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実践リーディング・占え!本能寺の変

私の考えるタロット占いとは?ーーを語っていくよりも、実際のリーディング例をご覧いただいた方がわかりやすいかと思います。以下をご覧ください。

※これはロールプレイ的なやつです。実際の相談例ではありません。シャレでお読みください!

相談者は、明智日向守惟任光秀さん(仮名)。お仕事は戦国武将(近江坂本城主)です。

相談内容…これまで転職に転職を繰り返し、自分なりに努力し一定の成果(一向一揆の平定など)を上げてまいりました。経済的にも社会的地位もやっと安定し、苦労をかけた家族、家臣たちにも報いることができてきたかと思います。
しかし、最後の職場(主君)のつもりで就職した会社で、社長(織田信長)のパワハラ、同僚(羽柴秀吉その他)や取引先(徳川家康)との待遇差、人間関係などに精神的に限界を感じ、虚しさを覚えるようになり、謀反を考えています。成功するでしょうか?

まあ、明智光秀が占い師のとこに相談者しに来るとしたらこんな感じかな、と。※ツッコミはご遠慮ください

こういうご相談を受けた場合、私が考えるのは、
①どれだけ相談者さんの意に添えるか
②とは言え、無謀なことはなるべく止めたい
③納得のいく選択を、本人の自己責任でしてほしい

で、「謀反」というのは、現代人的には間違いなく②なのです。反社会的行動、テロリズムと言ってもいい。現代でそんな相談されたら絶対止めるし、場合によっては警察に通報します。
ただ、戦国時代の価値観としては、謀反は「倫理的にはNG」「なんだけど、下剋上の時代なので、成功しちゃったら結果オーライで認められる」…なので、今回は、積極的には止めません。なるべくなら止めたいけど、充分に成算があるんだったら、思い切ってやらせてみてもいいのではないかな…と、戦国時代の占い師なら思うのではないでしょうか。人生五十年、滅せぬ者のあるべきや。※ツッコミはご遠慮ください

ということで、占ってみた結果がこちら

相談者・明智日向守さん(天正10年)

ケルト十字スプレッドという、タロット界ではとてもポピュラーな占い方(スプレッド)です。出てきたカードの位置と意味を組み合わせて占いをします。
全体的に「不穏」という印象なのは、ソードのカードが多いと言うことです。「愛情」を示すカップ、「情熱」を示すワンドのカードが1枚もありません。
また、ネガなカードが多めですね〜。先行きは暗い感じです。

さて、1枚ずつ見ていこう。
左側の十字架の中心に、タテヨコに並んだカードがありますね。タテのカードが「現在の状況」、その下のヨコのカードが「障害または救済」。タテは「ペンタクルの6」で、これは「ギブアンドテイクが成り立ってる」「自分は与える側にいる」という意味のカードです。
「障害または救済」には、「ソードのキング」、これはびしばし仕事の出来るおじさん、的なカードです。

こういう人物カードはちょっと厄介です。「ソードのキング」は相談者本人とも取れるし、相談者の周りにいる他の人とも取れるからです。
こういう場合は相談者本人に「あなたのこと?それとも上司の織田右府さん?どっちだと思います?」って聞いちゃいます。それによって他の結果も変わってきますね。そういうのを判断しながら「お話を作る」のが卜占、カード占いだと思います。

相談者の明智さんは「ワシのことだと思うでござる」と言ったのですが、場合によっては「うーん…やっぱり殿のことかも…」と言ったりもします。相談者さんが殿(織田信長)に完全に愛想尽かしてないならば、占っていくうちに「オレ、ちょっと冷静さを欠いてたかも…ヒートアップしてたかも…殿はやっぱりいい人だし…」と頭を冷やしていくので、結論としては「やっぱり謀反はやめときます」ってなります。「現在」のペンタクルの6は、この場合は「家臣たちに実は手厚くしてくれている信長」になります。

しかし、そういう段階はもう過ぎていて、織田さんに対してはもはや一片の情も残ってない、絶望と憎しみしかない、みたいな段階に来てたら「ソードのキングはワシじゃ。こんなに有能なワシをあの信長めは…」となるでしょう。そうすると「現在」のペンタクルの6の裕福な商人も、有能で仕事のちゃんとできている相談者さん、ということになります。ちゃんと民のことを考えて政治のできてる明智をいじめる織田信長、みたいな、一部の大河ドラマにあるような構図になります。
だとすると「情に訴えて謀反を止める」のはかなり難しいですね。そしたら次は「謀反の成算はどのくらいあるのか」を詰めていきます。

左のカードは「近い過去」、中央のタテヨコを挟んで対面のカードは「近い将来」です。
中央のタテヨコの上のカードは「顕在意識」、下は「潜在意識」です。この辺を掘り下げていきましょう。
過去のカードは「ソードの6」。船に乗った母子を、渡し守が対岸に連れて行こうとしています。船の手前は荒波で、向こう側には静かな海と、陸地が見えます。一般的には「安全な場所に避難する」という意味になります。
「ご家族には苦労をかけたと言ってましたが、今はもう安楽に暮らしてるんですか?」
と聞くと、相談者はフッと暗い顔になり、
「左様、城も持てて生活も落ち着きました。娘たちもみな嫁に行きましたが、先年、妻に先立たれまして…」
と、ここで新事実が明らかになりました。相談者さんは家族想いで愛妻家で、この時代の武将には珍しく、側室を持たず奥さんの凞子さん一筋だったらしいのです(※隠し子はいたらしい)。しかしその糟糠の妻は、数年前に病死してしまったそうです。

というように、リーディングしていくうちに、「訂正」「補足」みたいな感じで、新事実がドコドコ出て来たりします。相談者本人の感情が動いているのでしょう。

「感情が動く」、結局これがキモなのかなと思っています。行動を起こさなければ何も変わらないし、行動を起こすか起こさないか、決断するのも本人だからです。でも、一人で考えてても決断はなかなか出来ません。占いでもカウンセラーでも久しぶりに会った友達との雑談でも、何でも「背中を押される」、または逆に「クールダウンする」。それが重要なのだと考えます。

話を戻して、次に、右側の4枚のカードを下から見ていきます。(左の十字架の残る一枚、「近い将来」は最後に回します)
「本人の状況」、これは本人の意識とは別に、客観的な状況を示すカードだそうです。「拙速」を表す「ソードのナイト逆位置」が出てますね。うーん、やっぱり、よっぽど面白くない出来事があったりして、「もう謀反しかない」と、イライラして焦っちゃってるのかな?
相談者が気を悪くしないよう、様子を伺いながらそんな探りを入れると、相談者はものすごく暗い顔になって「実は…」と告白し始めました。
つい先日、主君の信長さんが、幼なじみでもあり重要取引先の社長でもある徳川家康さんを、本社(安土城)に招いた時、相談者がその接待を担当したのだそうです。相談者は手を尽くし、予算の許す限りのフルコースの大宴会を開いたのだそうですが、何と接待していた徳川さんから「魚の鮮度がちょっと…」とクレームが出てしまった。
信長さんは激怒して、何と、他の従業員や接待相手である徳川さん達の眼前で相談者に暴言を吐き、暴力を振るったそうです。さらに担当から外され、急遽外回りの仕事(中国攻め)に回されてしまった、と。
令和なら、パワハラで告発されて大炎上案件ですね。戦国時代には労働基準局もないし、SNSに晒すという手段もありませんしね。

そうかそうか、それは謀反もしたくなりますよね。その一件が引き金になったんですね。
普通はそんなつらい出来事は人には話したくないでしょうが、カード見ながらいろいろ考えてると、だんだん「実は…」と本音を言いたくなるものです。守秘義務は守りますから(※今回は守ってませんが)大丈夫、喋ると気が楽になりますよ!

さて、その上の「周囲の状況」を見ていきましょう。
実はこのカードが一番難しいなあ、と思っています。目の前の相談者の周囲がどうなってるか、こちらは全くわからないからです。推測しながらカードを読むしかありません。そしてそれは当たっているか、「いや、それはこういう意味かも…?」と相談者が訂正してくれるか、大体どちらかになります。不思議ですね。
「ソードの3」、嵐の中に浮かぶハートに剣が突き刺さってます。これは、周囲の人たちから見た相談者の様子でしょうか?
若い頃から苦労してきて、やっと功成り名遂げた成功の人生のはずなのに、奥さんに先立たれ、今は主君に見捨てられて全てを失おうとしている。ズタボロです。つらそうです。
「皆さん、心配してるんじゃないでしょうか…」
相談者はそれには返事をしませんでしたが、涙を堪えています。

「もういいんじゃありませんか、あなたはもう充分やって来られましたよ。一向一揆も平定したし、それだけでもすごいことです。お子さんも大きくなったんでしょう?お城のことは息子さんとか娘婿さんとかに任せて、隠居してのんびりお茶でも立てて過ごされては…」

令和の相談者なら、そう言えば多分かなりの確率で「そうですね…」となるんじゃないかと思いますが、戦国武将はやはり難しいですかね。隠居したいなんて言ったら、パワハラ主君に一族ごと攻め滅ぼされるかも知れません。

その上のカード「恐れ、または望み」を見てみましょう。「皇帝」です。
えーと、ここは何か平和そうなカード(ワンドの4とかカップの10とか)が出てほしかったですが、よりによって「天下を取りたい」というギラギラな願望があぶり出されてしまいました。皇帝は「支配」「君臨」のカードですからね。
あるいは「絶大な権力を持つ皇帝・信長への恐れ」かも知れません。どちらにしろ「殺るか殺られるか」的な局面であることは間違いなさそうです。

ここまでは状況を紐解いてきましたが、結局謀反の成否はどうなるのでしょう。
残っている2枚のカード、未来を示すこれらの2枚が「いいカード」なら相談者は「やる」でしょう。背中を押されるわけですから。
左の十字架の残る1枚「近い将来」は「固執、こだわり」を示すペンタクルの4逆位置。逆位置なので「領地、失っちゃうかも…」です。
そして最終結果「月」は、「不安、裏切り」を示す、どちらかと言うとネガなカードです。

「うーん、厳しくないですかねこれ?謀反ですからまあ、ある意味裏切りではありますが、それより、身内とか、アテにしてた味方とか、そっちに裏切られたらシャレになりません」
最後のカードの解釈を告げると、相談者の目が明らかに泳ぎ始めました。
え、いや…まさか…とぶつぶつ言ってるので、誰か「アテにしてた心当たり」があるのでしょう。誰だろ?

本能寺の変、いろいろ説はありますよね。光秀の単独説だけでなく、実は羽柴秀吉が黒幕だった、徳川家康と裏で繋がってた、公家やなんかを引き込んでた、あれこれあれこれ。その中のどれかでしょうか。
単独説にしても、本能寺の変の直後、光秀は「味方してくれそうな戦国武将」あちこちに手紙を書いたのが残ってます。有名なのが、仲が良かった細川藤孝とその息子の忠興(光秀の娘の玉さんの旦那さん)です。謀反しちゃったんですが、協力してくれるよね?と手紙を送りましたが、あっさり無視されてしまいました。
(余談ながら、私はこの手紙の実物を見たことがあります。細川家に今でも保存されているんですね)

相談者さん、こんな黒歴史残っちゃいますよ

(勝手に人をアテにして、アテが外れたことを「裏切り」と言うかどうかは疑問ですが)

いずれにしろまあちょっと「先行き不安」なカードばかり出てますねえ…。
もう少しよくお考えになってはいかがですか?武将である以上一国一城のあるじですから、従業員(家臣)にも、ご家族にも迷惑がかかるのでは?アテにしてる人がいるにしても、事前に相談するとか。
実は内応者がいるなら、ちゃんと文書にして確約取っとかないと、後でハシゴをはずされませんかね?いずれにしろ「ソードのナイト逆位置」で、拙速は禁物です。

相談者は「わかりました、もう一度よく考えてみます」と言って帰っていきました。

さあ、最終的に相談者はどう行動したでしょうか?麒麟は来たのでしょうか?
あなただったらどうしますか?

(このリーディングはフィクションですが、カードは実際の占法の手順に従って並べた、完全な偶然の結果です。意外と「当たってる」のが面白いですね。そう、カード占いは「当たる」のです。)

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