしょうから、勿論絶対ダメとは言いませんし言えません。しかし問題点は認識していただきたい。
そこで私が介護食講座でいつもやることは、トロミ調整剤でトロミを付けたお茶を皆さんに飲んでいただく事です。
最初は少し口に含んでもらい、普通のお茶と味が変わるかどうか感じて貰います。ここで味についてトロミ調整剤を使わないお茶と使ったお茶で違いか感じられるか質問すると、多くの方は「特に変化は感じられません」と答えられます。割合的にはだいたい80%くらいの方が変化無しと答えられるかんじでしょうか。
次にゴクゴクと普通に飲んで貰い、先ほどと同じ質問をします。そうすると見事に全員が「美味しくない」と言われます。先ほどは「味に変化は感じられません」と答えた方も見事に全員「美味しくない」と感想が変化します。
これは「味」は変化しなくても「食感」が変化するからで、ゴクゴクと喉を通っていく感覚が変化することで同じお茶が全く違ったお茶になってしまう事を意味します。
多くの方は、自分で実際にトロミ調整剤を使った料理をしっかり食べたり飲んだりしたことが無いので、こうしてトロミ調整剤を味わっていただくととても驚かれます。
前置きが長くなりました。今日の記事でお伝えしたいことは、トロミ調整剤代わりになる調理法や食材を工夫しましょうという事です。
トロミ調整剤を使う理由は、口の中で食べたものが散らばるのを防ぎ、思いがけず食べたモノが喉の奥に行ってしまうのを防ぐ事にあるのですが、その為には適度に水分があり粘度があるモノを一緒に食べれば良いわけです。
そうした条件で考えた時にお手軽で便利なのが市販の「温泉卵」です。これをトロミ液の代わりにしてご飯やお魚などと絡めて食べればトロミ液を別途作る手間がいりませんし、お年寄りに不足しがちなタンパク質を補給出来ますので一石二鳥です。
温泉卵は勿論ご自宅でも簡単に作れます。一番簡単なのは、コーヒーメーカーで作るやりかたです。コーヒーメーカーの保温の温度が丁度温泉卵が出来る温度帯なのでコーヒー豆を入れずに水だけ落としてポットにお湯を溜めたらそこに卵を入れるだけ。7〜8分ほど経てば温泉卵が出来上がります。お湯につける長さは実際にやってみてベストな長さを見つけて下さい。
それと是非試していただきたいのが、スクランブルエッグです。洋食のスクランブルエッグは、いわゆる炒り卵と違って必ず半熟のとろ〜りとした状態で仕上げます。(レシピはこちら)
このとろ〜りとしたスクランブルエッグを、例えばチキンライスの上に掛ければオムライスになりますし、焼きそばに掛ければオムそばになります。
パンがお好きな人でしたらパンとスクランブルエッグは相性抜群ですし、ジャガイモのお料理にも好相性です。例えばポテトフライを食べたいなと思ったときに一緒にスクランブルエッグも作ってしまえば若者からお年寄りまで全世代対応のメニューになります。
スクランブルエッグを最適な堅さで作れるようになるにはある程度の慣れが必要ですが、そんなに難しくはありません。是非トライしてみてください。
(元記事は食べごろclub)
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