執拗な「る」攻撃でバグる



小麦粉を水で伸ばしてタマゴ一個割って
フライパンで焼くんよ 父親が機嫌のいい日曜日の朝に作ってくれたんよ
マーガリンと練乳かけてさ食べんのよ
モチモチしておいしいね 貧乏くさいからってよく笑われたっけ 誕生日会に作ったら吉田くんにケーキじゃないのって
笑われたっけ エンガチョされたって
ブランコで靴飛ばしいつもオレが1番だったし駄菓子屋でベビースター
くすねたら
もうしちゃだめだよって
見逃してくれた
ばばあにちゃんとあやまったっけ?
記憶がさだかじゃない
恥ずかしさの方が濃度を増して 
手ぐせばっか悪くなって
誰も本気で叱ってくれないから
何が悪いことなのかわからなくなって
本当は哀しいことなんかなんもないのに
手ぐせで書く無傷のくせに痛がってばかりいる詩を今日も量産する 
カタチだけでもちゃんとした大人になりたくて
小学校の体育館で選挙の
投票をする既成事実だけでなんかやった感だけ頂戴できる形骸化したシステム 
てんでばらばらに飛び跳ねる思考と書いてる本人ですらどこに着陸するのかわからないぶん回すだけぶん回して
遠心力だけを頼りに
口のまわりがなんだか甘い
舐めるベロの先端で感じる
懐かし過ぎて涙目になる
えらく歳をとった気分になる
現実の自分と理想の自分との誤差は一向に縮まらない
もう50年も生きてるのに
自分の人生になんだか慣れない
盗んだベビースターは
公園の砂場に埋めたよ
おっかなくて
いまもビビリでヘタレのままだ
詩の中じゃなきゃ
本当の事も言えない

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