いざ、伊勢神宮へ!
もともと大阪南港から伊勢神宮を目指すに当たり一般道路を利用することにしていた。高速道路を利用すると滋賀方面より大きく迂回したルートになり距離が長くなるのと、長い距離を速い速度で走らせる事でバイクに負担をかけたくないとの理由からだった。
が、しかし懸念点もある。Googleマップで調べると一般道は高速道路と比較し20㎞程度も距離が短いのに高速道路利用時と一般道利用時では1時間10分程度の時間差が出ていた。いくら高速で走るとはいえ、20㎞も一般道が短いのに時間的な開きが有り過ぎるのではないか。ということは、伊勢方面の一般道は所謂「酷道」と呼ばれるようなハードな道なのではないか・・・安全に行くにはむしろ高速?・・・と、どうするかだいぶん悩んだ。
伊勢神宮を目指す際にほかに一人相談した患者さんがいる。その方は観光バスの運転を主にされていた患者さんで伊勢神宮ももちろん何度も行ったことがあるとの事だった。そこで大阪南港から伊勢神宮を目指すなら高速道路か一般道かどちらがいいか尋ねると「なるべくなら高速。一般道はおそらく山越えになるだろうから。特に3桁号線以上の数字が大きい道は基本険しい道が多いので避けたほうがいい。しかしバイクだと観光バスや車みたいに狭い通路で立ち往生しにくいので大丈夫だろう」との助言を頂いたので一般道を走ると決めた。お礼を言うと患者さんが「伊勢の写真を送ってくれ。久しぶりにどんなか見てみたい」とのことで連絡先を交換した。これは絶対行かなければと気持ちを新たにした。
注意しながらなら一般道で問題ないと思われるが山越えに近いルートを通るならガソリンスタンドも少ない可能性が高いため、とりあえず大阪南港に着いたら距離を早い段階で給油すると決めていたので出発後は幾何も走らない内に給油した。
大阪のような大きな街をバイクで走ることなんて滅多にないため、大阪を出る時と帰る際に他県から大阪南港までの道のりが一番複雑そうで不安だった。
早朝であったせいか、道の大きさに反して車通りは少なくあっさり大阪を抜け奈良県に入った。道中曇り空で時折日の光が雲の間を抜け天使の梯子を作っていたのが幻想的に見えて、それを楽しみながら走る余裕すらあった。奈良に入る前、これから大阪市街地へ帰るであろうライダーが一台対向車線を走っており挨拶を交わしたが、今回のツーリングではこれと伊勢神宮直前にすれ違ったライダーの二台のみでほとんど旅路でライダーとすれ違うことはなかった。北海道を旅した時は大量にいて忙しないくらい挨拶を交わしていたのに。そういえば最近のライダー同士の挨拶はピースサインといわずヤエーと言うらしい。・・・時代が変われば挨拶も変わるといったところか。
このまま順調にいくかと思われたが徐々に市街地を離れ山間部の道路に変わっていくと風が冷たく夏の真っ盛りであるのに寒さを感じた。更には小雨がパラつきだしカッパを着るかどうするか悩んだが、荷物を降ろして雨に濡れないようパッキングしつつカッパを着るという行動が面倒で、そのままカッパを着ることもせずひたすら伊勢神宮を目指すことにして先を急いだ。
トイレ休憩に「道の駅 伊勢本街道 御杖」に立ち寄った際は現地の方から声をかけてくれて「長崎からわざわざこんな辺境の地へ何をしに?俺もバイク乗るんだよ。ここから先は狭い道があるから気を付けてね」と温かく送り出してくれた。その現地の方が言った通り、ここからが勝負だった。国道・・・いや、酷道とはこういった道を言うのかというくらい山間部で切り返しが多く見通しの悪い上に凸凹道で一車線の道をひた走る事となる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?