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小児整形外科医の考える抱っこ

様々な職業からいろいろな意見のある『抱っこ』の仕方。
小児整形外科医はどんな意見を持っているのかを語ります。


抱っこの仕方はひゃく通り

抱っこについては以前から「こんなことに注意してね〜」なんて書いていましたが、やっぱりやめます。すみません。わたくしが間違っていました。

『そんなん言われてもできるかー』や、『そんな風にしてこなかった、どうしよう』と思われていた方、安心して下さい。それでも大丈夫

では、どうすれば良いのか?


発表します。タカタカ。。。ターーーーーン!!!!!


【愛情を持ってギュッと体に近づける!】


これでいきましょう!

細かいことを気にしてもだめ、わからない。だってだれも教えてくれない、書いてあるのを見るだけ。それでわかったことにはならないでしょ。そんなんで情報発信しまーすなんて責任放棄もいいところ。

なので科学的な方向からいきなりスピリチュアルな方向に180°転換します。


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昨日のやりとりからです。

後藤さんは’抱っことおんぶで育児が楽しくなったワーママ’と紹介されていました。なんとPh. Dを取っており、その方が言うのだから!...

というわけではなく、学位とるまで勉強してきた人なのに、抱っことおんぶに興味を持つのって面白いなとなんとなく思いました。

メッセージのやりとりを通してこんな共通認識を得ました。

・抱き方の向きは関係ない
・抱っこ紐の前に素手でのやり方が重要
・自分で動き出す機会を邪魔している可能性がある
・成長とともに抱っこのやり方を変える
・そのことを詳しく指導している人はほとんどいない


ここでもあかちゃんのことを考えることが大切です。

「どこを持つ?」や「なにを使う?」ではなく、あかちゃんがどう感じているか。不安なのか、心配なのか。

縦が良いのか、横が良いのか。それはあかちゃんに任せて良いと思います。

あかちゃんには感情があります。産まれて直ぐから自分の体に興味を持っています。体が自分以外の力でいきなり動くと不安になります。少しの傾きで「ビクっ」と動いて両手をバンザイする赤ちゃんを見たことないですか?あれが例です。

脚がついていることに気付いていないというのを想像してみてください。突然自分の体の下の方に大きな重りがついて、ひきづり下ろされそうになる。

これは恐怖です。

必死になって脚を引き上げようとするでしょう。
しかし、そこはお母さん、お父さんにギュッと支えてもらっていれば安心、大丈夫。けっきょくそれだけ。首だけではなく、手も足も含めて抱っこをしてあげて、体の安定性を確保して上げる。

親はまずはそこに慣れる。頑張る。落ちそうで怖いからと体から離してプルプルしている人を見ますが、それが一番怖い。

それは抱っこ紐を使っていたとしても一緒。体から離れていたり、緩んでいたりしたら同じ。しっかり密着するように着けること。できれば両手が空いていれば背中やお尻に触れてあげる。そうすることで、赤ちゃんも捕まることを覚えてくれる。

でもいつまでも同じではいけない。
あかちゃんの目が開き、まわりに興味を示すようになると、体を動かせる隙間が必要。ここでは体幹をねじる、伸ばす、曲げるや肩周りの連動といった寝返りやハイハイの前の基本的な運動を身につけるチャンスになります。いつまでもぶら下がったままではそのチャンスを逃すことになります。

目安は3ヵ月くらいの首が据わってきたころ。このころになると手も足も自由に動かせる様になり、不安感がなくなります。


『いつもわが子のことを中心に』

大切なのはここ。

伝えていきます。いかにまわりに流されてそれが見えなくなっているか。


中川将吾
小児整形外科専門ドクター

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