あさ


びっくりするほどにシンプルな朝。
乱暴に手のひらで擦りながら開く目、そこに飛び込んでくるのは残然とした部屋。
そう、僕の部屋である。

引っ越してはや3年がすぎる激安賃貸は、すっかり荒れ放題になっていた。

ペチャンコなひしゃげ布団で、何度寝かをかましただろう僕は、昨夜計画していた優雅な朝が失われた事に気がつく。

この眩しさを想像するに太陽の日が随分と高く、日差しが強い。
念のため確認をするべく、枕元にある手のひらサイズの目覚まし時計に手をかける。

定まらない視点に苦戦しながら覗き込むと、長い針は8と9の間で止まっている。
なんだ、まだそんな時間かと胸を撫で下ろしてふと気がつく。
いつものチクタク音が聞こえないのだ。
まさかと思いもう一度見ると、やはり秒針が止まっている。

声にならないため息が、この雑然としたなんちゃってロフト付き1kに響き、目覚まし時計は手から滑り落ちる。

僕は体を捩ってそっぽを向き、ひしゃげ布団とお揃いのカバーがかかった掛け布団を首元にたぐって4度寝にはいった。

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