見出し画像

二足歩行



意思の強い君のことだから
待ってばかりいる僕のことなど
笑い飛ばしてしまうのか

桜が咲いても風がどんなに柔らかくても
おいてきぼりをくらったのを
誤魔化したくて
口に入った花びらを
味の無くしたガムみたいにぺってする

立ち去る人の
背中に刺す刺され頼むから
鋭利に研いだ女々しさでもなんでもいいから
過払い請求のチラシが足元をイタズラにくすぐってどっかに行った
可もなく不可もない普通に
よくある別れごときで
なんだその様
うまい喩えが思い浮かばない
詩人のくせに恥をしれ

しっかりとテンポよく歩く君のことだから
同じ季節につまづいてばかりいる僕のことなど
笑い飛ばしてしまうのか
この信号が青にかわっても
僕はやっぱりここで待っていようか

春は薄ら寒くて
僕の都合などお構いなしに
浮かれやがって
君は強いとかじゃなくて
その歩みをやめないのは
立ち止まると覚悟がぶれてしまうからで

路上にはあちこちで置き去りにされた
1000年前と変わり映えのしない
どこかで聞いたような
原初的な痛み
もういない君に触れられた記憶
海馬にあるならもういらない
とはいえ言葉もやがて尽きて
先端にうずくまるポツネンと






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?