手遊び



詩の中で語られる悲哀と喜びを
ちぎっては投げてこねてつなげて
「あ」から「ん」の組み合わせ
何通りあるんだろうね 気が遠くなるね
みんなただかえりたいだけなのに
ただ泣きたいだけなのに
言葉なんかに頼らないで
どうしても先がみえない
迷わないようにパンくず落としたのに
道に迷った苦し紛れに
口からこぼれ落ちるのは
組み合わせた中でも
いちばん酷い言葉だ
人の分まで汚れる必要などないけど
逃げずに自分の分はちゃんと汚れたなら もっとしゃんと胸を張ったらいいよ 
誰にも押し付けずにちゃんと汚れたんだから
汚れちまったかなしみはって
それは中也さんあんたの間違いだ 
かなしみは汚れない
汚れないまま純度を保って時間が経っても少しも薄まらないで決してなくならない かなしみだけはいつの世もただ
留まって 汚れてゆくのはいつだって
人や風景

再放送だからもう泣かなかったよ
若くして死んだ女優
テレビの中であんなに笑ってるのに
もうどこにもいない
そういう当たり前がどうしても
許せなくなる こころのなかにいるとか
忘れないで生きるとか
そんなことより
わたしにもいるよ
一度だけでいい会って詫びたい
詩の中じゃなくて
ちゃんと目を見て






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?