少々おむずかりのご様子

広告の町を
眺める
家のポストに投函された
チラシをいつもは見もしないで
ゴミ箱に捨てるのに
いまだにわたしのなかに残留してる
のかと　恥ずかしくも嬉しくなった
ここではないどこかに思いを馳せる
ささやかな憧憬
制限のある生活のつまらないものを
おもしろくするための創意工夫
頭の中で
上下あべこべの祝祭にラリる
「ケ」しかない日常に
人工的で簡易的な「ハレ」をつくる
詩は書かない方がまだまし
詩人はすぐに深刻になるから却下
哀しがることがデフォルトになってるからやっぱり却下

自分より不幸なやつを探すセンサー
線香の束で焼き切る
モツの焼けた匂いがした　
まだ数日しか経っていないのに
誰も話題にしなくなった
あるタレントの死
無責任な死だとさらに無責任な人が
ツイートして飽きたら誰もつぶやかなくなった　死に責任も無責任もないあるのは生き残った人が残念無念悔恨の
「念」を
背負ってこれからも生きてゆくということ　ここじゃないどこかが死ぬことでしか手に入らないのは本当につらいことだ
いいヤツばかりはやくしぬ
神様のきまぐれ
阿弥陀くじできめられる人の生死
タレント叩いたアカウント慌てて消した
バカ
指先ひとつで得られる安易な万能感
死んでいった人間にツバ吐くようなマネ
しちゃうんだから　もうおまえら人間じゃないかもな　人間モドキのなんか
やっぱほしいな
デスノート