函館2歳S 函館記念 振り返り


函館2歳S

TB・展開

TBは少し内有利。内に拘った差しや先行馬の残り目がやや多く目立った。悪天候が少なかったのもあり時計も比較的普通(夏の洋芝ほど掛かっていない)で芝も全体的に綺麗なままとなっていた。
3F 34.0-35.2とスプリントとしては比較的普通。このレースがデビュー2戦目の馬がほとんどで、新馬戦よりはペースが上がっていることがほとんどではあるが、全体としてはそこまで速くはない。
後半3Fも11.4-11.8-12.0と極端には垂れていないので、TBと合わせるとやや前残りになったのかなという判断。
ただ、この時期の2歳戦はクラシックよりもさらに能力差が大きく出るので、そもそも前目で決まりやすい。(後方は差せない、というよりスピード不足で流れについていけないというパターンが多い)
そのため、時計、ラップやTB的には内前が残りやすいと言えるのだが、そういう展開で決着したと決めつけるよりは能力差で自然と前に出た馬が力を出した、という面も考慮に入れるべきである。

サトノカルナバル

唯一東京1400からの参戦で、単純比較だけでもローカル1200デビュー組よりも距離としてのカテゴリも競馬場としてもレベルが上(最初から評判が高い素質馬は今後を見据えて主要4場、特に東京でデビューさせることが多い)であるため、スプリントらしい序盤からの速い流れに乗れず立ち遅れなければ最上位評価が妥当だろうとは個人的に見ていたが、しっかり対応して横綱競馬で抜け出す競馬。
2.3着がインベタで逃げた馬とその後ろの行ったっきりなので、4番手で前残り展開に乗っているとはいえ、3角から外を回して捕らえに行く競馬であったことから着差以上の価値がある。
問題は、この時点で既に短縮の1200路線に行くということは、ほぼマイル路線を捨てた(朝日杯を重視していない)ローテであるということ。
また、函館2歳Sはまだ新馬戦開始から1月半で頭数が揃わない時期かつ函館(ローカル)1000か1200デビューの馬が滞在のまま2戦目として選ぶレースなので全体としてレベルが低くほぼ今後に繋がらない。ほぼ個人馬主の賞金稼ぎの場みたいな立ち位置である。
通常ならこのあと1600に延長して新潟2歳SやサウジRCを使ったり、あるいは1400のまま京王杯2歳S、百歩譲ってOPのクローバー賞やダリア賞に行きそうなものなのだが、今後どうするのか注目である。(たぶん京王杯かな・・・?)

ニシノラヴァンダ・エンドレスサマー

逃げた馬とインベタ番手の行ったっきりで、TBや展開に恵まれたと見るのが妥当だが、一方でその位置を取り切れる先行力は示したと言える。(エンドレスサマーは1枠だったことが大きそうだが)
この2頭はタイム差も無いので互角の評価が妥当であるが、サトノカルナバルとは0.2差以上の力差があるという解釈でいいだろう。つまり、基本的に低調になりがちなレースであることも踏まえて今後も通用するかどうかはまだ何とも言えない。

ヤンキーバローズ・リリーフィールド

ヤンキーバローズは外を回り続けての追い込みで2,3着と僅差に迫ったことからも内容としては2着相当。TBや展開に恵まれてないと見ればまだまだ能力的に底は見せていないので今後も注目の1頭である。
リリーフィールドは出遅れての競馬で掛かりながらも最後はそれなりにまとめてきた。掛かる=流れ以上に走ろうとする前進気勢がある=スピードはあるということなので、成長次第ではもう少し走れそうである。

カルプスペルシュ

上手く潜り込んで内3番手(全体5番手)を追走。
4角から外に持ち出されてサトノカルナバルの後ろを追うも伸びきれず、TBの恩恵を考えると力負けか。

函館記念

最終印

TB・展開

TBは土曜に引き続き引き続き少し内有利。時計水準もそのまま。
アウスヴァールが主張し離して逃げ、その離れた2番手にホウオウビスケッツがすんなり収まり、3番手以降が固まる隊列に。
3F 35.4-35.7、5F 59.6-59.6と離し逃げしたわりにラップは緩く、スローといっていい。特に序盤~前半にラップが速まりやすい函館2000のコースからしてもラップが上がりきっておらず、緩むのも早かった。(だいたい前半5Fに11秒台を並べて58秒台で入ったあと、後半はほぼ12秒台、L1F12秒後半みたいなラップになる)2番手ホウオウビスケッツで60.0-59.2くらい。後続が放置しすぎた感もあるが、先に動いて自爆するわけにもいかず、金縛りのような感じになったのかもしれない。
イメージ的にはマイスタイルが勝った2019に近く、このときも行ったっきりで決まった。
TBと展開に大きく恵まれた側面が強く、見た目で評価するようなレースではないだろう。

ホウオウビスケッツ

逃げる気は見せていなかったので、ほぼ2番手に収めて競馬することを決め込んでいたと推測。
スローの流れを逃げ馬の少し離れた番手のゴールデンポジション、しかも単騎で終始全く絡まれることもなく悠々と競馬をさせてもらった。
TBも展開も何から何まで恵まれてお膳立てされたようなレースになり、もはや勝って当然の状態になった。上がり3位、ラスト1Fを12.0でまとめ、ペースを上手く掌握し切った作戦勝ちと言える。
2着とは0.6差と大きくついたが、これをそのまま能力差とするのは些か無理があり、次走は最低でも相手関係、隊列は条件悪化になるため、もともと気性的に怪しい面も含めると絡まれてコロっと惨敗、なんてこともあり得る話ではある。

グランディア

好位の内をロス無く立ち回り、4角で上手く抜け出す進路を確保。前走重賞への目処を立たせたことをここで証明する形の2着となった。
ただし、TBの恩恵、56kgで済んだ斤量を考えると、ホウオウビスケッツほど内容は恵まれてないにしろ、総合的には0.6差を埋めるだけの要素はこの馬にはなさそうである。つまり、今後も展開やTBの恩恵が必要であるが、次走はハンデが少し重くされそうなので、条件的には悪くなりそう。

アウスヴァール

気分良く単騎で運び、比較的楽なペースで悠々と逃げられたことが大きく、TB、斤量にも恵まれた。
ホウオウビスケッツが併せてきたのが直線入口であり、相当楽できたと判断している。
本来行ったっきりの展開であり、それでも0.7差まで遅れていることを考えれば、高評価は不要である。

サヴォーナ・チャックネイト

サヴォーナは本来ならばTBを行かせる1枠だったのだが、少し前の記事でこの馬の懸念材料としていたテンの遅さが中距離に行ったことで露呈。それでもある程度のポジションを取れなくもない感じだったが、内ラチに押し込まれることを嫌って早めに馬群の合間を探しながら外へ持ち出された。
2角からは終始外追走であり、TBを生かせなかった。
更に差し馬が3角半ばで固まったことで大きく外を回すことになり、追い込むも届かなかった。
ホウオウビスケッツの逆でこの馬は展開もTBもポジションも何一つ向いておらず、今回は負けて強しの競馬である。といってもローカルハンデ重賞のなかでは、という話だが。
よって、0.7差ほど内容で負けてはおらず、フラットに戦えれば逆転可能。
チャックネイトも同様で、枠が違えばといった内容。斤量も考えればサヴォーナと同等の内容と判断して差し支えないだろう。

プラチナトレジャー

見た目はサヴォーナらと同等の内容に見えるが、斤量に恵まれているのと、道中はほぼインベタでそのままロスなく差しに行ったぶん前に出ることができたというだけで、さらにTBの恩恵も受けている。
この馬も着順ほど高評価は不要である。
(7着のサンストックトンも同じような立ち回りで浮上しただけ)

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