クリニックを開業して自分がどこに貢献できているかを考えてみた

2022年5月6日。GW終わりのその日に、茨城県つくば市内に整形外科クリニックを開業しました。その名もつくば公園前ファミリークリニック(通称ファミリハつくば)と言います。

院長をやっております中川将吾です。よろしくお願いします。


もともと整形外科を10年以上やってきて、最後の数年は小児整形外科という特に子どもにフォーカスした、運動器(体を動かす機能)の病気やケガについてを見てきました。その中には障害を持っている子や、骨格の問題がある子、運動発達の悩みを抱えた子などがいて、その子どもと親御さんをずっと見てきた訳です。

これらの疾患は普通のクリニックにはなかなか現れません。それもそのはず。だいたいが小児科さんからの紹介なのです。

ケガなどと違って、ちょっとおかしいなと思ったらもともと通っていた小児科、かかりつけのところにまずは受診して、そこから「整形外科の先生はいかがですか〜?」となるわけです。でもそんな時にはけっこう症状がすすんでいたりして、手遅れとまでは言わないまでも、もっと早くたどり着けていればなんてよく思ったものです。

そんなことを考えていた自分が開業して、地域のみなさまや多くの親御さんたちに見つけてもらいやすくなり、さぞかしなにか役に立っているのかと思われるかもしれませんが、、、、。どうなのでしょう??

たしかに徐々に患者さんは増えています。1日に10人くらいの来院患者数が続いていた5月に比べて、いまは平均して20-30人の患者さんが毎日訪れてきてくれます。しかし、自分のクリニックがなかったとしても、きっとどこかの病院に受診していたのではないかと思うと、新しく作った意味がありません。

ここでしか診れない症状。ここにしか頼れない悩み。ここでしか行えない治療など、他にはない特徴とやらを持っていたいものです。

これまで3ヵ月弱やってきて、どんなコトを新しく始めたのかを書いてみます。前置きが長くなってスミマセン

①あたまのかたち外来

散々、小児整形外科といっておいてここからです。

あたまのかたちの需要の多さにはビックリします。特に宣伝をしなくても問合せや受診希望が毎日きています。もともとそんなに見たこともないのに、開院して数ヶ月ですっかりその道の専門家の様になっています。

あたまのかたちが変化する原因や鑑別疾患を知っていなければいけません。そこについても新しく勉強しています。

すでにヘルメットを使った治療を開始している子もいて、

②脳性麻痺の新しいリハビリ

ここからが一番やりたかったことです。

以前までの病院勤めでは、自分のやりたいリハビリが行えているとは言えない環境でした。自分は処方を出すだけ。あとの内容や方針はどちらかと言えばセラピストが主導。長年続いているもともとの流れを大きく変えることに抵抗がある環境でした。

いまはそこから180°変わっています。

自分のやりたいことを明確にし、その理念に共感したスタッフとともに働いています。時間があれば一緒にリハビリ室で直接関わりを持てます。

どういったことが特徴かと言うと、とにかく自主的に体を動かす方法を間得ます。メニューを決めてそれ通りにやらされるのではなく、あくまでもこどもたちが主体です。どれをやるか、何回やるか、どうやってやるのかを子どもたちに委ねます。もちろんただ好き勝手にやっているだけでは進まないこともあるので、そこはプロの腕の見せ所です。

他にはどんどんと無駄な装具を切っています。

明らかに動きを制限しているだけの装具。運動機能に合っていない装具。普段使っていないのにリハビリの時だけ使う装具。
こんな処方がありふれています。

勤務医時代にもおかしいと言い続けていましたが、今はどこに遠慮することもないので、そこはどんどん外していきます。もちろん適切な装具を使用する必要性を判断し、場合によっては作り直したりもします。

能力があるはずなのに動けない子の原因を考えるのが、小児整形外科を学んでリハビリを行っている自分の務めです。

③薬に頼らない医療

ファミリハつくばは院内処方を行っています。そもそも薬の処方があまりないからです。1日20人近く診て、処方が1回もない日もあります。子どもって薬を欲しがらないですから。

薬を求めて受診してくるのはだいたい大人の患者さんです。

診察の流れで、まずは問診、所見をとり、レントゲン検査。再度その結果と所見との整合性を確認し、その後に運動指導。

痛みを抱えて受診される方には、ほとんどの場合、診察室内で運動指導が始まります。時間とコストを考えるとあり得ないコトですが、他人に任せよりも所見を知っている自分が対応した方が良いなと思ってしまいます。

痛みを出さない動き方や、凝り固まった動き方を柔らかくする方法を伝えると、診察室に入ってきたときと帰るときでは様子がまったく変わってきます。ついでにどうしてそうなるか、体のことについて解剖学や生理学の内容を易しく解説しています。

そこまでやると、薬が欲しいと思わなくなるので、こちらから声をかけることもありません。

症状がなかなか改善せずに、延々と処方が繰り返されている例はなんとかしてもらいたいですね。

④スポーツコンディショニング

医療保険でカバーできない部分もちょっとずつ始めています。

学生時代、陸上競技部でガチにやっていたこと。学生トレーナーとしてたくさんの経験を積んできたこと。その後の大会ドクターや東京オリンピックでの経験など、これからのジュニアスポーツになにか貢献したいと思ってやっています。

実際にクリニックにくる小学生を診ていて思うこと。

ケガしすぎだよ。
それ以前に体の使い方が出来ていない。
そして休まない。

どうなっているんだコーチは、と。

試合があるから休めないと。それは小学生の使う言葉ではありません。将来のことを考えても、休むことが成長のために必要です。

中にはそういったことを伝えても全然響かない親御さんもいます。かなり厳しい言葉を伝えています。これについてはどこかで講演会でもしようかな。



まだまだやりたいことがたくさんあります。

・NICU退院後の運動発達のフォロー
・ママリハ(産前産後のケア)
・地域を巻き込んだお祭り
・保育園事業

こういったこともこれからどんどんやりつつ、地域に必要な存在にしていきたいと思います!!

今後ともよろしくお願いします。

中川将吾
小児整形外科専門ドクター

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