宇宙戦艦ヤマト2202 第3章 感想(ネタバレあり)

絶望。

どうして・・・どうしてこうなってしまったんだ・・・

怒りを通り越した絶望感と喪失感。観るのをやめて逃げ出したくなったが歯を食いしばって耐え抜いた。冷め切った自分を感じながら、ひたすら時間が過ぎるのを待った。

私と同様に低評価する人の多いこの章だが、高く評価しているレビューを読んで何が評価されているのか考えてみた。
おそらく作品をイメージや雰囲気で楽しめる人には良く感じられる内容なのだろう。逆に物語の前後関係や流れを重視する人からすると恐ろしい内容になっている。そんな人がこの章を観たら、流れに取り残された後はうずくまり嵐が過ぎ去るのをひたすら待つしかない。

怒涛の超展開&ご都合主義に「は?」「それはないでしょ」と心の中で突っ込みが入り、どんどん心が冷めていった。そのせいか、ぶっちゃけ内容もあまり頭に入っていない。
低評価のレビューはすでに多いので私が頑張って書くまでもない。メモ書き程度に書いていく。

第7話

大帝の許可が必要な大技レギオネル・カノーネは大味だった。
250万隻はコスパ悪すぎ。何人ガトランティスを使っているんだ?ヤマトは約1000人乗ってるから大戦艦にも1000人乗ってるとすると25億人?
などなど色々突っ込みどころはあるが、まあそれほど大きな違和感ではない。コスパの悪い大技は個人的にアリだ。

キーマンのオシャレな台詞がよく分からない。古代は「ありがとう、キーマン中尉」と言っていたが、私には「は?」という感想しか湧いてこなかった。ノリと雰囲気で分かる人には分かるのだろうか?

7話最大のやらかしは波動砲という禁忌を気軽に破ったこと。古代以下ヤマトクルーにも戸惑いは見られない。淡々と波動砲を撃った。斉藤から怒られ、「撃て!波動砲を!」と言われたら、割と簡単に撃ってしまった。250万隻、何十億人乗っている可能性がある艦隊に向けてである。
1章で古代は波動砲を再装備することにさえ反対していた。波動砲を使うことは死者が出ることのみが問題ではない。2199で語られた惑星を破壊する力、この力自体や、力が生み出す未来に対する畏れが禁忌となっていたはずだ。
2199の伏線回収に失敗したと同時に、私は「古代、お前の約束や悩みなんてその程度のものだったのか」と心底がっかりした。

しかし本当の地獄は8話以降だ。。。

アホで間抜けで卑怯な大帝

大帝の演説はいらない。余計なことをペラペラしゃべりすぎで、「この説明いる?」「ご都合主義か?」といらない考えが頭の中をグルグルしだす。

ガトランティスは生殖機能が無いから愛も無いみたいな話をしており、これには完全に呆れかえった。これは先に書いた7章のレビューでも指摘したが、この作品は博愛と性愛を混同しており、その時の都合に合わせて言葉の意味を弄び視聴者を混乱させている。
悪いのはスタッフだが、これで大帝はアホというイメージが付いてしまった。7話で古代が敵を見逃したことを「愛だよ」と言っておきながら、この普遍的な愛を性愛と混同している。敵を見逃す心は生殖器由来だってよ(笑)アホか!

大帝は愛があるから争いが生じるみたいな話もしていた。争いを否定している?ならガトランティスは一体何をやっているんだと。
そして大帝自身の愛を否定する言葉が「愛が必要だ」という言葉と矛盾していく。大帝の演説を聞いて「このアホは一体何を言っているんだ?」という疑問で頭がいっぱいになった。おそらく愛の定義をこねくり回した結果だろう。大帝も自分が何を言っているのか理解していないのではないか?

7話で大帝はヤマトのことを「撃てんのだ」と評しており、大戦艦の艦長も大帝からその話を聞いたのか、ヤマトが波動砲を撃てない前提でレギオネル・カノーネの準備をする。しかし実際はどうだ、ヤマトは波動砲を撃って250万隻の艦隊は全滅。何とも間抜けな結末となった。大帝は赤っ恥である。

避難民に人間爆弾を紛れ込ませ、古代に救う人間を選ばせる。そしてその責任を「お前が選んだ」「お前のエゴのせい」と古代になすりつけようとする。なんて卑怯な小物だろうか。今作の大帝は強大な邪悪ではなく、むしろ薄汚い小悪党と呼ぶべきだろう。

「むなしい、実にむなしい」
こっちのセリフだよ。大帝の頭の中がむなしすぎるよ。。。

超展開と演説と紙芝居

古代、その演説はないやろ。。。何を言いたいのかさっぱり分からんし、聞いてて恥ずかしい。雪がどう思うか考えてやれ。女は雰囲気を大事にする生き物だ。大勢の前で愛を語るにしてもフラッシュモブ的な演出が必要だぞ。本当に雪が可哀そうだ。こんな展開で話をちゃんと聞いてあげるあたり、斉藤の言う通り健気で良い女だよ。

しかし身投げは早すぎるやろ!笑っちゃいかんけど。何が起きているのか情報も不確かな時に、「【自分の乗っている船を】選ばせない」(オーディオコメンタリー談)ためだけに身投げするって、「狂ってるなあ」と率直に思った。イスカンダル人もびっくりのメンヘラ具合だ。健気といっても程度があるぞ!

このあたりの展開は本当にひどくて、頭を抱えた。笑いたくなる気持ちと喪失感が同居した不思議な感情だった。「俺は、選ばない、雪ーー!!」の台詞で私は限界を迎えて、思わず天を仰いで助けを求めた。もうやめてくれ、この地獄から解放してくれと心から思った。

紙芝居は6話にも見られたが、BGMの単調さも相まって私の心は完全な無と化した。ただ何も考えず時が過ぎるのを待った。波動砲を使う流れはよく覚えていないが、おそらく波動砲を使う理由が突然湧いてきたのだろう。波動砲を使うのも慣れっこである。この単調な流れで撃たれた波動砲は個人的に最もグダグダした波動砲の一つだ。土方さんが撃つ波動砲なんて珍しいのに、本当に残念である。

結婚して欲しい

なんて薄っぺらい愛の告白だろうか。。。雪は自身の(狂った)博愛精神から身投げまでしてるのに、古代のささやく愛は結婚とかいう社会システムの話かよ!愛の最上級が結婚て、これが昭和なのか?本当にがっかりだ。

この薄っぺらい愛の話が例の音楽と共に進行する。旧作ファンが怒り狂うのも分かるよ。確かにこれはオマージュとはいいながら旧作を汚してる。「さらば」の名シーンを覚えている人はさぞかしガッカリしただろう。ここで「さらば」の古代の台詞を引用する。

【雪。やっと二人きりになれたね。君には苦しい思いばかりさせて、ごめんね。これからいつも一緒にいるよ。人間にとって一番大切なものは愛することだ。でも、僕が一番大切なものは君だ。君への愛だ!雪、好きだ。大好きだ。大きな声で言える。雪。僕たちはこの永遠の宇宙の中で、星になって結婚しよう。これが二人の結婚式だ。】

さらばの台詞が「地球に帰ってから結婚しよう」という意味でないことは容易に分かる。明らかに「生」を超越した愛を語っている。ここでの結婚は社会システムとは違う。容易に再現できる内容ではない。
このシーンに触れるべきでは無かったとは言わない。叩かれる覚悟でオマージュしたのは良いと思う。だが3章での再現は本当に酷い出来だと思う。

まとめ

第1章、第2章で積み上げてきたものは崩れ去った。予兆は2章の6話ですでに見られたが、見事な破壊であった。

おそらく相当な数のカットがあったのだろう。古代と雪が帰還するさいに古代が眠っていたが、その説明が無い。3章全体を包むダイジェスト紙芝居感も、おそらくカットが多いことが理由の一つになっているだろう。

この章を観た後は喪失感と絶望感に支配された。希望を打ち砕かれ、4章は初めて1週目に観に行かなかった。それでも観に行ったのはデスラーが最後に現れたからだ。

宇宙蛍?もういいでしょ。勘弁してくれ。

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