花冷え



今年は桜の開花が早まるらしくて
だからって子供みたいにはしゃげないけど 気分はまんざらじゃないよ
ただぼんやりと怠惰 きのこの山のチョコだけ食べて窓からかたちだけ
すねてすてる 
わたしが書いたこの詩の束も窓外に
放り投げたアスファルトの上に
花見客を乗せた観光バスがそれを
踏んで デブが乗ったN-BOXがそれを踏んでへんな服きた小型犬を乗せた
プリウスがそれを踏んで
どんどんどんどん千切れてぺらぺらになってタイヤにふっついてわたしのうらみつらみの詩が誰かを裏切った詩が
マンコ舐めた口で白々しく愛を語った詩が言葉なんか何も信じていないって保険をうっておかないと傷ついた時に怖いからただのヘタレの詩が
どの口で人を励ましてるんだって
人でなしのクセしてツッコミを入れるためだけに書かれた詩が
精液くさいただキモイだけの詩が
ぶっ殺したいのにぶっ愛したい矛盾だらけの詩がいつかひかれた猫と一緒に
各種多様な車のタイヤにぺっちゃんこにされて臓物と一緒にひっついて
くよくよしてる場合だよこんな味のしない春なんか全国に散らばっていけばいい
戦争の音が聞こえない場所に居ながら
FANZAでサンプル動画観て自慰する
春っていいね射精したあとの賢者タイム
なんで詩人ってずっと被害者側でいられるんだろう 人を人ともみないで
傷つけたり踏みつけたりしたところは
書かないの?ずるいなそれ
自分の事嫌いになるには
その何倍も自分の事を好きじゃなきゃ
いけないのに 生きてるかぎり
不安だし生きてるかぎり孤独だよ
生きる事はこの世にある毛色の違う
痛みを全部味わう事
その痛みこそが
自分の事を好きになるための
通過儀礼だってまだわからないのか?
誰にも触らせるな
あなたの痛みはあなただけのもの
わたしのはあなたならさわってもいいよ
この左手の傷は13センチ
かっけえーべ
人造人間みたいだべ
ミサイルもビームもでないけど
たまにわたしのかわりに
猫語でないてくれるかわいいやつ
そうこうしてるうちに
わたしの詩の束みんな
どっかにてんでばらばら
になった
あなたの
住むまちまで
とどけ

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