【すい臓癌の母とそれに向き合う家族の日記】その26 母、腹水抜く最後の入院

「早く死にたい。」と母はいう。

色んな事に疲れ、今までの自分の間違いに気づいたし、

色んな大事な事を知れた。

もう悔いはない。と。

「うん。そうだよね。頑張んなくていいよ。

お母さんがしたいようにすればいいと思う。」

私は母にそう言う。

昨日からぱんぱんに腫れた足の皮膚からは浸出液が漏れていて、タオルが何度もビチャビチャになっていた。

母が少しでも楽になる様に、

13リットル溜まった腹水を抜いてもらう事にした。

抜いている状態で血圧が下がり息を引き取る場合があると言われた。

色んな処置をしてもらうために、

受け付けで待っていたら、

母の叫び声が中からきこえてきた。

呼び出され、

私が手を握り、母の気持ちを落ち着かせる。

喉乾いたっ言うので、

許可をもらい、

バックの中に入っていたミルクティーを飲ませる。

「ゆきよの手は温かい。」と言って、

握った手を自分の頬に当てている。

「腹水抜いて退院する間、

辛かったら、【南無観世音】と唱えるか、

呼吸法すれば楽になるからね。やるんだよ。

腹水抜いて楽になったら家に帰っておいでね。

みんな待っているからね。」と母の目を見て何度も伝える。

(南無観世音は母が好きな魔法の言葉だ。)

病棟に入り、

母の様子を看護婦さんが教えてくれた。

母はずっと首を横に振り続けていると。

多分母は、首を振って脳が変になれば死ねると思っているのかもしれない。。。

「もうどこでもいいから、最後の願いは早く死ぬ事!悔いはない!」

母は言う。



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