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懐かしい味、故郷の味

いきなりですが、サンマと言えば日本全国どこの地域でも食べられている国民的な魚と思っていませんでしょうか。

流通と冷蔵の技術が発達した現在ではどこの地方に行っても秋になればサンマを売っているでしょうが、私が子供の頃(昭和40年代)、故郷の兵庫県日本海側地域では全く目にすることはありませんでした。

私が生まれて初めてサンマを食べたのは、高校を卒業して大阪で働く様になってからです。

その代わりと言ってはなんですが、今でも都会ではほとんどお目にかかれない独特の魚を日常的に食べていました。

代表的な魚が「ニギス」です。(写真の魚です)

私の故郷ではこの「ニギス」を普通に「キス」と呼んでいました。一方で天ぷらなどのネタに使われる普通のキスのことを「白ギス」と呼んで区別していました。

このニギスですが、深海魚なので目玉が大きく頭付きで売られていると結構グロテスクな魚なのですが、とにかく安くて大量に出回っていました。

生のものが出回るのは秋頃から翌年の春頃にかけての期間で、それ以外の時期には串に刺して焼いた状態のニギスがどこの魚屋さんやスーパーにも必ず売っています。

親たちはその串にさして焼かれたニギスを買ってきて、それをそのまま食べるのではなく煮付けにして食べるのが私の故郷のどこの家庭でもやっているニギスの食べ方でした。

もうひとつ思い出す魚が「キツネダラ」です。

この魚は一般的には「タナカゲンゲ」と呼ぶようで、私の田舎では「タラ」と言えばこちらの「キツネダラ」の方がメジャーだったと思います。

これも恐らく深海魚で、顔がキツネに似ているからキツネダラと呼ぶのですが、身の質感は普通のタラに比べると固めのしっかりとした食感です。

実はこの魚、鳥取県が一時期「ババア」という名前の「幻の魚」として売り出したことがありまして、この呼び方も顔から来ていると聞きました。

つまりババアの様にしわくちゃなキツネ顔の魚という事です。

私の実家では毎年冬になるとこのキツネダラを丸ごと一匹買ってきまして、鍋にして食べるのが定番でした。

キツネに似た顔の部分はゼラチン質が多く私の好物だったのですが、最近ではスーパーで切り身の状態でしが手に入りません。ですからせっかくのキツネ顔も見ることが出来ないので、今の若い人は丸ごとのキツネダラを見たことがないかもしれませんね。

最後に「グベ」もご紹介します。これは一般的には「ノロゲンゲ」と呼ばれている深海魚です。全身がぬめっとした粘膜で覆われている銀色っぽい色の魚で、見た目はお世辞にも可愛くありません。味は旨味のある白身で美味しいのですが、皮の粘膜部分に好き嫌いがあり、食べる家は頻繁に食べるけど食べない家は一切食べないといった魚でした。

値段も当時は1kgぐらいを袋に詰めてくれても数百円で買えたと思います。

私の実家では、毎年冬に鍋にして食べるのが定番でした。

故郷の味覚を3種類ほどご紹介しましたが、大阪のスーパーでもごく稀にですが、ノロゲンゲとニギスは見かけることがあります。

キツネダラに関してはいまだに見かけたことはないですね。やはり鳥取県が言う様に「幻の魚」なのかもしれません。

まだ他にもありますが、今日はこの辺で。


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