朝方まで愚図る



誰ともひとつになれないまま
のりしろばかりでめんどくさくなって
放置したままのわざと
ないがしろにした朝に
だから言ったじゃないって
眉をひそめられた夜に
自分を欺いて
誰かを救った気がしていた詩に
手懐けていた自分に手を噛まれるそんな気分 痛い痛い歯形がついた
痛めつけないとすぐに生きることを
見失ないそうになる覚束ないけど
ギリギリセーフの午前3時 
自分が書いた詩なのに あら不思議
図鑑にものっていないへんてこな虫がわく 勘違いしたままならそれならそれでいいのにな 眼球が
いやでも認識してしまう 分かってた気になってた愚鈍のまま
口語体がわざとらしいな
あざとくて見え透いた手口に
うんざりするが
やっぱりうまく息ができない
玄関からおもむろに持ってきた
塩化ビニールでできた使い捨ての傘の先端で薄っぺらい膜を突き破りたい
雨が降る室内なのに
こんな時に傘って便利だね
息苦しいのはそのせいだから
わかってるってそんなこと
世の中に迎合した表層的な価値観
中也の言い回しをいつまで有り難がってる どうせパクるなら全部盗み切れ
茨城なんかで生活保護受けて
生きてたんかクソ親父
しぶといな
もういいよなんとも思ってないよ
書いた言葉より消した言葉の方が
本当なのに
ねえなんかもう疲れたね
わたしもすっかり疲れてしまった
生きることにむいてないの
わたしもそうだ こんな夜中に詩を書いてるの そうだよあなたのために詩を書いてるよ どうにかしたいのに手立てがみつからなくて死にたいまま息をしているよ どうにか延長戦に持ち込みたくて 息絶え絶えでも吸っては吐いて わたしの中の鬱がぐずってもう嫌だいやだと
一人は嫌だとわかっふりも
気付かないふりも
詩も坂本も透析も全部投げ出してチビのとこに
行こうって駄々をこねる めんどくさいから また捨てに行こうかな Amazonの空き箱丁度いいし それに詰めて今度こそちゃんと捨てなくちゃこの鬱 隣町まで原チャリに積んで遠くに
すぐ戻ってきちゃうからすごいね
帰巣本能
ダメだよそんな目をしたって
もうウチじゃかえないよ ダメだよお腹みせたって撫でてあげないよ
どうして死にたくなんかないのに
死にたくなんかなっちゃうんだろう
どうして憎み切れないんだろう
わたしを傷つけたあれやこれや
捨て鉢で描いたざれ絵みたいに
デタラメで誇張されたわたしの哀しみ
得意げに市営団地の屋上の縁で
数を数える
わたしが傷つけた人の事は
比喩なんかで誤魔化して 
ほんとずるいな詩人のわたしは
姑息なままで
手を離す間だけ見える夜空
松本大洋の青い春マネして 星なんか
ひとつもないけどやけっぱちになって
星に願いを
あなたがいなくなったらつまんないって
本気で思うから しあわせなら
てをたたこう そうじゃないなら
それでもたたけ
できるだけ強くたたけ
手がジンジンするけど
そんなこと気にするな
見限るのはまだまだ早いよ
ここまでおいでべろべろバー

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