宇宙戦艦ヤマト2202 第5章 感想(ネタバレあり)

第5章はデスラーの過去編が一番良かった。金の線で描かれているってのは既存のアイデアなのだろうか?雰囲気があって良かった。
映画館で観ていた当時はマティウスの妻(エリザ)が山本そっくりということに気付かなかった。これは確かにキーマンが山本に母親の面影を感じ取っても仕方ないね。その妻は夫が死んだのに能面みたいな顔してて笑いそうになったが。

山ちゃんやっぱ凄いわ。若い時のデスラーの声で感心してしまった。これは名犬チーズもミュウもデスラーも演じられますわ。

以下気になった点が続く

分かりにくさに磨きがかかる(?)

第5章から台詞の前後関係がさらに薄れて断片化し、曖昧な内容になっていく。

「私は・・・」←何?
「お前には分かるはずだ・・・」←何?
「これが・・・」←何?
「それもよかろう・・・」←何?
「今度こそ、人類は・・・」←何?
「テレサが、忘れないでって・・・」←何を???
「縁・・・宇宙の愛か・・・」←は??????????

こんな具合である。

テレサは相変わらず何を言いたいのか分からない。
キーマンはデスラーの意思を理解した上で彼に付いていかない、その理由は結局明かされないままのように思う。テレサ曰く「キーマンがヤマトで過ごした日々は本物」。それだけでキーマンがヤマトに戻るのか。
なるほど?まあなんとなく分かるわ(?)テレサの言うことは絶対だもんな

ただそこにキーマンの苦悩が見えない。悩んではいたが、テレサに「考えるな、感じろ」って言われて決断できる程度のものなのか?重大な選択をした感じが全くしない。
キーマンがデスラーに対してどんな感情を持っているのか分かりにくい。母親にしたことに対して恨みがあるのか?(何となくそんな風にも見えたが、動機としては弱い?)むしろデスラーが母親を逃がしたことを理解しているのか?デスラーの拡大政策の真意を知り、デスラーに対して恨みの感情は持っていないように見えたので、デスラーについて行くのは理にかなっている。
キーマンの葛藤が、場面が多い割には分かりにくい。桂木あたりに打ち明けてくれれば良かったのに。キーマンはデスラーの代わりになれない、それをしっかり描くべきだった。デスラー本人から「ガミラス人が求めているのはおまえだ」と言われたのにそこから逃げるというのは相当の理由が必要だ。

ヤマト式敬礼でヤマトに戻ることは確定したが、デスラーと決別した訳でもない。デスラーに対して「お許しを」といって去っていった理由は何なのだ。何となく雰囲気でヤマトに戻ってきたように思える。まあそれで良いんだけど、7章まで観た私からすると、この緩い流れのまま特攻するのかと不安になる。

艦隊戦について

これは観る人の好みによるだろうが、私は単調で大味に感じた。ワープで大量の巡洋艦・戦艦が出てくる。物量戦というのは分かるが少し客観的に観てしまった。CGはよく頑張っている。

CGで出来た艦隊の戦いと、人物の顔のアップだけで何も語らないという場面の繰り返し。もう少し戦いの流れを上手く表現できただろう。

個人的には第2章でヤマトとアンドロメダが激突したシーンの方がはるかに熱かった。どんなに波動砲を撃とうが熱くないものは熱くないのだ。

戦いのダイジェスト感も目立った。

「からくりが分かった!時間断層だ!」

「サーベラー!」

土星に彗星ドーン!

この流れは笑ってしまった。訳が分からないよ。

大統領の演説の流れでヤマトが彗星に立ちふさがるというのもグダグダで緊張感がない。アンドロメダ型含め地球艦隊が壊滅した(?)のに絶望感が感じられず、この章を支配するゆるーい流れに乗って何となく彗星の前にヤマトが出てきてしまったようだ。

納得できないことだらけ

なぜ反波動光子(格子の表記が多いが格子ってなんだよ窓か?)のスイッチをサブちゃんが持っているのか?キーマン→桂木→サブちゃんの流れがカットされた?

波動砲艦隊の波動砲は彗星のガスを消し去った(?)が、本体には効かなかった。理由はともかく、2発目の波動砲の後に何が起きたのか分からない。ガスの復活?よく分からないけど彗星に吸い込まれていった。

インフェルノ・カノーネは重力子スプレッドで防がれる程度のものなの?バルゼーは良いことなし。あの空母は好きなのでもう少し活躍させて欲しかった。

今作は本当に情けない男だらけだ。大帝、古代、サブちゃん。
サブちゃんかっこ悪すぎるやろ・・・。自分の子供のために地球を売るとか普通に考えておかしい取引なのに何でこんな設定が通ってしまうんや。

まとめ

あえて辛口に言うが、アニメというよりスライドショーに近い場面が多い。静止画を音楽に合わせて流し、よく分からないポエミーな独白がこちらの集中力を削いでくる。

第3章という地獄を見てきた私からすると、第5章は平穏な海である。熱くなれず、冷めたまま冷静に時を過ごすことができた。よく分からないまま物語は進む。なるほどこれがテレサマジックか。考えるな、感じるんだ。

何も感じねえ・・・

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