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ファミドク「メディカルファミリーセラピー」9章

2024年9月に開催される日本家族療法学会第41回金沢大会(https://jaft2024.site/)に米国家族療法家William Doherty氏が来日されます。

それに先立ち、関連する書籍を学ぼうと「メディカルファミリーセラピー」の輪読会を行なっております。7月19日に第4回目を開催しました。

https://www.kongoshuppan.co.jp/book/b514868.html

今回の輪読会には、医師8名と心理士1名が参加し、第9章「妊娠喪失と不妊、生殖技術」についての議論が行われました。冒頭では、久永医師より章の要点のまとめを共有いただき、その後、グループに分かれてディスカッションを行いました。

特に印象的だったのは、流産などの妊娠喪失が夫婦関係に与える影響です。

流産や死産を経験した女性は、長期にわたる不安や鬱を抱えることが多く、これらの経験が夫婦の離婚リスクが22%上昇させるとのデータもあります。

しかし、妊娠喪失に対するソーシャルサポートは少なく、その悲しみは言葉にされることが少ないため、忘れ去られやすいです。こうした背景から、本書では妊娠喪失の影響を診療においてアセスメントする必要性が強調されています。

グループディスカッションでは、以下のような話題が挙がりました。

  • 日本における不妊カウンセリングの現状:厚生労働省は、不妊カウンセリングの専門職種の養成を推進しているが、実際に不妊カウンセリングを行える理士はまだ少ない。この領域では医療的知識や遺伝カウンセリングの知識が求められるため、専門的な研修が必要である。

  • 診療における不妊の取り扱い:不妊は非常にセンシティブな話題であり、治療者側から話題を切り出すのが難しいと感じている医師も多い。また、悲嘆に加えて、原家族や社会の期待や影響ととても深く関わっているので、扱いには両者のすれ違いを扱う家族療法的視点が有用と考えられる。

  • 21世紀の生殖補助医療と倫理的課題。新しい生殖補助医療はカップルに新たな倫理的及び情緒的課題をもたらしており、今後の診療現場で扱われることが増えると予想される。参加者での考え方も議論された。

本書籍は2014年に出版されましたが、今の日本においても医療の断片化や一般医療における心理職との協働の重要性が指摘される中、非常に有用な本だと感じました。読み進めていくことが大変楽しみです。

最後までお読みくださりありがとうございます!

輪読会は毎月開催予定です。毎回本を題材に日々の考えや疑問を気軽に共有できる場にしていきたいと考えています。

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執筆:宮本侑達(ひまわりクリニック)
編集:河田祥吾(亀田ファミリークリニック館山)田中道徳(岡山家庭医療センター)


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