LO$ER=LO♡ER 1(MV自己解釈あり)
EP⒈ クソみたいな現実と僕〜ヨンジュン編〜
1934ウォン(約193.4円)。それが今の僕の残高。こんなもの生活できたものじゃない。どうしたものか。
父はよく母に暴力を振るっていて、そんな家が嫌で、このように家出して親の車に恋人を乗せて各地をまわることも多かった。その度に恋人を楽しませるためにお金をたくさん使っていたから、気づけば残高が悲惨なことになってしまった。
自分の所持金ですらもう手に負えない状態だからATMに来たってのに、こんなのあんまりだ。これじゃあ生きていくことすら難しくなりそうだ。とにかく今生きるためには金が必要。でも借金なんかには手を染めたくない。もう無理か、と諦めかけた時、隣のATMに黒いカバンが置いてあった。もしかしたら忘れ物かもしれないと思い近づくと、中に札束が見えた。しかもひとつだけじゃない。カバンいっぱいに入っていた。僕は金に目がくらみ、気づけばカバンを手に取っていた。そのまま恋人の待つ車へ戻ろうとした時、少し離れてたところに監視カメラがあったのに気づいた。まずいと瞬時に感じとり、慌てて建物から出た。おそらくもう少ししたら警察が来るだろう。一刻も早く車に乗り込まなければ。
まだ警察が来ていないことに安心し、笑顔を恋人に見せながら車に乗る。すると恋人は「おかえり」と笑顔で言ってくれた。その姿がとても無邪気で、盗みをはたらいたことは絶対に秘密にしなければならないと心に決めた。「今日も車中泊?」「まぁそうかな?車中泊嫌?」「ちょっと前までは嫌だったけど今はもう慣れた。」「そっか。なら良かった。」たわいない会話を続けていたら、突然パトカーのサイレンが聞こえてきた。僕はパトカーのサイレンから気を逸らすために「もう寝よっか。」と恋人に語りかけ、存在感を感じさせないために車内の電気も消した。
すると、パトカーは僕の存在に気づかず、そのまま通り過ぎた。「えぇーまだ起きてたい」と恋人が言ってきたものだから、消灯したまま恋人と話すことにした。
あたりの建物の電気もだんだんと消えてきた頃には恋人は既に眠りについていた。寝顔を見て僕はホッとし、そのまま寝ることにした。明日からは逃亡生活。正直僕は自分の欲望に負けた負け犬だ。私利私欲のために盗みをはたらいたと言っても過言じゃない。ただその金の目的は僕と恋人のため、そう。愛のためなんだ。だからそういう意味では愛のために自分を犠牲にした真の恋人なのかもしれない。どちらにせよ、この罪は隠し通さなければ。そうしなきゃ、僕を心から愛してくれる人がこの世からいなくなるのだから。
0×1=LOVESONGへ続く
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