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ファミクル「家族ライフサイクルを深める」 第1回 変化する家族を支援する秘訣

家族支援って何だろう?と思う方も多いかもしれませんね。簡単に言うと、家族が直面する困難や問題に対して手を差し伸べること、それが家族支援です。

しかし、家族というのは生き物のように成長し変化します。それぞれの家族が今どんなステージにいて、何を求めているのかを理解することが、役立つ支援を行うためには重要となります。

ここで「家族ライフサイクル」の出番です。これは家族が経験するさまざまなステージと、そのステージごとに起こりうる課題を明らかにする理論になります。この理論を手にすると、家族がどのステージにいて、何を必要としているのかが見えてきます。

家族ライフサイクルは、家族支援の「地図」のようなもの。家族支援の旅を始めるあなたにとって、とても頼りになる存在です。これから家族ライフサイクル理論について学んでいきましょう。

家族ライフサイクルとは

一つの家族が時間とともに発展するステージを示す理論です。人生には特定の時期と役割が存在し、これらの課題をどのように経験し、それにどう対処すべきかを理解するための一助となります。

支援者は、家族がどのステージにいるかを理解し、そのステージに適したサポートを提供するための有用な道具となります。これにより、より具体的で効果的な支援を提供することが可能になります。

各ステージについて

家族ライフサイクルに含まれるステージには様々なものがありますが、今回はその一つを紹介します。

巣立ち期:大人になり、自立を始める時期です。自分のアイデンティティを見つけ、新たな人生の道を探し始める。
カップル形成期:愛するパートナーとの絆を形成し、ともに人生を始めるステージです。ここでは二人の関係性の基礎を築きます。親世代や友人などとの付き合い方なども考える時期になります。
小さい子どものいる時期:新たな家族の一員が増え、親としての役割を学んでいきます。夫婦のあり方や祖父母世代との関係性も変化するため、適応する必要があります。
思春期の子どもがいる時期:子どもたちが大きくなり、自分探しを始めるステージです。親としては、新たな困難に対応しながら、子どもを応援していきます。
巣立たせる時期:子どもたちが自分の道を探し始め、家族の家から飛び立つステージです。親としては、子供たちが新しい世界での冒険を始めるのを温かく見守り、同時に自分たちの新しい生活のスタートを迎える時期でもあります。
中年後期:子どもたちが完全に自立し、親自身が老後を考え始めるステージです。この時期は、これからどう生きていくかを考える時期となります。
人生の終末期を迎える家族:人生の最後のステージに入り、人生を振り返り、次に何をするべきかを考える時期です。さまざまな思い出と共に、人生の終わりに向けての準備を始めます。

これらの各ステージは、家族が経験する変化と成長を理解するための道しるべとなります。

なぜ家族ライフサイクルが重要か

家族支援にとって家族ライフサイクルを用いることで以下のような点を理解できるようになります。

ニーズを理解することができる:各ステージで直面する可能性のある課題やニーズを理解することで、より具体的で適切な援助を提供することができるようになります
未来を予測する:次に来るステージの挑戦やニーズを予想することを可能にします。これにより、家族支援者は前向きな計画と予防的な介入を提供することができます。
共感と絆を築く:家族が経験するライフサイクルを理解することで、家族支援者は家族と深いつながりを築き、その経験に共感することができます。
適切な資源の活用できる:この理論を使うことで、どの種類のリソースやサービスが最も効果的であるかを理解するのに役立ちます。

家族ライフサイクルの注意点

家族ライフサイクルを用いる場合に以下のような注意点があります。

個別性:この理論は一般的なパターンを示すものであり、全ての家族が同じ経験をするわけではありません。個々の家族は異なる経験と挑戦を抱え、それぞれのステージを独自の方法で経験します。
文化的な違い:家族の定義や家族の役割は、文化や地域により大きく異なる可能性があります。したがって、家族ライフサイクルを適用する際には、その文化的な背景を理解することが重要です。
非線形の経験:人生は予測通りの線形に進むものではなく、予期せぬ出来事や経験が訪れます。突然の病気、離婚、失業などはライフサイクルの経過を中断することもあります。したがって、これらの要素を理解し、それに対応する柔軟性を持つことも重要です。
時間の変化:社会的、経済的、技術的な進歩は家族の形や経験を変えます。たとえば、最近の日本では、LGBTQや離婚の増加などを背景に多様な家族の形があります。

家族ライフサイクルは家族の動的な進化を理解するための便利なツールではありますが、それを使用する際にはこれらの要素を考慮に入れることが重要となります。

さいごに

今日は家族ライフサイクルの基本と、それがどのように家族支援に役立つかについてお伝えしました。この理論は一つの「地図」であり、家族が人生の旅をする上での一助となります。

家族の成長と変化を理解し、それぞれのステージで最適なサポートを提供することが、家族支援者としての重要な役割です。この記事がその道しるべとなり、あなたの家族支援の旅の役立つ一部となれば、私たちとしてもうれしい限りです。

次回から、家族ライフサイクルの各ステージを解説、深掘りしていきます!

参考文献
ジェノグラム 家族のアセスメントと介入ーM. McGoldrick他, 渋沢田鶴子監訳
家族志向のプライマリケアーS.H.McDaniel他, 松下明監訳

次回

家族ライフサイクルのうち「巣立ち期」を扱います。お楽しみに!

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執筆:田中道徳(岡山家庭医療センター)
編集:宮本侑達(ひまわりクリニック)


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