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【緊急開催】どうなる?不妊治療の保険適用イベントレポート

不妊治療の保険適用について、ネットやSNSでは喜び、不安、疑問…さまざまな感情や意見で揺れています。

これから日本の不妊治療はどうなっていくのだろうと、みなさん気になっていますよね。治療を受ける患者側も、治療を提供する医療側も負担なく、より良い技術を受け・提供することができるようになるのでしょうか?

そこで、2020年9月19日(土)、ファミワンでは「どうなる?不妊治療の保険適用」と題した妊活ライブを緊急開催しました。

菅内閣発足からわずか3日、まだまだ具体的には不明な点も多いタイミングです。ファミワンは、保険適用化に賛成・反対の意見をお伝えするのではなく、

・不妊治療を受けている人たちにどのような影響があるのか考えること
・今の段階でわかっていることを整理していくこと

を目的に、この妊活ライブを開催しました。

この記事では、当日お話した内容を一部ご紹介します。

スピーカーのご紹介

スピーカーとしてご登壇くださったのは、森田由紀さん(渋谷区議会議員)と東友美さん(町田市議会議員)。急な開催にもかかわらず、快くご登壇くださりありがとうございました!

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今日までの不妊治療保険適用の流れ

不妊治療の保険適用化は、菅首相が官房長官時代から政策として掲げており、このたび日本の少子化対策の一環として実現化に向けて取り組むと表明されました。「実現化までは早くても2年ほどかかるが、それまでの期間は助成金制度を2021年の春を目標に拡充し、治療を支援したい」と公言されています。(2020年9月19日現在)

保険適用化には現在、様々な意見があります。

・経済的理由から不妊治療を受けられなかった人たちが、治療を受けやすくなる。
・財源はどこから?
・保険適用化によって医療の質が低下するのでは?

保険適用化で自分の妊活に良い影響があると思う?

はじめに、参加者の皆さんへアンケートを行いました!

Q.不妊治療保険適用化で、あなたの妊活に良い影響があると期待していますか?

結果は、「期待している」が最も多くなりました。

「期待している」64%
「わからない」14%
「考えるところがある」21%

ただ「分からない」と答えている方も14%いらっしゃいます。さまざまな情報がある中で、保険適用化のメリットや考えられる課題など、なかなか整理できない部分もありますよね。

ここから、みなさんが抱えている疑問の1つ1つを、森田さん・東さんと一緒に整理していきましょう!

両スピーカーに聞く不妊治療保険適用についての取り組みやお考え

森田さんは、ご自身が活動されている渋谷区で不妊治療に取り組む夫婦の経済的支援について声を挙げられているとのこと。

「不妊治療に取り組む夫婦の、経済的負担を軽減することが重要だと考えています。一部の助成だけでは十分じゃないのではないでしょうか。保険適用化には慎重な審議が必要ですが、不妊治療に取り組む夫婦の経済的負担軽減になるのではと、期待しています。」


東さん

「多くの方が望んでいたことですし、保険適用自体は良いものだという感想です。しかし、最先端医療で不妊治療を受ける場合など、これまで自由診療ならではの恩恵を受けていた方がいるのも事実。治療変更や最先端技術の取入れなど、今まで自由診療のもとでできていたことが、保険診療では難しくなっていくかもしれません。クリニックで個人に合わせて最適にカスタマイズされてきた診療はどうなるのか、注目していかなければならないと思います。

逆に、自由診療のデメリットを受けてきた人もいます。効果の出ない治療をひたすら繰り返すなどは、国が不妊治療をきちんと管理していないために生じていた問題です。保険適用化されると、全国的に均一化されてこういった事態は解消されていくいくことが期待できます。

他の視点では、就労環境が整っていない中で保険適用の議論だけが進んでいくことは、個人的に危惧しているところです。」

Q. 不妊治療の保険適用はいつからだと思いますか?

森田さん

「保険適用化には、財務省の理解のもと、厚生労働省審議会の議論を経て、中央社会保険医療協議会で診療報酬改定の議論がされていくのかなと思われます。診療報酬改定が成立した場合、次の改訂が2022年なので、早くても実現化は2022年の春以降ではないかと。」

森田さんによれば、「早くても2年で保険適用化の実現を目指す」というのは、かなりスピーディーな対応だそうです。

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Q.どのような治療が保険適用になると思いますか?

東さん

「今までの政府の議論の中に、「特定不妊治療」(※1)の「特定」の文字が出てきていません。特定不妊治療が保険適用化の議論の中でどのように扱われていくのか、注目していくべきだと考えます。

根拠のない勝手な考えではありますが、個人的には、2年以内に保険適用になるとしても、人工授精までの治療ではないかと予測しています。人工授精までの治療は、手技や物品の値段にあまり差がありませんから。

しかし特定不妊治療になると、培養液の値段や胚培養士の技術の差など、物・人の面でもバラバラです。そこを一律化する議論が2年以内にできるかというと、難しいと思います。ですから、2年以内であれば人工授精までが保険適用できるようになるのでは?と、予想しています。」

※1)「特定不妊治療」とは、体外受精及び顕微授精を指します。特定不妊治療と、特定不妊治療の一環として行われる男性不妊治療には、助成制度があります。(2020年9月19日現在)

Q.不妊治療の地域格差、どうなる?

参加者からの質問
「地方では不妊治療を受けられるクリニック自体が少ないです。保険適用によって、この状況は改善もしくは悪化するのでしょうか?」

森田さん

「地域によって差があるのは残念なことです。地方議員がもっと声を出して、こういう時こそクリニックの誘致など取り組んでいくべきだと考えています。地方議員に対して皆さんから声を挙げて頂くのも良いことだと思っています。

地方議員さんに要望することが、自分たちが住む地域の不妊治療を充実させていくことに繋がるのですね!地方議員さんが身近に感じました。

Q.助成金の拡充、どうなる?

参加者からのコメント
「助成金を拡充するのであれば、申請回数の制限を無くしてほしいなと個人的には思います。6回という制限は少なすぎると感じています」

森田さん・東さんともに、助成金を受けるための回数や年収の要件が厳しいことは課題だとおっしゃいます。

森田さん

「助成金を受けたくても、年収の上限で引っかかってしまい助成金制度が利用できないのは大きな課題です。同時に、不妊治療をしながらも働ける環境づくりや、社会の理解を広めていくことについても、取り組んでいかなければいけないと考えています。」

東さん

「高額な不妊治療の費用が掛かるからがんばって働いているのに、その結果、年収の上限を超えてしまい助成金が受けられないというループは解決しなければなりません。」

助成金制度の拡充については、参加者から「私も友人も、このループに陥っています😢」「制限をもっと緩和して欲しい」といったコメントが届きました。

Q.不妊治療、延期した方がいい?

「30代半ばで不妊治療をはじめて、1年。人工授精の段階だが延期した方がいいのか?」

胚培養士として従事されていた東さんはこのようにおっしゃいます。

「延期はしない方が良いと思います。妊孕性(妊娠するための力)というのは、時とともに減少していきます。一日でも早く治療に取り組む方が良いと思います。今は人工授精の段階かもしれませんが、保険適用されるまで2年待っていたら、人工授精では妊娠できない身体になっているかもしれません。保険適用化を待つために治療を延期するのではなく、一刻も早く治療を進められた方が良いと思います

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保険適用化のニュースが届いてから、ファミワンにも「保険適用されるまで治療を待った方が良いのでしょうか?」というご相談が寄せられています。
ファミワンの専門家たちも、保険適用化を期待して治療の時期を逃すより、少しでも可能性が高い時期に治療に取り組んでいただきたいと考えています。

他にも、こんな質問にお答えいただきました

Q. 条件はつくと思いますか?所得制限や、治療の内容に関わらず適用になると良いです。

Q.なぜ少子化問題が以前から問題視されていたのに、今まで不妊治療の保険適用が決議されなかったのでしょうか。

Q. 不妊治療が保険適用になるということは、現在行なっている、県や市区町村からの助成はなくなると考えた方がよいのでしょうか。

Q. 不妊治療が保険対象になると自由診療との混合にどう対応されるのか疑問です。

今後の課題や懸念点についてより深くお話を進めることができたのではないかと思います。

詳しくは、ファミワンの「妊活ライブ」にご登録後、アーカイブ動画でご視聴いただけます!

もう一度、「保険適用化で自分の妊活に良い影響があると思う?」

最後に、冒頭と同じ内容で、参加者の皆さんにアンケートを行いました!

Q.不妊治療保険適用化で、あなたの妊活に良い影響があると期待していますか?

結果は、ライブ開始時とライブ終了時でこのように変わりました。

「期待している」64%⇒56%
「わからない」14%⇒0%
「考えるところがある」21%⇒44%

なんと、「わからない」が0%に!漠然としていた「不妊治療の保険適用化」のメリットや課題について、この妊活ライブの中で整理し、深く議論ができた成果ではないでしょうか。

もちろん保険適用化への期待もありつつ、状況を冷静に見守っていこうと考えた方が増えるという結果になりました。

スピーカーのお二人から

森田さん

「保険適用化の議論は、今まで進まなかった状態から大きな前進だと思います。しかし、冷静な判断や、助成金の拡充について十分な審議が必要です。また、保険適用という枠組みだけにとらわれるのではなく、周辺にある社会の課題についても理解した上で、国に審議して欲しいと考えています。そのためにも、地方議員の立場から声を挙げていきたいと思っています」

東さん

「当事者の置かれている環境が整っていない中で、金銭面だけに焦点が当たって議論されることを危惧しています。保険適用化され、不妊治療を受ける人が増えたとしても、結果として仕事と両立できず退職者が増えるのでは意味がありません。

皆さんにも、日頃のニュースに注目して頂き、「これはおかしいな」と思ったら積極的に声を挙げて頂きたいと思います。」


参加者からのご意見・ご感想

「保険適用、なによりも大変な費用負担が減るので、とても期待しています。でも、自由診療だからこそできた部分ができなくなるのは嫌ですね😢」

「不妊治療への保険適応というインパクトある言葉だけが一人歩きしているように思いますが、どんな形であれ治療の経済的な負担が減ること期待してます。」

「今回の保険適用で金銭的負担軽減の議論が中心になってますが、身体的負担や精神的負担も軽減に向けて動いてほしいと切に願っています。」

「啓蒙活動にも力を入れて欲しいですね!」

「この保険適用の議論自体がよい影響があると感じました✨」

ご参加くださった皆さん、ありがとうございました!

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どうなる?不妊治療の保険適用」のアーカイブ動画も、すでに公開していますので、ぜひチェックしてみてください!

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