2181年の戦役
同盟はその効力を停止し、その機構自体も解体されることとなった。この実行におけるプロセスは同盟両者の同意とそれに基づく理解を必要としない、それは禁止が明文化されていないという事でなく、この同盟の最も基本的な特徴だと言える。
つまり、プログラムに沿った順路通りというわけであるが、これは紛れもなく破綻だ。
実の所この同盟は随分前にそのプロセスを歩み出した、だがその後プロトコルの進捗は鈍化し、一時停止したかのように見えた。
正直に言えば、攻勢限界だと思っていた。進軍のスピードに補給が間に合わない、占領した地域の治安維持がままならず、統治に失敗しているっと。
ナポレオン然り、伸び切った補給線は致命的な危機であり、例えそれが前線から離れていても、占領地はついこの前まで相手方の支配地域であり、統治が上手くいっていないのであれば一層危険だ。
すかさず、補給路を断つべく軍団を派遣し、一方で、前線部隊を壊滅させるべく攻勢をかけた。
前線部隊は、その互いの距離が大きく離れており、通信に支障をきたしていた。全てを相手にする必要はない、一つの軍団に集中的に戦力を投下して包囲殲滅を狙ったのだ。
けれど、全くの逆劇であった。
私の単調な想像は、想定を上回るものではなかったらしい、一度の会戦で半数を失い、残りの半数も戦闘に耐える状況ではない。
からがら帰路につき、途方もない損失に気がついた。
投げ打たれたこの惨状を数年ののち回復せねばならない、足は重く心中どんよりしていた。
帰るには何本もの川と険しい山脈を超えて行かねばならない、幸い追撃はなかったが、それは早々こちらに組織的反抗ができない事、反撃する余力がないことを見透かされているに過ぎない。
何という体たらくだろう、追いつけ追い越せの軍備拡張と最新技術の開発、国家への過大な負担は全て無意味となった。
然るのちの反転攻勢は、もう随分と後になるだろう。
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