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一日一詩。

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言葉にできないコトバをことばにします。
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#詩人

【詩】血。

血の通った人間である。 僕らの体のどこを切っても、血は出るんだ。 どこをどう切っても、それは僕の血なんだ。 植物状態でそこにいる優しさも 貝殻みたいに気まぐれな笑顔も 隠しきれずに噴き出した勇気も 全てはあなたで、血が、通っている。 瞬間を切り取って、あなたに名前をつけよう。 あなたは、「世界で一番、素敵な人」。 美化という歪みを加えられた光る主張 嘘みたいに綺麗で犯されたパッチワーク 乗り越えて、通り過ぎたニンゲンたち 何かを忘れたなまもの。 切り刻んでも血は流れな

【詩】僕は天才じゃないから

スポットライトを浴びる人たちを見て思う 僕は天才じゃないから 自分の優しさに気づいて思う 皆 天才なんじゃなかったのか 薄い薄い壁の向こうから 聞こえてくる 僕の音 誰もが自分を天才だと思いたい  それを 僕は認めたい それと同時に 僕は思う  僕は天才じゃないから 僕が僕である言い訳は 今日までずっと変わらない 僕は天才じゃないから

【詩】なぜ生きるのか

なぜ生きるのか もしも理由があるとするなら その理由があるから生きている それはきっと生きているうちにしかできないこと そうでなければ死んでもいいはず 生きているうちにしかできないこと それは、死んだらできないこと 死んだらできないこととは、生きているうちにできることの全て 生きているうちにできることの全ての中に理由はある もしも理由があるとするなら 生きているうちにできることの全ての中からその理由を探す 一つだけでいい 一つだけで たった一つだけでも永遠の理由を探す だか

【詩】何度だって騙されよう

疑って嘘が見抜けるなら疑うさ。 でも、そんなことできたためしがない。 そんな不毛なことをするくらいなら、 今度もまた、うまく騙されてやるさ。