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妻の視点から見る研究者の生態

夫の在外研究に帯同している妻のぐーちゃんです。
海外学振という制度でエディンバラに来ていますが、どんな感じの生活をしているのか、を今回は書きたいと思います。

改めて夫の紹介

夫はAIの研究をしています。一昨年博士号を取りました。(私は詳しい研究内容はあんまりわかってません。)

普段から論文は英語のを読んだり書いたりしているので、読み書き(特に専門分野に関して)は得意です。
だがしかし聞く・話す(特に専門と関係ない雑談など)は苦手なようです。

海外学振の制度を利用して2023年4月から2年間の予定でエディンバラ大学に受け入れてもらって研究をしています。

研究者という職業

私は文系学部卒、民間企業でしか働いた事がないので研究者という職業はいまだにわからない事だらけです。
こんな職種の人もいるんだよ~というご紹介です。

ざっくり言うと「いつ倒産するかわからない1人企業の社長」みたいな感じに見えます。
資金繰り(研究費の調達)を心配しつつ、業務(研究、授業や学生指導がある人も)をこなし、今の任期が切れる前に次のポストを見つけないと無職、というのが付いて回るみたいです。ポスト争いも苛烈で、希望するような公募があるかもわからない…とにかく不安がいっぱいなんだそうです。

転職した時に民間企業の求人票もいろいろ見ましたが、私は正社員しか考えてなかったので全てに「期限:無期」、とありました。
しかし研究者では基本的に数年の任期ありポスト。会社員で言うと正社員よりかは契約社員寄り。任期なしポストにつけるのは実力もあるけど運要素も強いらしく、若手のうちはまず無理だそうで、そこから普通の会社員と違います。

大変そうだから秘書さんとかを雇えるのか、というと(少なくとも自分の研究室を持ったりするまでは)そうでもないらしい。
研究費を獲得しても使用して良い用途が決まっていたり、全体に占めていい割合が決まっていたりするそうで、研究費GET=収入増、とはならないそうです。
こういう経理っぽいのもあっちに申請したり、こっちに領収書送ったり、若手は基本的に一人で対応するそう。本業に集中させてあげたい…(最近秘書業務のアウトソーシングとかあるじゃん、って言っても研究費で落とせない可能性が高いから考えたり資金元に確認する手間かけるより自分でやっちゃう、と言われました。)

大変なのは日々観察していて感じるんですが、それでめちゃくちゃ高収入かというと…時給換算するとそうでもないそう…(夫本人が言ってます。)
職業病らしいのですが、常に頭の中で研究のことを考えてしまったり、誰かに先越されないか心配になったり、脳が興奮してしまって不眠症がちです(個人差あるとは思います)。脳みそをどこかに置いてくるわけにいかず、必然的に裁量労働制になってしまうので会社員(私)と比べると朝ゆっくり寝てたりもしますが、遅いと深夜までカタカタ仕事してます。

なんだかネガティブなことばかり並んでしましましたが、夫は研究者が天職だと思っているようで、最近もすごく面白そうなテーマを思いついた!研究したくて寝る間も惜しい!!という調子です。わくわくしている夫を見ていると応援したくなりますし、本人がキラキラしているのが私もうれしいです。エディンバラにまでついて来た甲斐があったな~
寝る間が惜しいくらい研究したいことがあるって個人的にはすごくうらやましいです。そういうものに出会わなかったので多分私は学部卒で終わったんですが(;^ω^)
雑務があったり、ポストが安定しなかったり、いろいろ大変だけど根底には好きなことを探求している、というのがあるので夫は楽しそうです。

私個人としては人類を代表して研究してくれてありがとう、と世の中の研究者さん達全員に対して思います(難しくて研究の良さとかは理解できてないけれども)。研究者さん達が新しい発見や工夫を考えてくれたから今の社会があるし、これからさらに豊かになっていくのは皆さんのおかげだと思います。文系も理系も分野横断の皆さんも、ありがとうございます!

エディンバラに来てからの生活

もう少しで3か月が経ちますが、基本的に業務時間に縛られない生活をしていたのであまり生活ぶりは変わっていないようです。
ただ日本との用事があると深夜の時間帯に起きて、会議参加して、もう一回寝る、というのがたまに加わっています。(今サマータイムで8時間差なのが9時間差に戻るのが今から不安です。)

元々近しい研究が盛んだったのでエディンバラに来たわけで、この人の論文引用した、とか読んだことある、みたいな親近感はあったらしいのですが、やはりぶち当たるのが英語の壁。まだ毎日ぶちのめされてるみたいですが、めげずに大学に通ってます。別にリモートワークでも研究はできるけど、ランチタイム(修行と呼んでる)でおしゃべりできるように頑張ってるのは偉いと思いつつお弁当(外食は高いのでお夕飯の残り物)を詰めています。

研究室の人達とのディスカッション(専門的な内容なのでランチよりも修行度合いは下がるらしい)でもいい刺激を受けているそう。毎週の定例会で発表してくれた人に対してコメントできるように頑張ってるみたいです。
ボスもおおらかで優しい人だそうです。でも研究のことになると目つきが鋭くなるらしい。
全体的にエディンバラ来て良かった、と言っています。(まぁちょいちょい病んだり落ち込んだりはしましたけどね)

時間がある時はmeetupに参加して英会話練習に出かけてみたり、英語のテレビでリスニングの練習してみたり、東京より自然が多いのでお散歩をして過ごしています。
こっちの生活は完全にコロナ前に戻った感じなのでその解放感も気に入ってるみたいです。

家でも仕事ができてしまうのでお夕飯後も大体研究してます。
最近は日没が22時なのでうっかり寝る準備が遅くなりがちです。

ヨーロッパの人はみんなバカンスに行くから夏は仕事しないのかと思いきや、そうでもないらしく、おまけに祝日でも別に大学が閉鎖されたりしないので仕事し放題(笑)だそうです。
仕事もし放題だけどせっかくなのでどこかヨーロッパ旅行に行きたいと画策中です。

あと最近の心配事としては円安です。海外学振はお給料が日本円払いなのでいつ両替をしようか迷っていたら絶好調に円安になってました(´;ω;`) もうそろそろポンドが底をつく…両替しなくては。


大変なこともあるけど、エディンバラを楽しんでる研究者夫の紹介でした。

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