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★映画鑑賞note:「エイジ・オブ・イノセンス」&「摩天楼を夢みて」


★「エイジ・オブ・イノセンス」"The Age of Innocence" (1993)

マーティン・スコセッシ監督の「エイジ・オブ・イノセンス」(1993)を見ました。花びらがレースへと変化するオープニングの映像が素敵。マフィアもののイメージが強い監督さんなので、ロマンチックな映画で意外でした。

19世紀末のNYの上流階級の男女の、叶わない恋愛を描いたドラマ。。。と思わせつつ、若者が上流社会の規範や欺瞞の中で段々と押し潰されていく姿を描いていて、保守的で閉塞的な社会に対する風刺になっていると思いました。もう少し時代は下りますが、「華麗なるギャツビー」にも似た印象です。(原作は1920年代の米の女性作家イーディス・ウォートンの作品) 

女性たちのゴージャスなドレスや紳士のハット&3ピーススーツ、ヴィクトリアンな調度品、印象派の絵画の様な美しい映像など、どれも抜かりなく素敵。リアルに再現された、パーティーのディナーも印象的でした。(果物てんこ盛り&ひたすら肉料理。。。)アメリカというよりはヨーロッパ的な、19世紀〜20世紀初めの貴族文化やファッション、当時の絵画の雰囲気にどっぷり浸れます。

ジョナサン・プライスはフランス人紳士の役で、ちょこっと登場。珍しく(!)いい人の役でした。先のはねた髭とボーラー帽が可愛いです。



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★「摩天楼を夢みて」"Glengarry Glen Ross" (1992)


『イリノイ州シカゴのとある不動産会社で、成績の悪い奴はクビ、と発表されたことで浮き彫りになるセールスマンたちのシリアスで苦い人間ドラマ』(Wikipediaより)・・・個人的には、あらすじを見ただけでは絶対に借りないジャンル(笑)ですが、ジョナサン・プライスが出演とのことで、レンタルしてみました。サントラは都会的なジャズで、ウェイン・ショーターのサックスがカッコいいです。

もともと舞台劇とのことで、ストーリーは、ほぼ不動産会社の事務所と近くのバーで展開されますが、テンポよく繰り広げられるテンションの高い会話劇や、名優たちによる引き込まれるような演技(こんなセールスマンいたら、思わず契約書にサインしてしまいそう。。。)、息抜き的に入ってくる馬鹿馬鹿しいジョークも面白くて、あっという間にラストまで。ひたすら四文字言葉が飛び交う映画ですが、特に嫌な感じは受けませんでした。男性ばかりの職場なんてそんな感じなのかも。事務所のそばの、高架を走る電車やドーナツ屋、チャイニーズレストランのネオンが哀愁を漂わせていて、日本でもこんな風景あるなぁと、スーツ姿のサラリーマンが行き交う風景が頭に浮かんだのでした。

ジョナサンは顧客の役で、いかにもセールスマンに押し切られそうな、奥さんの尻に敷かれてそうな、気弱な役。。。シャイでためらいがちな、不安そうな演技、近作ではあまりないですが、なかなか好きです。