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LAP9期 ジェンダー単元 事前課題

事前課題内容


LAP9期 ジェンダー単元 事前課題

◎講師:INVITATION 代表 変革リーダーシップコーチ  松田 美幸 氏

【事前課題】
①課題図書を読む
「現実はいつも対話から生まれるー社会構成主義入門」
 ケネス・ガーゲン メアリー・ガーゲン 著

②日本における男女間賃金格差問題について現状を把握し、自分なりの考察をしてみる
(参考情報)
2022年の日本の男女賃金格差は21.3%(OECD平均は12.1%)
https://www.oecd.org/tokyo/statistics/gender-wage-gap-japanese-version.htm

アメリカの男女間賃金格差
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/04/usa_01.html

③男女間賃金格差問題について考えるとき、Aの問いで考える場合と、Bの問いで考える場合で、どのような違いが生まれるか/生まれないかについて考えてみる

 A「なぜ女性の賃金は男性より低いのか」
 B「格差を説明するために、どのように優劣を可視化し、論理化しようとしてきたか」

【発表方法】
課題3を3分で発表し、2分で質疑応答(A~Dチーム)
各チーム、制限時間内で発表ができるよう、スライド作成と発表の練習をお願いします。

以上

LAP運営

②日本における男女間賃金格差問題の現状と考察(2つ目の事前課題)

 日本の男女間賃金格差問題は諸外国と比較したときに比べて非常に深刻になっている。OECDの情報によると、日本の男女賃金格差(2022)は21.3%となっており、OECDのなかでは4番目の格差が開いている国であることがわかる。これらの背景には何があるのだろうか。

(参考情報)2022年の日本の男女賃金格差は21.3%(OECD平均は12.1%)
https://www.oecd.org/tokyo/statistics/gender-wage-gap-japanese-version.htm

OECD

 それについての示唆を深めるため、アメリカの男女格差賃金格差と日本のそれについて比較してみる。まずアメリカの男女間賃金格差について述べる。アメリカの男女間賃金格差のグラフについてみる。アメリカの男女賃金格差(2022)は17.0%となっており、日本よりは格差は広がっていない。また、女性の年間賃金が男性のそれと、1960~70年代では60%前後だったのが2022年には84%と男女間賃金格差が縮まっている。しかし、男女間の賃金格差を民族/人種別にみると、この格差が性差別だけでないことがわかってくる。アジア系や白人の女性と違って、黒人やヒスパニック系の女性の賃金格差は大きいのである。次に年収額によって性差がどのくらい偏っているのか調べてみる。EEOCの情報によると、男女間の賃金格差からもちろん女性の方が年収が低い層に集まっているのだが、女性の方があまりに19239ドル以下の層に偏在しすぎているのである。ただ、男性もその層は大きく、アメリカ社会が性差だけでなく、格差社会であることがよくわかる。

(参考情報)アメリカの男女間賃金格差
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/04/usa_01.html

OECD

 では、日本での男女間賃金格差についてみる。日本もアメリカ同様、かつての格差と比較するとその差は小さくなっていることがわかる。例えば、日本では1989年では男性を100としたとき女性は、60%程度の給与であった(単純に考えればアメリカに30年近く程度遅れているということだ)。2021年では約75%である程度その格差は縮小している。だがアメリカの賃金格差が人種によってさらに格差が広がったように、日本の男女間賃金格差にも他の格差が存在すると考える。第一に、年齢と雇用形態が男女間の賃金格差のなかで大きく開くファクターになる。50代になると、その差は、大きくなる。そもそも正社員にも関わらず女性は賃金が上がらないのだ。他にも学歴(大卒か高卒か)、文理の偏りなど様々な要因によってさらに大きな格差が生まれているデータもあった。つまり、日本もまた性差に加えて、異なる要因によってさらに格差が広がっている・もしくはより深刻化していることがわかる。


男女共同参画局(https://www.gender.go.jp/research/weekly_data/07.html)


男女共同参画局(https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r03/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-00-64.html)

③3つ目の事前課題

③男女間賃金格差問題について考えるとき、Aの問いで考える場合と、Bの問いで考える場合で、どのような違いが生まれるか/生まれないかについて考えてみる

 A「なぜ女性の賃金は男性より低いのか」
 B「格差を説明するために、どのように優劣を可視化し、論理化しようとしてきたか」

 グループMTGでは、Aが一般的な理由、Bが個人的な理由を聞いているのではないかと仮定した。Aは一般的にぱっと聞かれて思いついたものであったり、よく言われる言説なのではないかと。その一方で、Bは課題図書の内容を踏まえるとそれぞれの立場によって見える観方なのではないかという結論になった。たとえば、私が生物学者であった場合、フェミニストであった場合、その格差の説明や論理は変化する、つまり個々人に見方は依存するのではないかと。

 私が今考えてもあまりグループでの解釈と齟齬はないが、Aの質問では論理を意識していない質問であるためAのほうが、「男女 賃金 背景」と検索して出てくるような考え方なのではないだろうか。Bの質問では、ある論理がどういう風に論理化しようとしてきたのかという少し高い視座で見るため、自分の論理が一つではないと考えると気づくようなきっかけを与えてくれる。そして何を格差とするのか(何が問題なのか)、その背景にはなにがあるのか考えることが出来るように思う。

 グループワークでの話を用いてより具体的に説明する。 グループワークでも、女性の賃金が低いこと・昇進しようと思わないことが問題なのかという問いが生まれていた。AとBで答えてみる。

A「なぜ女性の賃金は男性より低いのか」→女性の昇進意欲がないから

B「格差を説明するために、どのように優劣を可視化し、論理化しようとしてきたか」 →もともと昇進したくないから女性の賃金が低いという論理。しかしこの昇進した区内には、女性のそう願ってしまう理由(家事など)があるのではないか(論理を問い直す)

 論理を俯瞰する力がBにはあるように思う。論理を問い直すことがBには重要視されている気がする。


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