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「施設入居を決める前に」

老人向けの施設には色々なタイプがありますが、本当に介護が必要になった時には特別養護老人ホームや老人保健施設に入ることが出来ますし、小規模なケアハウスなどが今では割と充実しています。

しかし、まだ体も頭もしっかりしていて元気な内に入る施設となると、有料老人ホームかサービス付き高齢者住宅あたりに絞られます。

有料老人ホームの多くは高額な入居一時金を支払って入居するのに対して、サービス付き高齢者住宅は賃貸住宅というのが建前ですので、通常の敷金程度の費用を支払えば入居出来ます。

私はどちらのタイプの施設とも関わってきましたが、まだまだ元気でパートナーも一緒に暮らすのならサービス付き高齢者住宅(サ高住)の方をおすすめします。

サ高住は有料老人ホームに比べて生活の自由度が高いですし、介護サービスもオプションにはなりますが、全て受ける事が出来ます。

一方の有料老人ホームの方は、高額な入居一時金を支払う代わりに終身で施設の使用権を買う事になるので、要介護度が上がることを考えた場合は安心感があると言えます。

ただ、ここで注意が必要なのは、高額な入居一時金を用意するために自宅を処分した場合、入った施設が合わずに退去したいとなった時に帰る場所が無くなってしまう事です。

入居一時金も全額は戻ってきませんから、退去する場合はかなりの金銭的な損失を出すことになります。

私が以前関わっていたサ高住の入居者の方は、自宅が持ち家の場合は残して入居されているかたが多かったと思います。

賃貸の場合も、経済的に余裕があればしばらくは借りたままにしておいてサ高住に入居出来ればそれが一番良いかなとも思います。

どのタイプの施設でも言える事ですが、入居者が元気な場合一番問題になるのが施設内での人間関係です。

どうしても受け入れられない状況に陥った場合には退去するしかないわけですが、その時に帰る場所があるのと無いのとでは大きく違います。

これはあくまで個人的な考えですが、認知症が無い場合は自分が要介護の状態になったとしてもギリギリまで訪問介護のサービスなどを利用して自宅で暮らし、いよいよそれも難しくなった段階で完全介護付きの施設を利用すれば良いのではないでしょうか。

その分、お金も残すことが出来ますし要介護の状況になれば色々あきらめというか覚悟も出来ます。

でも元気な内でないと施設選びも満足に出来ないという話しも聞くのですが、元気だから施設選びに失敗しないわけではありません。逆に元気で色々な欲が残っている分、失敗の可能性も増えてきます。

核家族化が進んだ現在、昭和時代の様に家族に介護を任せられる状況は無くなってしまいました。

そうであるなら、長生きすれば必ず誰もが通る道である「要介護」になった時の状況を元気な内からしっかり考えておくことも、核家族化時代の生きる術なのではないでしょうか。

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